マイナンバーカードと健康保険証の一体化など 改正案閣議決定
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230307/k10014000351000.html
2023年3月7日のNHKニュースより転載
政府はマイナンバーカードと健康保険証の一体化や、マイナンバーを利用できる範囲の拡大などを進めるため、関連する法律の改正案を7日の閣議で決定しました。
閣議決定された改正案では、健康保険証を廃止してマイナンバーカードと一体化します。
一方で、カードをなくした人なども保険診療を受けられるように「資格確認書」を提供し、現在の健康保険証も廃止後、最長1年間は有効にする経過措置を設けます。
政府は来年秋からの一体化を目指しています。
また1歳未満の乳児には顔写真がないカードを交付する方針で、5歳の誕生日まで有効とします。
また国からの給付金などを受け取る際に利用し、マイナンバーとひも付く「公金受取口座」については、公的年金の振込先になっている金融機関の口座を登録する仕組みを設けるとしていて、住民に通知した際に本人が同意しないという意思を示さなければ、公金受取口座に登録されます。
このほか、社会保障と税、災害対策の3分野に限定されているマイナンバーの利用範囲が、国家資格の手続きや自動車に関わる登録などにも拡大され、書類の取得などが省けるようになります。
そのうえで、こうした分野について、すでに法律に規定されている事務に「準ずる事務」であれば、法律を改正しなくてもマイナンバーの利用が可能になります。
国会の審議を経ずにマイナンバーの利用拡大が可能になることから、国会で議論が交わされることになりそうです。
政府は、今の通常国会で関連する改正案の成立を目指す方針です。
マイナンバー利用範囲拡大へ 国家資格の更新などにも
マイナンバーは、法律で社会保障と税、それに災害対策の3分野に利用できる範囲が限定されていますが、今回の改正案によって国家資格の更新や自動車に関わる登録、外国人の行政手続きなどの分野にも範囲が広がります。
例えば国家資格では、美容師や建築士などの資格を更新する際、これまでは自治体などで戸籍謄本や住民票の写しなどを取得する必要がありました。
これが改正後はマイナンバーカードを使ったオンライン申請が可能になり、資格を管理する団体が情報連携活用システムにアクセスして個人情報を取得できるようになることから、書類の添付が不要になります。
また、これまでは法律でマイナンバーを使える行政機関やその内容などが規定され、新たに追加する場合は、そのつど法律の改正が必要でした。
今後は法律で規定されている3つの分野と、今回新たに定められる分野では、すでに法律に規定されている事務に「準ずる事務」であれば法律の改正をしなくても省令などで定めれば利用の範囲を拡大できるようになります。
カード普及へ施策拡充 郵便局でも受け取り可能に
政府はマイナンバーカードの普及に向けて、カードの取得などにポイントを付与する施策のほか、郵便局や携帯電話の販売店で申請手続きを支援するサービスを行ってきました。
しかし3月1日時点のマイナンバーカードの申請枚数は、国民の74%にあたる9400万枚余りとなっています。
このため今回の改正案では、市区町村の窓口のみで行われているカードの受け取りを郵便局でもできるようにすることが盛り込まれました。
また申請者が寝たきりの高齢者などの場合は、施設の職員などが申請を支援したり、代理で受け取りの手続きを行えたりするようにするほか、自治体の職員が病院や希望する個人宅へ訪問し、出張申請を受け付ける仕組みを設けます。
このほか、外国で暮らす日本人が在外公館でもカードを取得できるようにするなど、取得率の向上を図る施策を拡充します。
令和5年3月7日(火)定例閣議案件
https://www.kantei.go.jp/jp/kakugi/2023/kakugi-2023030701.html
行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律案(決定)
(デジタル庁・総務・法務・財務・厚生労働省)
デジタル社会の形成を図るための規制改革を推進するためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律案(決定)
(デジタル庁・公正取引委員会・警察・金融・消費者庁・総務・法務・厚生労働・農林水産・経済産業・国土交通・環境省)
行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律案
https://www.digital.go.jp/laws/8db62cdf-8375-4c4f-b807-8d98595b67e8/
本法律案は、令和5(2023)年3月7日、第211回国会(通常国会)に提出されました。
趣旨
今般の新型コロナウイルス感染症対策等の経験により、社会における抜本的なデジタル化の必要性が顕在化している中でデジタル社会の基盤であるマイナンバー、マイナンバーカードについて国民の利便性向上等の観点から、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(マイナンバー法)等の一部の改正を行う。
概要
1. マイナンバーの利用範囲の拡大
理念として社会保障制度、税制及び災害対策以外の行政事務においてもマイナンバーの利用の推進を図る。
※具体的な利用事務の追加は、従来通り法律改正で追加
具体的には、理容師・美容師、小型船舶操縦士及び建築士等の国家資格等、自動車登録、在留資格に係る許可等に関する事務において、マイナンバーの利用を可能とする。
各種事務手続における添付書類の省略等
2. マイナンバーの利用及び情報連携に係る規定の見直し
法律でマイナンバーの利用が認められている事務に準ずる事務(事務の性質が同一であるものに限る)についても、マイナンバーの利用を可能とする。
※個別の法律の規定に基づく事務は、従来通り法律改正で追加
法律でマイナンバーの利用が認められている事務について、主務省令に規定することで情報連携を可能とする。
※情報連携が行われた記録は、マイナポータル上で照会可能
新規で必要とされる機関間の情報連携のより速やかな開始が可能に
