負担2割法案が審議入り 後期高齢者の医療費引き上げ
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021040800897&g=pol
2021年4月8日の時事通信より転載
75歳以上の後期高齢者の医療費に関し、年収200万円以上の人などを対象に窓口負担を1割から2割に引き上げる医療制度改革関連法案が8日、衆院本会議で審議入りした。政府は今国会での成立を目指す。施行時期は2022年度後半とし、具体的には政令で定める。
趣旨説明と質疑が行われ、田村憲久厚生労働相は法案の狙いについて「22年度以降、団塊の世代が75歳以上になり始める中、現役世代の負担上昇を抑えながら、全世代が安心できる社会保障制度を構築する」と述べた。
【衆院本会議】山内康一議員「窓口負担の引き上げは受診抑制による重症化を招きかねない」健康保険法改正案対案の趣旨説明
https://cdp-japan.jp/news/20210408_1124
2021年4月8日の立憲民主党HPより転載
衆院本会議で8日、政府提出の「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案」とその対案として立憲民主党が7日に提出した「高齢者の医療の確保に関する法律の一部を改正する法律案」が議題となり、山内康一議員が提出者を代表して対案の趣旨説明を行ないました。
山内議員は「政府案では、単身世帯で年収200万円以上の75歳以上の窓口負担割合を現在の1割から2割に引き上げることで、現役世代の負担軽減を図ろうとしているが、新型コロナウイルスの感染拡大による受診抑制が懸念される中で、窓口負担割合を引き上げることは、更なる受診抑制による症状の重症化を招きかねず、コロナ禍の現状で窓口負担割合を引き上げるべきではない」と主張しました。そのうえで、「受診抑制による重症化は、命にも関わる問題だ」と危機感を示しました。
続いて、「コロナ禍の今、行うべきことは、まず保険料についての応能(収入に応じた)負担を強化していくことだ」と主張。「病気になった後期高齢者の患者さんたちに窓口負担で応能負担をお願いするのではなく、後期高齢者の中でも高所得の方に保険料の支払いの際に応能負担をお願いする方が、より公平な制度になる。具体的には、保険料の賦課限度額を引き上げ、後期高齢者の中で特に高所得の方に負担をお願いすることによって、公費の投入とあわせ、政府案の見込みと同程度、現役世代の負担を軽減できる」と本法律案の提出理由を述べました。
本法律案の概要について以下のとおり、説明しました。
(1)令和4(2022)年度以降の後期高齢者負担率について、当分の間、現行の算定方法により算定された率に、後期高齢者支援金の額の更なる縮減を通じて現役世代の負担の軽減が図られるようにする観点から政令で定める特別調整率を加える特例を設けることとし、現役世代の負担を軽減
(2)後期高齢者の負担能力に応じた保険料を課することができるよう、政府は保険料の賦課限度額の引上げの特例を設けるものとするとともに、後期高齢者負担率の特例に対応するための保険料の見直しの影響が中・低所得者に及ばないよう、後期高齢者医療広域連合が講じる保険料の減額措置に要する費用を、国が負担する仕組みを設ける
(3)高齢者の医療に要する費用の負担のあり方については、将来における医療に要する費用の見込み、高齢者の一部負担金に係る負担の割合を引き上げることとした場合における高齢者の必要かつ適切な受診の機会の確保に与える影響及び医療費の動向、各世代の負担能力等を勘案して検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられる
山内議員は公布日から施行すると述べ、本法律案への賛同を呼びかけました。
【衆院本会議】「後期高齢者医療制度の維持には、公費負担の拡充と『応能負担』の強化が必要」健保法改正案質疑で、中島克仁議員
https://cdp-japan.jp/news/20210408_1126
2021年4月8日の立憲民主党HPより転載
「後期高齢者向け医療保険制度の持続可能性を高めるとともに、現役世代の負担を軽減する、そのためには、公費負担の拡充とともに、いわゆる『応能負担』の強化によって、現役世代の負担を軽減するべき」(中島克仁議員)。
8日、衆院の本会議が開かれ、後期高齢者の医療費窓口負担を現行の1割から2割へ引き上げることなどを含む政府法案「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案」、およびこれに対する立憲民主党提出の対案「高齢者の医療の確保に関する法律の一部を改正する法律案」の2法案の趣旨説明と質疑が行われました。中島克仁議員が登壇し、質問の前半で政府のコロナ対応策、後半で健保法改正案ならびに野党の対案について質問をしました。
健保法改正案(政府法案)と立憲民主党提出の対案
■後期高齢者の窓口自己負担増(1割→2割へ)
