植物防疫法改正案 国会審議へ 総合的防除の仕組み構築
https://www.jacom.or.jp/nousei/news/2022/03/220307-57333.php
2022年3月7日の農業協同組合新聞より転載
政府は植物防疫法改正案を2月に閣議決定し国会に提出した。温暖化など気候変動や、人、モノの移動の増加を背景に有害動植物の侵入、まん延リスクが増加していることから、国内への侵入状況を調査する事業を法的に位置づけるほか、総合的な防除の仕組み構築も位置づける。
病害虫は深刻な農業被害をもたらし、現在でも世界の食料の2〜4割が病害虫被害によって失われていると推計されている。
このため食料の安定供給には、植物を検疫し病害中の侵入とまん延を防ぐことが重要で、わが国は植物防疫法に基づき植物防疫所を設置して植物防疫官を置き、輸入検疫と国内検疫を行っている。
また、国内の病害虫防除を行うための国内防除、輸出先国・地域の要求に応じた輸出検疫を行っている。
今回の改正で「海外からの病害虫侵入リスクの高まり」に対しては、輸入検疫の対象と権限を強化する。
具体的には、入国旅客の携帯品に対する植物検疫官の検査権限を強化し、入国旅客から申し出がない場合でも必要に応じて質問や携帯品の検査を行えるようにする。輸出検疫でも同様に措置する。
また、土など付着リスクが高い中古農機などにも輸入検疫の対象にできるようにする。輸出検疫と国内検疫でも同じ措置を講じる。
検疫有害動植物・有害植物の定義を見直し、有害植物の定義に雑草を追加。輸入・国内検疫と国内防除の対象とできるようにする。
病害虫が侵入した際のまん延防止策も強化する。
▽植物防疫法に侵入調査事業を位置づけ、国の制度設計のもとで全国斉一的に調査できるようにする。
▽農業者等が調査対象の病害虫の国内侵入のおそれを認めた場合の通報義務を規定。
▽農林水産大臣が緊急防除の対象となる病害虫について防除内容基準を作成した場合は、緊急防除を行う事前周知期間を30日間から10日間に短縮。
▽緊急措置命令の内容に、栽培規制、移動規制、物品、倉庫などの消毒の措置を追加。
今回の法改正は、過度に農薬に依存した防除で薬剤耐性が発生し、いずれは防除が困難になることや、みどり戦略で化学農薬使用量低減を目標としていることから、化学農薬のみに依存しない、発生予防を中心とした総合的な防除の仕組みを構築する。
指定有害動植物の防除に関し、農林水産大臣が基本指針、都道府県知事が基本方針をふまえた計画を定める。都道府県知事は、農業者が遵守すべき事項を定めることができるように規定する。
遵守事項に即した防除が行われず、農作業に重大な損害を与えるおそれがある場合に、農業者に勧告・命令を行うことができる規定も盛り込む。
一方、農産物の輸出拡大に向けては、輸出先国の要求に応じて、病害虫の付着がないことなどと証明するための輸出検査が行う必要がある。
その検査業務が増加していることから、今回の改正で、現在は植物検疫官だけが行うことができる輸出検査の一部を、農林水産大臣の登録を受けた第三者機関も実施できるようにする。
令和4年2月22日(火)定例閣議案件
https://www.kantei.go.jp/jp/kakugi/2022/kakugi-2022022201.html
環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律案(決定)
(農林水産・財務省)
植物防疫法の一部を改正する法律案(決定)
(同上)
第208回国会(令和4年 常会)提出法律案
https://www.maff.go.jp/j/law/bill/208/index.html
令和4年2月22日 植物防疫法の一部を改正する法律案
概要(PDF : 238KB)
https://www.maff.go.jp/j/law/bill/208/attach/pdf/index-19.pdf
法律案要綱(PDF : 172KB)
https://www.maff.go.jp/j/law/bill/208/attach/pdf/index-18.pdf
法律案(PDF : 285KB)
https://www.maff.go.jp/j/law/bill/208/attach/pdf/index-14.pdf
理由(PDF : 186KB)
https://www.maff.go.jp/j/law/bill/208/attach/pdf/index-15.pdf
新旧対照条文(PDF : 431KB)
https://www.maff.go.jp/j/law/bill/208/attach/pdf/index-21.pdf
参照条文(PDF : 180KB)
https://www.maff.go.jp/j/law/bill/208/attach/pdf/index-20.pdf
植物防疫法の一部を改正する法律案の概要
政府は植物防疫法改正案を2月22日に閣議決定した。
正式名称「植物防疫法の一部を改正する法律案」。
今回の改正で「海外からの病害虫侵入リスクの高まり」に対しては、輸入検疫の対象と権限を強化する。
病害虫が侵入した際のまん延防止策も強化する。
