出入国管理法改正案 衆議院で審議入り
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210416/k10012978661000.html?utm_int=news-politics_contents_list-items_030
2021年4月16日のNHKニュースより転載
国外退去処分の手続きが進められている外国人のうち、逃亡のおそれが低いなどの条件を満たす人は、退去するまでの間、施設に収容せず、親族などのもとで生活することを認める出入国管理法などの改正案が、衆議院で審議入りしました。
不法滞在などで国外退去処分を受けた外国人が、出国を拒否することで、施設での収容が長期化するケースが相次いでいる問題の解消に向けて、出入国管理法などの改正案が、16日、衆議院本会議で審議入りしました。
改正案では、退去するまでの間、新たに「監理措置」を設けて、逃亡のおそれが低いなど、一定の条件を満たす人は、これまでのように施設には収容せず、親族や支援者のもとで生活することを認めるなどとしています。
上川法務大臣は「社会内で生活しながら退去の手続きを進めることが相当である場合には、収容にかわる選択肢として監理措置を創設することとし、これにより収容者数の減少とともに長期収容の解消が大きく期待できる」と述べました。
そのうえで「外国人を社会の構成員として受け入れるとともに、ルールを守らず在留が認められないと判断された人の退去を確実に実現することで、日本人と外国人が安心して暮らせる共生社会の実現につながる」と述べ、早期の成立に理解を求めました。
難民の支援者 「強制送還で命を失うおそれ」
オーバーステイなどで国外退去処分を受けた外国人をめぐっては、一定の条件を満たせば収容せずに親族などのもとで生活することを認める出入国管理法などの改正案が16日に衆議院で審議入りしました。
一方、今回の改正案では難民認定の申請について、3回目以降は手続き中でも強制送還できる規定が盛り込まれています。
出入国在留管理庁によりますと、今の法律では申請の手続きをしている間は強制送還されないことから、自国に送り返されるのを避けようと申請を繰り返すケースがあるとして、それを防ぐねらいがあるということです。
これに対し、難民の支援者などが「極めて強い人権侵害だ」などと抗議し、14日には、難民を支援しているNPOや大学生が「強制送還されれば内戦や民族差別などで命を失うおそれがある」などとして、廃案を求める4万人余りの署名を出入国在留管理庁に提出しています。
衆議院インターネット審議中継
https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=51927&media_type=
2021年4月16日 (金)
本会議 (1時間30分)
案件:
災害対策基本法等の一部を改正する法律案(204国会閣50)
地方公共団体情報システムの標準化に関する法律案(204国会閣31)
出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案(204国会閣36)
発言者一覧
説明・質疑者等(発言順): 開始時刻 所要時間
大島理森(衆議院議長) 13時 02分 01分
金子恭之(災害対策特別委員長) 13時 02分 03分
石田祝稔(総務委員長) 13時 05分 05分
上川陽子(法務大臣) 13時 10分 04分
屋良朝博(立憲民主党・無所属) 13時 14分 28分
吉田宣弘(公明党) 13時 42分 19分
藤野保史(日本共産党) 14時 01分 16分
山尾志桜里(国民民主党・無所属クラブ) 14時 17分 12分
答弁者等
大臣等(建制順):
茂木敏充(外務大臣)
岸信夫(防衛大臣)
丸川珠代(東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当 女性活躍担当 内閣府特命担当大臣(男女共同参画) )
【衆院本会議】「まずはわが国の難民認定に対する姿勢そのものを見直すべき」入管法改正について、屋良朝博議員
https://cdp-japan.jp/news/20210416_1191
2021年4月16日の立憲民主党HPより転載
