政府「骨太の方針」決定 防衛力「5年以内」に抜本的強化を明記
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220607/k10013661961000.html
2022年6月7日のNHKニュースより転載
政府はことしの「骨太の方針」を決定しました。焦点の1つとなっていた防衛費の扱いについて、NATOの加盟国がGDPの2%以上を目標としていることを例示し、防衛力を「5年以内」に抜本的に強化することを明記しました。
政府は、持ち回りの臨時閣議で、岸田内閣では初めてとなる、ことしの経済財政運営と改革の基本方針「骨太の方針」を決定しました。
焦点の1つとなっていた防衛費の扱いについては、NATO=北大西洋条約機構の加盟国がGDP=国内総生産の2%以上を目標としていることを例示し、防衛力を「5年以内」に抜本的に強化するとしています。
そして台湾をめぐっては「日米首脳会談で両首脳は、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促した」と本文の注釈に記されました。
骨太の方針に台湾に関する記述が盛り込まれるのは、初めてだということです。
また、新型コロナへの対応策では、◇感染が拡大した時に病床を増やすなどして確実に入院できる体制を整備し◇都道府県が臨時に設ける医療施設に、公立病院が医療人材を派遣するなど医療提供体制の充実を図るとしています。
さらに、◇出産育児一時金の増額をはじめ妊娠・出産に伴う経済的負担の軽減に向けた議論を進め、◇子どもを性犯罪から守るため性犯罪歴のある人が保育や教育の仕事に就くのを制限する「日本版DBS」の導入に取り組むとしています。
そして、財政健全化目標については「財政健全化の『旗』を下ろさずこれまでの財政健全化目標に取り組む」として、時期は明示しなかったものの、2025年度に基礎的財政収支を黒字化するという、これまでの目標を維持する方針を示しています。
一方で「経済あっての財政だ」としたうえで「状況に応じ必要な検証を行っていく」と明記し、自民党内の積極財政派のグループに配慮して、経済状況によっては目標の見直しにも含みを持たせた形となりました。
焦点の防衛費 岸田首相「将来にわたり国守り抜く防衛力構築」
防衛費をめぐって、岸田総理大臣は、経済財政諮問会議と「新しい資本主義実現会議」の合同会議で「将来にわたり、わが国を守り抜く防衛力を構築すべく、さまざまな取り組みを積み上げていき、そのうえで必要となるものの裏付けとなる予算をしっかりと確保していく。内容、金額、財源の3点セットで議論を行い、具体的な計画は、ことし末に策定する新たな国家安全保障戦略などとして、改めて内閣として閣議決定する」と述べました。
記者はどう見る 政治部 関口裕也記者が解説
焦点のひとつとなっていた防衛費の扱い、政府・自民党内でどんな議論があったのか?政治部関口記者は以下のように解説します。
「骨太の方針」の原案には「5年以内」という文言は入っていませんでした。原案になかったものが加えられた箇所は財政に関する部分も含めいくつかあります。これは政府が党の意向を踏まえて修正を重ねた結果です。
この背景には、安倍元総理大臣らの存在があります。安倍氏は、先週、防衛費のあり方をめぐって党の提言の内容を書き込むよう求めたほか、党内議論でも安倍氏に近い積極財政派の議員が声をあげる場面が目立ちました。総理大臣経験者が政府の原案に注文をつけるのは異例とも言えます。安倍・菅政権当時は「政高党低」とも言われた政府と自民党の関係が、岸田政権になって変化していると見る向きもあります。
野党側からは、いまの物価高は異次元の金融緩和によるものだとして、財政金融政策の見直しを求める声が出ていますので、夏の参議院選挙でも争点の1つになるものとみられます。
(転載、ここまで)
令和4年6月7日(火)持ち回り閣議案件
https://www.kantei.go.jp/jp/kakugi/2022/kakugi-2022060702.html
経済財政運営と改革の基本方針2022について(決定)
(内閣官房・内閣府本府)
新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画・フォローアップについて(決定)
(内閣官房)
デジタル田園都市国家構想基本方針について(決定)
(同上)
規制改革実施計画について(決定)
(内閣府本府)
岸田文雄首相
6月7日の持ち回り閣議で、経済財政運営と改革の基本方針2022について、新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画・フォローアップについて、デジタル田園都市国家構想基本方針について、規制改革実施計画についてを決定している。
政府は今年の「骨太の方針」を決定した。
焦点の1つとなっていた防衛費の扱いについて、NATOの加盟国がGDPの2%以上を目標としていることを例示し、防衛力を「5年以内」に抜本的に強化することを明記した。
防衛費を巡って、岸田総理大臣は、経済財政諮問会議と「新しい資本主義実現会議」の合同会議で「将来にわたり、わが国を守り抜く防衛力を構築すべく、さまざまな取り組みを積み上げていき、そのうえで必要となるものの裏付けとなる予算をしっかりと確保していく。内容、金額、財源の3点セットで議論を行い、具体的な計画は、ことし末に策定する新たな国家安全保障戦略などとして、改めて内閣として閣議決定する」と述べた。
関連
[持ち回り閣議] 6月7日、岸田首相「新しい資本主義」実行計画決定 分配戦略後退指摘も
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/488743256.html
[経済財政諮問会議・新しい資本主義実現会議合同会議] 6月7日、新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画(案)、経済財政運営と改革の基本方針2022(案)について議論
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/488741446.html
ラベル:岸田文雄
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