今回の法改正は、過度に農薬に依存した防除で薬剤耐性が発生し、いずれは防除が困難になることや、「みどりの食料システム戦略」で化学農薬使用量低減を目標としていることから、化学農薬のみに依存しない、発生予防を中心とした総合的な防除の仕組みを構築する。
金子農林水産大臣記者会見概要
https://www.maff.go.jp/j/press-conf/220222.html
令和4年2月22日(火曜日)10時50分〜10時56分 於: 本省7階講堂
(大臣から)「環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律案」及び「植物防疫法の一部を改正する法律案」の閣議決定について
燃油等価格高騰への対応について
水田活用の直接支払交付金の見直しについて
冒頭発言
大臣
私から1点、御報告がございます。本日の閣議におきまして、「環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律案」及び「植物防疫法の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。これらの2つの法案は、昨年、農林水産省が策定した「みどりの食料システム戦略」の実現に向けて、その基本理念の法定化や環境負荷低減の取組を支援する計画認定制度の創設、化学農薬のみに依存しない総合的な防除を推進するための仕組みの導入等の必要な措置を講ずるものであります。これらの法律案によりまして、環境と調和のとれた食料システムの確立を図り、将来にわたり持続的な農林漁業・食品産業の発展につなげてまいりたいと考えております。
植物防疫法の一部を改正する法律案
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g20809033.htm
植物防疫法の一部を改正する法律案の概要
背景・趣旨
温暖化等の気候変動、人やモノの移動の増加を背景として、有害動植物の侵入・まん延リスクが増加。
化学農薬の使用に伴う環境負荷の低減が国際的に課題。
化学農薬に依存した防除により有害動植物の薬剤耐性が発達。⇒ 発生の予防も含めた、農薬だけに頼らない総合的な防除への移行・普及が急務。
加えて、農林水産物・食品の輸出の促進に伴う輸出検査ニーズの増大に的確に対応する必要。
[みどりの食料システム戦略] 2021年5月12日、みどりの食料システム戦略本部決定 SDGs, 昆虫食、持続可能な輸入食材、RNA農薬を推進
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/485903954.html
政府は2021年5月12日、「みどりの食料システム戦略」を策定した。
概要(画像)や説明資料(3月版)によると、SDGsを推進し、昆虫食、持続可能な輸入食材、RNA農薬を推進している。
持続可能な食料システムの構築として、RNA農薬の開発、ゲノム編集作物の開発、AIによるスマート育種システム、代替肉・昆虫食の研究開発、ドローンによるピンポイント農薬散布など。
SDGsは日本の農家・畜産農家を潰します。
ツッコミどころ満載な戦略です。
[みどりの食料システム戦関連法案] 2月22日、「みどりの食料システム戦略」の実現に向けて「みどりの食料システム法案」を閣議決定 有機農業に認定制度、税軽減へ 環境配慮推進
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/485908273.html
通称「みどりの食料システム法案」(環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律案)も2月22日に閣議決定した。
みどりの食料システム法案(環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律案)と「植物防疫法の一部を改正する法律案」は政府が策定した「みどりの食料システム戦略」の実現に向けた法案です。
SDGs, 昆虫食、持続可能な輸入食材、RNA農薬を推進する「みどりの食料システム戦略」はツッコミどころ満載です。
RNA農薬で生態系に影響がないのかと疑問に思います。
参考
[みどりの食料システム戦略関連法案] 2月22日、「みどりの食料システム戦略」の実現に向けて「みどりの食料システム法案」を閣議決定 有機農業に認定制度、税軽減へ 環境配慮推進
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/485908273.html
[みどりの食料システム戦略] 2021年5月12日、みどりの食料システム戦略本部決定 SDGs, 昆虫食、持続可能な輸入食材、RNA農薬を推進
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/485903954.html
[印鑰智哉氏ツイート] みどりの食料システム戦略の法案発表 日本の食のあり方を大幅に変える必要があるが、この法案だけでは達成不可能
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/485889961.html
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