防衛費増額に向けた法案の審議始まる 首相“増税が必要”
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230406/k10014030921000.html
2023年4月6日のNHKニュースより転載
防衛費増額に向けて税金以外の収入を活用する「防衛力強化資金」の創設を盛り込んだ法案の審議が国会で始まり、岸田総理大臣は、歳出改革などの取り組みを続けたうえで、足りない財源を確保するためには増税が必要だという考えを重ねて示しました。
この法案は、防衛費増額の財源確保に向けて、歳出改革や決算剰余金、それに国有財産の売却など、税金以外の収入を複数年度にわたって活用できるようにするため、一般会計に新たに「防衛力強化資金」を創設することなどが盛り込まれています。
6日の衆議院本会議で審議が始まり、このなかで岸田総理大臣は「税金以外の収入は一時的で安定的な財源にはならないのではないか」と問われたのに対して「令和9年度までの5年分にあてられる税外収入として4兆6000億円を確保したことも踏まえ、今後も引き続き、さらなる税外収入の確保に努めていく」と述べ、引き続き、財源の確保に取り組む考えを示しました。
そのうえで、岸田総理大臣は「行財政改革を徹底したうえで、それでも足りない財源については、将来世代への責任として、税制措置での協力をお願いしたい」と述べ、防衛費増額に必要な費用の4分の1は増税で賄う方針を重ねて示しました。
この法案について、立憲民主党などは対立姿勢を明確にしていて、今後、激しい論戦が行われる見通しです。
立民 安住国対委員長「簡単には通過させないつもり」
立憲民主党 安住国会対策委員長は、党の会合で「ほかの野党と協力して、簡単には衆議院を通過させないつもりだ。防衛費は、国際状況や緊張度に応じ、増減があってしかるべきで、固定化したハイレベルの予算をずっと続けていくための財源確保には反対だ」と述べました。
衆議院インターネット審議中継
https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=54496&media_type=
2023年4月6日 (木)
本会議 (2時間15分)
案件:
仲裁法の一部を改正する法律案(211国会閣28)
調停による国際的な和解合意に関する国際連合条約の実施に関する法律案(211国会閣29)
裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案(211国会閣30)
特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案(211国会閣23)
道路整備特別措置法及び独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法の一部を改正する法律案(211国会閣18)
我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案(211国会閣1)
発言者一覧
説明・質疑者等(発言順): 開始時刻 所要時間
細田博之(衆議院議長) 13時 02分 01分
伊藤忠彦(法務委員長) 13時 03分 03分
大西英男(内閣委員長) 13時 06分 03分
木原稔(国土交通委員長) 13時 09分 04分
鈴木俊一(財務大臣 内閣府特命担当大臣(金融) デフレ脱却担当) 13時 13分 04分
小田原潔(自由民主党・無所属の会) 13時 17分 13分
末松義規(立憲民主党・無所属) 13時 30分 32分
井上英孝(日本維新の会) 14時 02分 24分
海江田万里(衆議院副議長) 14時 26分 01分
稲津久(公明党) 14時 26分 18分
斎藤アレックス(国民民主党・無所属クラブ) 14時 44分 13分
田村貴昭(日本共産党) 14時 57分 17分
答弁者等
大臣等(建制順):
岸田文雄(内閣総理大臣)
我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案の趣旨説明を行う鈴木俊一財務大臣
【衆院本会議】末松義規議員「戦争回避のための外交力の抜本強化こそ必要」と訴える
https://cdp-japan.jp/news/20230406_5823
2023年4月6日の立憲民主党HPより転載
衆院本会議で4月6日、政府提出法案「我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案」に対する趣旨説明と質疑が行われ、立憲民主党から末松義規衆院議員が登壇しました。
■GDP2%を短期間で目指す理由
末松議員は、「NATO諸国で国防費をGDP比2%を目標としていることは承知しているが、NATOのメンバーでない日本がNATOの目標であるGDP2%を短期間で達成」すべき理由を問いました。
岸田総理は「戦後最も厳しい安全保障環境に直面している」とし、「NATO各国は経済力に応じた国防費を支出する姿勢を示している。GDP比で見ることは指標として一定の意味がある」と述べました。
末松議員は、NATO諸国においては、国防費をGDP比2%到達の目標を10年かけて達成することになっているが、2021年時点で2%に未達の国が30カ国中22カ国もある」と指摘し、「財政的に厳しいわが国としては、その実現に極めて無理がある」との考えを述べました。
■膨大な国債の存在と戦争費
末松議員は、「借金1000兆円の国債を抱え、対GDP比250%程度と借金まみれ」の今の日本は、「戦時国債が大量に乱発され、借金の対GNP比が250%を超えた大戦末期の1944年と同様」だと指摘し、「健全な財政、強い経済力は我が国の抑止力に不可欠」と訴えました。
