交通反則金や車検の支払いもキャッシュレスに、それでも効率化を阻むアナログの壁
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/06544/
2022年2月10日の日経クロステック/日経コンピュータより転載
政府は、国に納付する行政手数料などをキャッシュレスで支払えるようにする「キャッシュレス法案」を2022年2月8日に閣議決定した。まず自動車検査やパスポート発給など4種類の手続きからキャッシュレス化に着手し、他の手続きにも順次広げていく方針だ。
行政窓口で収入印紙を購入するといった手間が不要になり、同法案は行政オンライン化を進めるうえでも大きな前進となる。ただし民間がメリットを享受するためにはまだ課題もある。企業に大量の納付通知書が紙で届くなど、業務効率化を阻むアナログな手続きが残っているからだ。
年間2000億円近くの納付金が対応へ
今回、閣議決定したのは「情報通信技術を利用する方法による国の歳入等の納付に関する法律案(キャッシュレス法案)」。国に納付する税金や手数料などをキャッシュレスやオンラインの決済手段で支払えるよう、一括で制度を整備する。2022年1月から開会中の通常国会に提出し、会期中の法案成立を前提に2022年度中の施行を見込む。
政府は年間1万件以上に及ぶ手数料のキャッシュレス化を推進する方針を、2021年6月の「デジタル社会の実現に向けた重点計画」などで決定している。法案を作成したデジタル庁は各省庁に対し、支払件数が多い手続きから優先して対応を進めるよう検討を促してきた。
現時点では4種類の手続きがキャッシュレスに対応する見通しだ。具体的には、車検の登録手数料(2022年度中)、パスポート発給の手数料(2022年度以降)、法人や土地に関する登記関連の手数料(2024年度)、交通反則金(2024年度以降)である。いずれもクレジットカードやQRコード決済、電子マネーで支払えるようにするほか、交通反則金はコンビニ決済にも対応する方針。
交通反則金による歳入は2017年度決算で549億円近くあるほか、車検も年間500億円規模の手数料支払いがある。登記は記載事項証明書など情報提供の手数料収入だけで2020年度に412億円強の見通し。4種類の手続きだけで2000億円近い納付金がキャッシュレスで支払えるようになる。
税金や行政手数料のキャッシュレス化やコンビニ決済は一部で実現している。国民年金や国税、都道府県に納める自動車税や一部地方自治体の地方税などである。いずれも国民年金法など、それぞれの根拠法を改正して対応してきた。
キャッシュレス法案の成立後、国の手続きに関しては各省庁が業務やシステムの整備を決断すれば、省令改正だけでキャッシュレスによる支払いが可能になる。地方についても2021年に成立した改正地方税法などで必要な制度整備が完了した。国と同じく、各地方自治体の決断次第でキャッシュレスに対応した手続きを増やすことができる。
令和4年2月8日(火)定例閣議案件
https://www.kantei.go.jp/jp/kakugi/2022/kakugi-2022020801.html
情報通信技術を利用する方法による国の歳入等の納付に関する法律案(決定)
(デジタル庁・財務省)
情報通信技術を利用する方法による国の歳入等の納付に関する法律案
https://www.digital.go.jp/laws/posts/yX0hPui5
本法律案は、令和4(2022)年2月8日、第208回国会(通常国会)に提出されました。
趣旨
国の歳入等の納付に係る関係者の利便性の向上を図るため、国の歳入等の納付の方法について定めた他の法令の規定にかかわらず、情報通信技術を利用して自ら納付する方法及び情報通信技術を利用して指定納付受託者に委託して納付する方法による国の歳入等の納付を可能とするために必要な事項を定める。
概要
情報通信技術を利用して自ら納付する方法による納付(インターネットバンキング等)
各省各庁は、国の歳入等の納付で主務省令で定めるものについては、当該納付に関する他の法令の規定にかかわらず、納付者が情報通信技術を利用して自ら納付する方法であって主務省令で定めるもの(インターネットバンキング等)により当該歳入等の納付を行わせることができることとする(申請等がオンラインで行われる場合※を除く。)。
※申請等がオンラインで行われる場合については、情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(外部サイト)で措置済み。
情報通信技術を利用して指定納付受託者に委託して納付する方法による納付(クレジットカード、電子マネー、コンビニ決済等)
各省各庁は、国の歳入等の納付で主務省令で定めるものについては、指定納付受託者に当該歳入等の納付を委託して納付する方法(クレジットカード、電子マネー、コンビニ決済等)により当該歳入等の納付を行わせることができることとする。
委託を受けた指定納付受託者は、主務省令で定める日(以下「指定日」という。)までに当該委託を受けた歳入等を納付しなければならないこととする。
当該指定納付受託者が指定日までに当該歳入等を納付したときは、当該委託を受けた日に当該歳入等の納付がされたものとみなすこととする。
指定納付受託者が指定日までに当該歳入等を納付しないときは、各省各庁の長は国税の保証人に関する徴収の例により当該指定納付受託者から徴収するものとし、その例による滞納処分をしてもなお徴収すべき残余がある場合でなければ、納付者から徴収することができないこととする。
指定納付受託者(クレジットカード、電子マネー、コンビニエンスストア等の事業者)
各省各庁の長は、委託を受けて国に歳入等を納付する事務を適切かつ確実に実施することができる者として政令で定める者を、その申請により、指定納付受託者として指定することができることとする。
指定納付受託者に帳簿保存等の義務を課すとともに、各省各庁の長は指定納付受託者に報告させること、その職員に立入検査をさせること等ができることとする。
各省各庁の長は、指定納付受託者が政令で定める者に該当しなくなったとき等は、その指定を取り消すことができることとする。
施行期日
公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日とする。
資料
概要(PDF/196KB)file:///C:/Users/press/AppData/Local/Temp/20220208_laws_law_outline_01.pdf
要綱(PDF/87KB)file:///C:/Users/press/AppData/Local/Temp/20220208_laws_law_outline_draft_02.pdf
