長崎原爆の日 “核兵器廃絶が未来を守る唯一の道” 長崎市長
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220809/k10013761061000.html
2022年8月9日のNHKニュースより転載
長崎に原爆が投下されて、9日で77年です。長崎市の田上市長は、平和公園で行われた平和祈念式典で「核兵器に依存する国が増え、ますます危険になっている。核兵器をなくすことが人類の未来を守るための唯一の現実的な道だと今こそ認識しなければならない」と述べて、核兵器廃絶を訴えました。
長崎市の平和公園で行われた平和祈念式典には、被爆者や遺族、岸田総理大臣のほか、過去最多となる83の国と地域の代表などが出席しました。
ことしの式典は、新型コロナウイルスの影響で規模を縮小した去年の3倍以上となるおよそ1600人が参列し、安倍元総理大臣が銃撃された事件を受けて、例年より警備態勢が強化される中で行われました。
式典ではこの1年に亡くなった被爆者など3160人の名前が書き加えられた19万2310人の原爆死没者名簿が納められました。
そして、原爆がさく裂した午前11時2分に黙とうがささげられました。
長崎市の田上市長は、平和宣言で「ロシアのウクライナ侵攻は、核兵器の使用が『杞憂』ではなく『今ここにある危機』であることを世界に示しました。核兵器によって国を守ろうという考え方のもとで、核兵器に依存する国が増え、世界はますます危険になっています。核兵器をなくすことが地球と人類の未来を守るための唯一の現実的な道だということを、今こそ私たちは認識しなければなりません。『長崎を最後の被爆地に』の思いのもと、核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に力を尽くし続けることをここに宣言する」と訴えました。
そのうえで、田上市長は、日本政府に対して、核への依存を強めるのではなく、核に頼らない平和の構築に向けて議論を先導するとともに、核兵器禁止条約に署名・批准することを重ねて求めました。
続いて、5歳のときに被爆し、ことし初めて開かれた核兵器禁止条約の締約国会議で発言した宮田隆さんが、被爆者を代表してあいさつし「77年前の8月9日、あの晴れた日に爆心地から2.4キロの自宅にいた5歳の私の小さな体は、吹き飛ばされ、母親の胸の中で目覚ました。いまもあの時の母親の胸の高鳴りが耳に残っています。あの夜、わが家にたどり着いた看護婦さんは、髪は逆立ち、左目は飛び出し、小さな声で『水をください』といったまま私たちの目の前で絶命しました。父は、黒焦げの焼死体となった叔父と叔母を発見し、5年後に白血病で亡くなりました」と当時の体験を語りました。
そのうえで、宮田さんは「今、私は10年前に発症したがんの悪化で苦悩の日々を過ごしています。多くの被爆者は私以上の苦しみに耐えて生き抜いています。ウクライナに鳴り響く空襲警報のサイレンは、あのピカドンの恐怖そのものでした。私たちは強い意志で子ども、孫の時代に『核兵器のない世界実現への願い』を引き継いでいくことを誓います」と、平和への誓いを述べました。
被爆者の平均年齢はことし、84歳を超え、長崎では、主な被爆者団体の1つが高齢化を理由に解散しました。
被爆者の間では、いま、核兵器が再び使われるかもしれないという大きな不安や危機感が募っています。
被爆地 長崎は、犠牲者への祈りに包まれるとともに「長崎を最後の被爆地に」という願いを世界に発信します。
岸田首相 「核不使用の歴史を継続」
岸田総理大臣は「77年前のあの日の惨禍を決して繰り返してはならない。これは唯一の戦争被爆国である、わが国の責務であり、総理大臣としての私の誓いだ」と述べました。
そのうえで「核兵器による威嚇が行われ、核兵器の使用すらも現実の問題として顕在化し、『核兵器のない世界』への機運が後退していると言われている今こそ、『核兵器使用の惨禍を繰り返してはならない』と訴え続けていく。非核三原則を堅持しつつ、『厳しい安全保障環境』という『現実』を『核兵器のない世界』という『理想』に結びつける努力を行っていく」と決意を示しました。
そして「核不使用の歴史を継続し、長崎を最後の被爆地とし続けなければならない。透明性の確保、核兵器削減の継続、核不拡散も変わらず重要な取り組みだ」と指摘しました。
さらに「『核兵器のない世界』の実現に向けた確固たる歩みを支えるのは、世代や国境を越えて核兵器使用の惨禍を語り伝え、記憶を継承する取り組みだ。被爆者などとともに、被爆の実相への理解を促す努力を重ねていく」と強調しました。
岸田首相 被爆者団体の代表と面会
岸田総理大臣は、長崎市で被爆者団体の代表と面会し、安全保障環境が厳しさを増す中、「核兵器のない世界」の実現に向けて、非核三原則を堅持しながら現実的な取り組みを進めていく考えを強調しました。
この中で、被爆者団体の代表は、核兵器禁止条約への署名・批准、非核三原則の堅持と「核共有」の議論をしないこと、それに被爆者としての認定を求めて裁判を続けている「被爆体験者」への被爆者健康手帳の交付などを求めました。
これに対し、岸田総理大臣は「現下のウクライナ情勢により『核兵器のない世界』への道のりはより厳しくなっていると強い危機感を持っているが、唯一の戦争被爆国であるわが国は非核三原則を堅持し、核兵器による悲劇が二度と繰り返されないよう現実的な取り組みを進めていかなければならない」と強調しました。
そして「核兵器禁止条約は、大きな理想を目指すうえでその出口にあたる貴重な条約だが、核兵器国は1か国も参加しておらず、核兵器国を条約に近づけていくことがわが国の大きな使命だ」と指摘しました。
一方、岸田総理大臣は、「被爆体験者」に医療費を支給する支援事業について「がんの一部を対象に追加することを検討したい。来年4月より支給開始できるよう、事業の性質に照らし、どのようながんを対象とできるかなどについて、速やかに厚生労働省に検討させたい」と述べました。
(転載、ここまで)
長崎市の田上富久市長
岸田文雄首相
長崎に原爆が投下されて、9日で77年。
長崎市の田上市長は、平和公園で行われた平和祈念式典で「核兵器に依存する国が増え、ますます危険になっている。核兵器をなくすことが人類の未来を守るための唯一の現実的な道だと今こそ認識しなければならない」と述べて、核兵器廃絶を訴えた。
長崎市の田上市長は、平和宣言で「ロシアのウクライナ侵攻は、核兵器の使用が『杞憂』ではなく『今ここにある危機』であることを世界に示した。
岸田総理大臣は「77年前のあの日の惨禍を決して繰り返してはならない。これは唯一の戦争被爆国である、わが国の責務であり、総理大臣としての私の誓いだ」と述べた。
ラベル:長崎市
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