「2019年のデータで、ミャンマー人に対する世界の難民認定数が1万3396人、認定率は92%だった。これと比較し、日本では788人の申請に対し難民認定はゼロ。わが国の難民認定に対する姿勢そのものについて、まずは見直すべき」(屋良朝博衆院議員)。
衆院本会議で16日、「出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案」(以下「出入国管理法改正案」)の趣旨説明と質疑があり、屋良朝博議員が登壇しました。
冒頭、屋良議員は、沖縄の基地問題、および東京オリンピック・パラリンピックの開催問題についても質問をしました。
■出入国管理法改正案について
まず人権に係る問題として屋良議員は、名古屋出入国在留管理局の収容施設におけるスリランカ女性死亡事件の調査結果の公表がいつになるのか、上川法務大臣をただしました。さらに今回の改正案について(1)国連難民高等弁務官事務所が「重大な懸念」を表明したこと(2)国連人権理事会が国際人権法違反とする見解を記した共同書簡を日本政府に送ったこと(3)国連やNGO、市民グループが入管施設に無期限収容される外国人の問題に懸念を表明していること――などを取り上げ、これら国際社会の指摘をどのように受け止めるのか、上川法務大臣をただしました。
また屋良議員は、わが国の難民認定のあり方そのものについても、政府の姿勢を問題視。国連人種差別撤廃委員会や米国務省から、難民認定率の低さを問題視されていることや、直近の令和2年における難民認定率も1.3%と極めて低かったことなどを指摘しました。後者の具体例としては、2019年のデータで、ミャンマー人に対する世界の難民認定数が1万3396人、認定率が92%だったのに対し、日本では788人の申請に難民認定はゼロだったことを取り上げました。その上で屋良議員は「『人権後進国』と言われても仕方のないレベルだ。まずはわが国の難民認定に対する姿勢そのものについて見直すべきではないか」と訴えました。
さらに在留資格が無い状態の入国者を一律に収容施設に収容する日本の「全件収容主義」についても、「国連などから『自由権規約に違反している』と指摘されていることに言及。これらの指摘に応え、難民認定制度の運用のあり方についても「直すつもりはないか」と上川法務大臣をただしました。
出入国管理法改正案の具体的な論点として、屋良議員は以下の点を問いただしました。
難民認定申請期間中の送還停止(送還停止効)
これまでの制度では、難民認定の申請がなされると、その手続が終了するまでの間は、申請の理由や回数を問わず一律に、送還が停止されることとなっていました。しかし今回の改正案では、難民認定や補完的保護対象者認定の申請を複数回行っている者については、認定をすべき「相当の理由」がある資料を提出しない限り、3回目以降の申請において「送還停止効」の対象外とすることとしています。
このことについて、「過去には入管当局に難民として認められなかった外国人が、裁判を起こし、控訴審で逆転勝訴するケースもあった。難民申請してからおよそ10年後にようやく難民としての地位を獲得した方もいる」「申請回数によって一律に送還停止効の例外を設けること自体、国際法上の原則に違反すると、国連人権理事会は指摘している」などと指摘。また「裁判手続により難民認定をされる可能性があるにもかかわらず、その芽を摘んでしまうことになる。本来は送還すべきでない者を誤って送還し、その者の生命や身体に危険を生じさせることになりかねない」と訴え、上川法務大臣にその見解をただしました。
収容期間の上限
これまで退去強制令書に基づく収容には上限機関の定めがなく、長期収容につながりやすくなっていると指摘。長期収容を防止するためには、「収容期間に上限を設定したり、収容を継続する際の司法審査を行うことが効果的ではないか」と述べ、今回の改正案においては、そのどちらも規定されなかった理由について、上川法務大臣をただしました。
監理措置制度
改正案により導入される「収容に代わる新たな監理措置制度」について「『監理人のなり手』として期待される外国人支援に取り組む個人や団体から『収容から解かれた外国人の監視が民間に押し付けられる』『監理人の担い手が見つからず、長期収容の解決にはなりえない』といった声が上がっている」と指摘しました。またそうした個人や団体の約9割が、監理措置制度に対して懸念を示しているとして、上川法務大臣の見解をただしました。