案文・理由(PDF/141KB)file:///C:/Users/press/AppData/Local/Temp/20220208_laws_law_draft_03.pdf
新旧対照条文(PDF/121KB)file:///C:/Users/press/AppData/Local/Temp/20220208_laws_law_comparative_table_04.pdf
参照条文(PDF/108KB)file:///C:/Users/press/AppData/Local/Temp/20220208_laws_law_reference_05.pdf
情報通信技術を利用する方法による国の歳入等の納付に関する法律案の概要
政府は、国に納付する行政手数料などをキャッシュレスで支払えるようにする「キャッシュレス法案」を8日に閣議決定した。
まず自動車検査やパスポート発給など4種類の手続きからキャッシュレス化に着手し、他の手続きにも順次広げていく方針。
予算関連法案。
情報通信技術を利用する方法による国の歳入等の納付に関する法律案の概要
趣旨
国の歳入等の納付に係る関係者の利便性の向上を図るため、国の歳入等の納付の方法について定めた他の法令の規定にかかわらず、情報通信技術を利用して自ら納付する方法及び情報通信技術を利用して指定納付受託者に委託して納付する方法による国の歳入等の納付を可能とするために必要な事項を定める。
理由
国の歳入等の納付に係る関係者の利便性の向上を図るため、国の歳入等の納付の方法について定めた他の法令の規定にかかわらず、情報通信技術を利用して自ら納付する方法及び情報通信技術を利用して指定納付受託者に委託して納付する方法による国の歳入等の納付を可するするために必要な事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
牧島大臣記者会見(令和4年2月8日)
https://www.digital.go.jp/posts/minister-220208-01
「牧島デジタル大臣記者会見要旨
(令和4年2月8日(火)9時50分から9時57分まで 於:オンライン)
1.発言要旨
お待たせいたしました。本日もオンライン記者会見という形で行わせていただきます。
先ほど閣議決定いたしました国会提出の法案について、冒頭ご説明させていただきます。情報通信技術を利用する方法による国の歳入等の納付に関する法律案、いわゆるキャッシュレス法案でございますが、閣議決定を本日いたしました。この法案は、デジタル社会の実現に向けて、行政手続についてエンドツーエンドでのデジタル化を徹底することが重要という概念を持ってスタートさせていただくものであります。
この法案は、各府省庁が所管する行政手続での納付におけるキャッシュレス化を横串で横断的に推進するものであります。この方法によりまして、それぞれのご自宅などからクレジットカードや二次元コードでいつでも手軽に納付することが可能になりますし、行政手続の利便性の向上や業務の効率化も実現できる、そうした世界を目指していくための法案であります。
より利便性の高いデジタル社会を実現するために成立に向けてしっかりと対応してまいりたいと考えております。
私からは以上です。
(省略)」
行政手数料キャッシュレス法案を閣議決定 交通反則金は24年度末以降に
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2202/09/news063.html
2022年2月9日のITmediaの報道です。
「政府は2月8日、交通反則金など国の行政手数料の納付をクレジットカードなどでできるようにするキャッシュレス法案を閣議決定した。国会審議を経て2022年度中の施行を目指す。交通反則金については24年度末以降に導入する。牧島かれんデジタル相は閣議後の記者会見で「支払件数が1万件以上の手数料について可能なものからキャッシュレス納入を目指す」と見通しを示した。」
参考まで。
牧島大臣記者会見(令和4年2月8日)
https://www.youtube.com/watch?v=idFlmgTEEOo&t=366s
参考
[デジタル庁] 車検登録などの手数料 ネット納付できる法案提出へ
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/485357364.html
ラベル:キャッシュレス法案
【関連する記事】
- [健康保険法改正案] 4月19日、健康保険法などの改正案 参院本会議で審議入り ..
- [第13次地方分権一括法案] 4月19日、地方分権一括法が参院通過 共産党は住民..
- [合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案] 4月1..
- [衆院憲法審査会] 4月13日、“憲法9条に自衛隊 明記の是非” 各党が主張
- [マイナンバー法改正案] 4月14日、マイナンバー利用範囲拡大へ 法案が衆院本会..
- [出入国管理法改正案] 4月13日、“収容の在り方見直す” 出入国管理法改正案が..
- [健康保険法改正案] 4月13日、後期高齢者医療制度「保険料上限額引き上げ」 改..
- [合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案] 4月1..
- [IR推進本部] 3月14日、大阪のIR整備計画を認定 IR推進本部で決定 全国..
- 大阪のカジノIR、政府が認定へ 近く決定、長崎は見送り案浮上(共同通信2023年..
- [防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律案] 4月..
- [衆院憲法審査会] 4月6日、自民の“9条改正”に立民が疑念を主張
- [第13次地方分権一括法案] 4月5日、参院地方創生及びデジタル社会の形成等に関..
- [第13次地方分権一括法案] 3月3日、住基ネットで土地所有者特定 地方分権一括..
- [配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の一部を改正する法律案] ..
- [新型インフルエンザ特措法改正案] [内閣法改正案] 4月7日、参院本会議で「内..
- [防衛財源確保の特別措置法案] 4月6日、衆院本会議で防衛費増額に向けた法案の審..
- [国家戦略特区法改正案及び構造改革特区法改正案] 4月4日、国家戦略特区法など改..
- [新型インフルエンザ特措法改正案] [内閣法改正案] 3月30日、「内閣感染症危..
- [衆院憲法審査会] 3月30日、立民 小西議員の憲法論議めぐる発言 “発言切り取..