岸田総理は、財源確保のメドがたたない「約4分の1については、令和9年度に向けて、税制措置の協力をお願いしたい」「責任ある財政に努めていく」等と述べました。
■戦争回避のための外交力の抜本強化
末松議員は、「戦争回避のために日本として全力を尽くすための外交力の抜本強化が必要」と述べ、総理の見解を問いました。
岸田総理は「極めて重要」だとし、「人員体制の強化に鋭意努めていく」と述べました。
■日本の役割
末松議員は、日本が「歴史的・地理的・政治経済的に考えて、米中の緊張緩和を主導するに最もふさわしい国」と指摘し、総理の見解を問いました。岸田総理は「米国との強固な信頼関係のもと、中国に対して大国としての責任を果たすように促していく」と述べました。
■台湾有事
末松議員は、「台湾を守るという構図の中、わが国も戦争への道に巻き込まれることにならないのか」との国民から多く寄せられる懸念を紹介し、総理の見解をただしました。
岸田総理は、「台湾海峡の平和と安定は重要。台湾をめぐる問題について、対話により平和に解決されることを期待する」と述べました。
■日米防衛協力について
日米防衛協力について、末松議員は「日本が戦争に巻き込まれるか、日米同盟を破綻させるかという究極的選択につながる極めて重大な問題」と指摘し、総理に見解を求めました。岸田総理は「個別具体的に判断」「わが国が主体的に判断」すると答えました。
■自衛隊のいくつかの諸課題について
末松議員は、(1)急拡大した防衛予算に対応できない自衛官不足の問題や台湾有事等の顕在化による自衛官の集団退職を防止する改善策、(2)サイバー関係の人員の確保に当たっては、民間の優秀な高度技術者を幅広く予備自衛官にしながら、民間人専門家を大量にリクルートすること(3)作戦運用の効率化と各種法制・規制の改善による実質的防衛力の強化(4)世界水準の何倍もの割高な調達になっている国内製装備品の存在やライフサイクルコストの大幅な高騰に対する改善策をまとめること――等、自衛隊をめぐる課題について指摘しました。
岸田総理は、「重要な指摘」と述べました。
■具体的な財源確保策の諸問題について
末松議員は、財政確保策の諸問題について(1)復興特別所得税の流用は「到底認められるものではない」こと(2)税外収入の利用は持続性・安定性を欠くこと(3)決算剰余金の活用はいわば「防衛財源ロンダリング」になりかねないこと(4)歳出改革は具体的内容は全く明らかにされておらず実現があやういこと――等を指摘しました。
立憲民主党の末松義規氏
軍事費43兆円へ違憲立法 軍拡財源確保法案 田村貴昭氏が撤回要求 衆院本会議
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik23/2023-04-07/2023040701_02_0.html
2023年4月7日の赤旗より転載
安保3文書に基づき今後5年間で43兆円もの大軍拡のため新たに「防衛力強化資金」を創設することを盛り込んだ軍拡財源確保法案が6日の衆院本会議で審議入りしました。日本共産党の田村貴昭議員は、同法案は憲法の平和主義と財政民主主義を踏みにじる違憲立法だと批判し撤回を求めました。(志位委員長廃案訴え)(質問要旨)
田村氏は、岸田文雄首相が軍事費の国内総生産(GDP)比2%への引き上げを指示しながら、その一部となる研究開発や公共事業などの具体的な中身や検討のための仕組みさえ決まっていないと指摘。「数字ありきの決着そのものだ」と批判しました。岸田文雄首相は「総合的な防衛体制の強化の経費を積み上げた」と述べるだけでした。
田村氏は、GDP比2%への軍事費引き上げは米国が繰り返し同盟国に求めてきたものだと指摘。23年度の有償軍事援助(FMS)での米国製兵器の購入額は22年度の4倍に上り、長距離巡航ミサイル・トマホークを新たに400発購入する計画は、「米国の世界戦略と軍需産業のもうけのためというのが事の真相だ」と強調しました。
さらに田村氏は、年金特別会計に返納すべき地域医療機能推進機構(JCHO)の積立金の軍拡財源への流用を批判。東日本大震災に対応するための復興特別所得税の軍拡財源の転用は「被災者・国民を愚弄(ぐろう)するものであり、撤回すべきだ」と迫りました。
岸田政権が戦後初めて軍拡財源のために建設公債の発行を決めたことに触れ、「軍拡財源のための公債発行は、大量の公債発行で侵略戦争を遂行した歴史の教訓に真っ向から反するものだ」と強調しました。
共産党の田村貴昭氏
我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案の答弁を行う岸田文雄首相
4月6日、衆院本会議。
防衛財源確保の特別措置法案を議題とした。
正式名称「我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案」を議題とした。
鈴木俊一財務大臣より趣旨説明を聴取した。
代表質問を行った。
自民党の小田原潔氏、立憲民主党の末松義規氏、日本維新の会の井上英孝氏、公明党の稲津久氏、国民民主党の斎藤アレックス氏、共産党の田村貴昭氏が、岸田文雄内閣総理大臣及び鈴木俊一財務大臣に対し、それぞれ質疑を行った。
我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g21109001.htm
法律案です。
参考
[我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案] 2月3日、防衛財源確保の特別措置法案を閣議決定
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/498039568.html
ラベル:防衛財源確保の特別措置法案
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