今回の政府提出法案により、単身世帯で年収200万円以上の後期高齢者の医療費窓口負担が、現行の1割から2割へ引き上げられることについて中島議員は「支払う当事者からすれば、大変な自己負担増だ。後期高齢者の皆さんは、複数の病気をお持ちであるなど、現状においても、多大な医療費を支払っている方が多くいらっしゃる」と当事者の負担増の大きさを指摘。さらに窓口負担を引き上げるということになれば「コロナ禍において、すでに顕著な『受診控え』に拍車をかけ、症状の重症化をもたらす可能性もある。少なくともこのコロナ禍においては、これ以上の受診抑制を引き起こすような政策を実施すべきではないのではないか」と訴え、菅総理の見解をただしました。
また窓口負担増加に対して一定のラインにキャップをかける「配慮措置」が講じられることになることに関しても、「たとえ配慮措置を加味したとしても、外来費用負担の追加額は最大で年3万6,000円に上る。また入院費用には配慮措置は適用されない。このような配慮措置では、そもそも後期高齢者の『急激な負担増加を抑制する』と言うには不十分ではないか」と、総理の見解をただしました。
■後期高齢者医療制度の抜本的な改革
立憲民主党提出議員立法の提出者に対する質問
中島議員は、団塊の世代が後期高齢者になり、医療費全体が膨らんでいくにつれて、後期高齢者支援金を負担する現役世代の負担が今後、ますます厳しくなっていくことが危惧されることから「後期高齢者医療制度について、抜本的な改革が求められていることは明らかだ」と指摘。立憲民主党の法案提出者に対し、「立憲民主党提出の議員立法では、どのように現役世代の負担を軽減しようとしているのか」「議員立法で行おうとしている保険料の賦課限度額引き上げの対象となるのは、どのぐらいの所得階層か」とただしました。
これらの質問に対し、野党議員立法の提出者として登壇した稲富修二議員は「現役世代の負担軽減には、まずは後期高齢者の中で、特に高所得の方に『応能負担』をお願いすることが必要」との考え方を示しました。その上で、立憲民主党が提出した法案では、後期高齢者の負担割合を定める後期高齢者負担率について、(1)令和4(2022)年度以降の当分の間、現行の算定方法により算定された率に「特別調整率」を加える特例を設けること、またこの特例によって生じる後期高齢者の負担増については、(2)保険料賦課限度額の引上げにより所得の高い後期高齢者に更なる「応能負担」を求めること。またこれらに加え、(3)国による「公費負担」の拡充によって対応する――と説明。これらの措置により「政府案の見込みと同程度、現役世代の負担を軽減することができると考えている」と答弁しました。
中島議員は「医療保険制度の持続可能性を強化し、現役世代の負担を軽減するためには、公費負担の拡充とともに、保険料の負荷限度額の引き上げが必要と考える。医療サービスの利用を抑制する可能性のある窓口負担の引き上げではなく、所得の多寡に応じた負担をお願いする、いわゆる応能負担の強化によって、制度の持続可能性を担保するとともに、現役世代の負担を軽減するべきだ」と訴えました。
政府法案に対する質問
後期高齢者医療制度について「政府として、現在の保険料の賦課限度額(※)について、どのように認識しているのか」と、現在の保険料の賦課限度額について、菅総理の見解をただしました。
※賦課限度額:医療、介護などの各保険について、それぞれの保険に設定されている1世帯ごとの保険料の上限額を指します。
政府のCOVID-19(新型コロナウイルス)対策
■大阪、東京における緊急事態宣言解除、その後のまん延防止等重点措置などの対応について
質問の冒頭、中島議員は「昨日は全国の感染者が1月30日以来の3,000人を超えた。また大阪では、1日の感染確認が過去最高の800人を超えたことを受けて『医療非常事態宣言』が発出された」と指摘。その上で菅総理に対して (1)緊急事態宣言の解除時期は適切であったと考えているのか(2)その後の「まん延防止等重点措置」の適用は遅すぎたのではないか(3)変異株の脅威を鑑みれば、緊急事態宣言も検討すべきではないか――とただしました。
また前日に555人の新たな感染が確認された東京都の小池百合子知事が「まん延防止等重点措置」の適用を国に要請する考えを示したことについて、「早急に東京にも『まん延防止等重点措置』を適用するべきだ」と述べた上で、総理の見解をただしました。
■いわゆる『第4波』への備え
自身が医師である中島議員は、いわゆる『第4波』に備えるための新型コロナ対策について、政府をただしました。中島議員は「昨年末、GoToトラベルを止めず、対策が後手後手になった経緯、認識の乏しさ、危機感の欠如が新型コロナウィルス第3波を招き、医療のひっ迫を招いたことをお忘れでしょうか」と述べ、第4波についての政府の現状認識、第4波と判断するための基準、第4波に備えるための具体的な対策について、菅総理の見解をただしました。
■コロナワクチンの集団接種
集団接種計画の遅れと混乱