3. マイナンバーカードと健康保険証の一体化
乳児に交付するマイナンバーカードについて顔写真を不要とする。
健康保険証を廃止するとともに、マイナンバーカードによりオンライン資格確認を受けることができない状況にある方が、必要な保険診療等を受けられるよう、本人からの求めに応じて「資格確認書」を提供する。
すべての被保険者の円滑な保険診療を可能に
4. マイナンバーカードの普及・利用促進
在外公館で、国外転出者に対するマイナンバーカードの交付や電子証明書の発行等に関する事務を可能とする。
市町村から指定された郵便局においても、マイナンバーカードの交付申請の受付等ができるようにする。
暗証番号の入力等を伴う電子利用者証明を行わずに、利用者の確認をする方法の規定を整備する(例:図書館等での活用)。
マイナンバーカードを申請・取得できる選択肢の拡大及び利用の促進
5. 戸籍等の記載事項への「氏名の振り仮名」の追加
戸籍、住民票等の記載事項に「氏名の振り仮名」を追加。
マイナンバーカードの記載事項等に「氏名の振り仮名」を追加。
公証された振り仮名が各種手続での本人確認で利用可能に
6. 公金受取口座の登録促進(行政機関等経由登録の特例制度の創設)
既存の給付受給者等(年金受給者を想定)に対して書留郵便等により一定事項を通知した上で同意を得た場合又は一定期間内に回答がなく、同意したものとして取り扱われる場合、内閣総理大臣は当該口座を公金受取口座として登録可能に。
(※1)公金受取口座は給付のみに利用。
(※2)事前・事後の本人通知に加え、広報で制度の周知徹底を図る。
デジタルに不慣れな方も簡易に登録が可能及び給付の迅速化
施行期日
公布の日から起算して1年3月以内の政令で定める日とする(一部を除く)。
資料
概要(PDF/574KB)
https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/8db62cdf-8375-4c4f-b807-8d98595b67e8/5a0f065d/20230307_laws_law_outline_01.pdf
要綱(PDF/145KB)
https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/8db62cdf-8375-4c4f-b807-8d98595b67e8/65332f46/20230307_laws_law_outline_draft_02.pdf
案文・理由(PDF/534KB)
https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/8db62cdf-8375-4c4f-b807-8d98595b67e8/3281480f/20230307_laws_law_outline_draft_03.pdf
新旧対照条文(PDF/1,001KB)
https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/8db62cdf-8375-4c4f-b807-8d98595b67e8/6ca592fa/20230307_laws_law_outline_draft_comparative_table_04.pdf
参照条文(PDF/982KB)
https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/8db62cdf-8375-4c4f-b807-8d98595b67e8/90c95169/20230307_laws_law_outline_draft_reference_05.pdf
関連情報
マイナンバー(個人番号)制度・マイナンバーカード
https://www.digital.go.jp/policies/mynumber/
公金受取口座登録制度
https://www.digital.go.jp/policies/account_registration/
マイナンバー法改正案・概要1(マイナンバー法等の一部改正法案の概要)
マイナンバー法改正案・概要2(公金受取口座登録制度及び行政機関等経由登録の特例制度案について)
政府はマイナンバーカードと健康保険証の一体化や、マイナンバーを利用できる範囲の拡大などを進めるため、関連する法律の改正案を3月7日、閣議決定した。
正式名称「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律案」を閣議決定した。
改正の趣旨
今般の新型コロナウイルス感染症対策等の経験により、社会における抜本的なデジタル化の必要性が顕在化している中でデジタル社会の基盤であるマイナンバー、マイナンバーカードについて国民の利便性向上等の観点から、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(マイナンバー法)等の一部の改正を行う。
公金受取口座登録制度及び行政機関等経由登録の特例制度案について
○ 公金受取口座登録制度は、特別定額給付金の支給の際の経験を踏まえ創設。平時だけでなく、緊急時においても迅速かつ確実な給付の実現に資するもの。ご登録いただくことにより、給付申請時において国民の皆様の手続負担が軽減。
○ 特例制度案は、既に行政機関等にご提供いただいている年金受給口座の口座番号等を公金受取口座としてもご登録いただき、その他の給付にも簡易に利用可能とするもの(新たに情報をご提供いただくものではない。)。
○ ご登録いただいた口座は給付金等の支給のみに利用(公金受取口座として登録されることにより、当該口座が税の徴収等に使われることはない。また、デジタル庁には口座番号等の情報しか提供されないため、当該口座残高や取引履歴を把握することはできない。)。
参考
[マイナンバー法改正案] マイナンバーカード、海外で交付可能に 法改正を検討
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/494785179.html
ラベル:マイナンバー法改正案
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