また新しい監理措置制度が、管理人となってくれる家族や支援者が存在すること、および上限300万円の保証金を支払うことを前提としており、「管理者の有無と資金力の有無に基づく差別的な制度だ」と国連人権委員会が指摘していることについて、上川法務大臣の見解をただしました。
逃亡した外国人に対する刑事罰
改正案では、(1)監理者のもとから外国人が逃亡した場合(2)強制退去命令を受けた外国人が出国手続きを進めないケース――を念頭に、新たな刑事罰を導入する内容となっています。このことについて「根本的な制度の見直しを優先するべきところ、刑事罰を含む強引な手法で問題解決を図るのであっては、抜本的な改善は望めない。支援者の活動を萎縮させるのではないか」と疑問を投げかけました。
入管法改定案 藤野議員の質問 衆院本会議
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik21/2021-04-17/2021041705_02_0.html
2021年4月17日の赤旗より転載
日本共産党の藤野保史議員が16日の衆院本会議で行った入管難民法改定案に対する質問(要旨)は次の通りです。
政府は「移民政策はとらない」との建前の一方、経済界が求める「安価な労働力」「雇用の調整弁」として外国人の受け入れを拡大する欺瞞(ぎまん)的な姿勢を取り続けてきました。このもとで、外国人の基本的人権を尊重した雇用、教育、社会保障などの支援制度は整備されず、不当な労働条件の押しつけや雇い止めなど人権侵害が横行しています。
在留資格を失った外国人を全て収容する「全件収容主義」のもと、まともな医療すら受けられない長期収容が常態化し、死亡事件も相次いでいます。基本的人権の尊重と国際人権基準に基づく入管制度に改めるべきです。
本案は、出入国在留管理庁の裁量拡大と厳罰化を進めるものです。外国人の人権侵害をさらに深刻化し、国際基準から逆行するもので、断じて認められません。
一定の要件をみたす外国人に入管施設外での生活を認める「監理措置制度」は、入管庁が「相当と認めるとき」にしか認められず、長期収容の改善が進む保証はありません。
監理人に対する、外国人への監督義務、政府への届け出義務、違反時の罰則は、支援団体や弁護人の立場と両立しません。収容の要否等への裁判所の関与、収容期間の上限設定などを行うべきです。
本案は、難民認定申請中は強制送還しないルールを改悪し、3回目の申請以降は強制送還できるとします。日本の難民認定率が0・4%以下と極めて低いことこそ、複数申請の根本原因ではありませんか。
極端に狭い日本の「難民」の定義を国際水準に改め、独立した第三者機関が難民認定の審査をするなどの抜本改革こそ必要です。
国外退去を拒んだ場合の罰則の創設は極めて重大です。退去強制令書を受けた人の9割超が国外退去に応じています。親の事情で在留資格がないまま日本で生まれ育った子どもや、非人道的な弾圧が続いているミャンマーやクルドなどから避難し、難民申請している人など、本来保護されるべき外国人の強制送還を増加させるのではありませんか。
国連人権理事会「特別報告者」らは3月、「国際的な人権水準に達しておらず、再検討を強く求める」との共同書簡を日本政府に提出しています。外国人との共生社会の実現に向け、入管制度の根本改革を強く求めます。
4月16日、衆院本会議。
出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案(出入国管理法改正案)を議題とした。
上川陽子法務大臣より趣旨説明を聴取した。
立憲民主党の屋良朝博氏、公明党の吉田宣弘氏、共産党の藤野保史氏、国民民主党の山尾志桜里氏が、上川陽子法務大臣、茂木敏充外務大臣、岸信夫防衛大臣、丸川珠代大臣に対して、それぞれ質疑を行った。
難民の人権は守るべきだが、偽装難民には反対します。
参考
[出入国管理法改正案] 2月19日、入管法など改正案を閣議決定 国外退去処分の外国人に「監理措置」
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/480114391.html
ラベル:出入国管理法改正案
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