現状では、医療従事者の優先接種が終わらないまま4月12日から高齢者3,600万人の接種が始まろうとしており、「ワクチンを打ち終わっていない医療従事者が高齢者のワクチンを打ち始めるケースもあり、(中略)医療従事者からは、接種を後回しにされる不安も募っている」と指摘。その上で(1)4月からの高齢者接種を急ごうとしたのは、ひとえに『高齢者の接種を4月中にスタートする』と宣言した菅総理のメンツを保つための既成事実作りではないか(2)高齢者に対し、もっと丁寧な説明が必要ではいか(3)ファイザー社製ワクチン供給の進捗状況――について菅総理をただしました。
医療スタッフ確保のための課題
中島議員は(1)政府が「約1万人程度の医療スタッフの確保を図る」としている東京オリンピック・パラリンピックの開催(2)衆院の解散総選挙が行われた歳の、ワクチン接種施設や自治体職員の確保(3)変異株の感染爆発などによる医療機関の人手不足――といった不測の事態の例を挙げ、どのように対応するつもりなのか、菅総理をただしました。
■国産治療薬の開発
「わが国が医療先進国として培ってきた経験医学を新型コロナ治療方針の確立に向け、最大限発揮する局面だ」と述べた上で、中島議員は(1)新型コロナウイルス治療への応用が期待される国産の抗寄生虫薬「イベルメクチン」について、菅総理が委員会質疑の中で「わが国にとって極めて重要な薬で、最大限努力・支援していく」と答弁したことに触れ、「最大限の努力・支援を具体的にどこに、どのように指示を出したのか」ただすとともに、「新型コロナウイルス感染症の治療薬開発、確立に最大限の努力をせよと明確に指示を出して頂けないか」と菅総理に要請しました。またわが国には有事・緊急時の際の薬事承認の制度がないことから、こうした薬事承認の制度作りについて、菅総理の見解をただしました。
■「かかりつけ医(日本版家庭医)」制度の創設
中島議員は「新型コロナウィルス感染症のまん延・長期化により、わが国の医療体制の課題が浮き彫りとなった」として、プライマリ・ケア機能を持つ「かかりつけ医」の制度が日本にないことを取り上げました。新型コロナウィルスの感染拡大状況において、もしこうした制度が整っていたのならば、「相談から検査や加療へと適切に繋げられたり、ワクチン接種も、かかりつけ医の元で的確なリスクコミニケーションが図られ、円滑なワクチン接種が進められていたはずだ」と述べました。中島議員はコロナ対応や少子高齢化、人生百年時代を迎えた平時のわが国の医療体制の再構築のためにも、こうした「かかりつけ医」の制度が「不可欠だ」と訴えるとともに、菅総理にその見解をただしました。
4月8日、衆院本会議。
全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案と高齢者の医療の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題とした。
田村憲久厚生労働大臣より全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案の趣旨説明を聴取した。
提出者、立憲民主党の山内康一氏より高齢者の医療の確保に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨説明を聴取した。
自民党の武井俊輔氏、立憲民主党の中島克仁氏、公明党の伊佐進一氏、共産党の宮本徹氏、日本維新の会の青山雅幸氏、国民民主党の西岡秀子氏が、菅義偉内閣総理大臣、田村憲久厚生労働大臣、麻生太郎財務大臣、提出者、立憲民主党の稲富修二氏に対して、それぞれ質疑を行った。
議案名「高齢者の医療の確保に関する法律の一部を改正する法律案」の審議経過情報
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1DD226A.htm
西村智奈美君外十名提出の法案が野党の対案です。
高齢者の医療の確保に関する法律の一部を改正する法律案
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g20405011.htm
法律案です。
高齢者の医療の確保に関する法律の一部を改正する法律案要綱
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/youkou/g20405011.htm
法律案の要綱です。
全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案とは、団塊の世代が75歳以上になり始める中、現役世代の負担上昇を抑えながら、全世代が安心できる社会保障制度を構築すると田村憲久厚生労働大臣は答弁したが、弱い者イジメでしかない。
野党の対案の高齢者の医療の確保に関する法律の一部を改正する法律案も収入の多い高齢者に負担を求める内容のようです。
参考
[健康保険法改正案] 2月5日、75歳以上の医療費窓口負担2割に引き上げへ 健康保険法改正案を閣議決定
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/479907710.html
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