2019年05月17日

[国有林改正法案] 5月8日、衆院農林水産委員会で国有林改正法案の趣旨説明⇒5月9日、国有林改正案の実質審議入り⇒5月14日、国有林改正案の参考人質疑⇒5月16日、衆院農林水産委員会で国有林改正法案が可決

[国有林改正法案] 5月8日、衆院農林水産委員会で国有林改正法案の趣旨説明⇒5月9日、国有林改正案の実質審議入り⇒5月14日、国有林改正案の参考人質疑⇒5月16日、衆院農林水産委員会で国有林改正法案が可決

国有林を伐採する権利が民間企業に。土砂災害が多発しないか
https://news.yahoo.co.jp/byline/hashimotojunji/20190515-00126067/
橋本淳司 5/15(水) 13:53


(転載)

豪雨が頻発する時代に皆伐を進めて大丈夫か

 日本の森林の有り様を変える法改正が進んでいる。

 4月25日の衆院本会議で審議入りした「国有林野管理経営法改正案」はまもなく衆議院を通過し、参議院へと向かうが、この法案の注目度は著しく低い。著者が調べる限り、2019年1月1日から5月14日までに「国有林野管理経営法」が新聞に取り上げられたのは26件で、専門紙と地方紙が中心である。大手メディアでは取り上げられていない。

 この法案は「林業の成長産業化」をめざすものだが課題が多い。

 企業に長期間、森林を伐採する権利(樹木採取権)を与えるが、植林は義務付けていない。土砂災害を引き起こす危険をはらむ。持続可能な森林経営という点でも疑問が残る。

 この点をもっと慎重に議論する必要がある。

 折しも沖縄県与那国町を豪雨が襲った。5月13日午前9時50分までの1時間に約100ミリの猛烈な雨が降り、1日3度の「記録的短時間大雨情報」が発表された。いまだに「異常」気象と報道するメディアもあるが、ここ数年の度重なる豪雨災害を振り返れば、もはや「通常」と理解したほうが対策が進むだろう。

 気温が上昇すれば水循環は変わる。

 海水の温度が上がり、海面から水の蒸発が活発になる。

 また、海上の大気の温度が上がると、空気中に含むことのできる水蒸気の量が増え、湿度が高くなる。湿度が高くなると雨が降りやすくなる。日本周辺の水蒸気量は増加傾向にあり、そこに冷たい空気が吹き込むと激しい雨が降ってくる。

 森林には保水力がある。しかし、皆伐(一定の区域をすべて伐ること)されていればその力は弱まり、環境によっては土砂災害を引きおこす可能性がある。

バイオマス発電のために皆伐される森林

 「国有林野管理経営法改正案」は、国民の共有の財産である国有林を民間企業などに開放するもの。国有林の一定区域で、一定期間(最長50年)、林業経営者に樹木を採取する権利(樹木採取権)を創設する。

 国会で公明党の稲津久氏は「法案が林業の成長産業化にどのような役割を果たすのか」と政府に説明を求めた。

 吉川貴盛農相は、成長産業化へ林業経営者の育成を重視し、「経営者を育成するには安定的な事業量の確保が必要」と、国有林から長期的に樹木を採取できるようにする法案の意義を強調した。

 ここから読み取れる法改正のねらいは、大型国産材産業・バイオマス発電事業に木材を安価で大量に供給すること。それによって林業を成長産業にしようというものだ。

 地域の供給力を超える大規模なバイオマス発電の燃料用材の需要は大幅に増えている。東日本大震災以降、「放置人工林を間伐し、間伐材をバイオマス発電して、地域振興に利用」という理想的な絵が描かれたが、バイオマス発電事業は大きくなり、間伐材だけではなく、良質のA材や外国からの輸入材も利用している。

 法案では「樹木採取権」に関して一定の制限・制約を課しているが、前述したように伐採後の植林と森林の再生が「義務」ではなく「申し入れ」に止められている。対象の国有林が皆伐後に放置される可能性もある。また、放置された場合は、植林にかかる費用は税金によってまかなわれる。

 災害の多発も懸念される。世界的には持続可能な森林経営や気候変動に対応するための森林保全が進む中、逆行する政策といえる。

 NPO法人自伐型林業推進協会の調査によると、2017年、福岡県朝倉の豪雨災害地域では、調査した皆伐地全箇所で崩壊が確認された。2016年の岩手県岩泉の豪雨災害においても皆伐地の近くで土砂災害が起こっていることがわかる。

 また、川下での都市用水、農業用水の深刻な不足と質の低下も予測される。

 すなわち、一部の事業者の短期的な利益のみを満足させるもので、多くの林業者、国有林近くにすむ住民、将来をになう子供たち、地球環境、地域環境に大きな不都合をもたらす可能性がある。


(転載、ここまで)


衆議院インターネット審議中継
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=49002&media_type=

2019年5月8日 (水)
農林水産委員会 (3時間15分)

案件:
農林水産関係の基本施策に関する件
国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する法律案(198国会閣31)

発言者一覧
説明・質疑者等(発言順): 開始時刻 所要時間
 武藤容治(農林水産委員長)  13時 30分  01分
 斎藤洋明(自由民主党)  13時 31分  21分
 稲津久(公明党)  13時 52分  21分
 亀井亜紀子(立憲民主党・無所属フォーラム)  14時 13分  37分
 金子恵美(立憲民主党・無所属フォーラム)  14時 50分  37分
 青山大人(国民民主党・無所属クラブ)  15時 27分  21分
 近藤和也(国民民主党・無所属クラブ)  15時 48分  19分
 田村貴昭(日本共産党)  16時 07分  15分
 森夏枝(日本維新の会)  16時 22分  15分
 吉川貴盛(農林水産大臣)  16時 37分  06分

答弁者等
大臣等(建制順):
 田中良生(内閣府副大臣)
 小里泰弘(農林水産副大臣)
 鈴木憲和(外務大臣政務官)
 山田賢司(外務大臣政務官)
 伊佐進一(財務大臣政務官)
 濱村進(農林水産大臣政務官)


吉川貴盛(農林水産大臣)・国有林野.PNG


衆議院インターネット審議中継
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=49006&media_type=

2019年5月9日 (木)
農林水産委員会 (3時間03分)

案件:
国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する法律案(198国会閣31)
参考人出頭要求に関する件

発言者一覧
説明・質疑者等(発言順): 開始時刻 所要時間
 武藤容治(農林水産委員長)  8時 30分  01分
 小島敏文(自由民主党)  8時 31分  22分
 稲津久(公明党)  8時 53分  20分
 佐々木隆博(立憲民主党・無所属フォーラム)  9時 13分  29分
 石川香織(立憲民主党・無所属フォーラム)  9時 42分  36分
 緑川貴士(国民民主党・無所属クラブ)  10時 18分  40分
 田村貴昭(日本共産党)  10時 58分  16分
 森夏枝(日本維新の会)  11時 14分  16分
答弁者等
大臣等(建制順):
 吉川貴盛(農林水産大臣)
 小里泰弘(農林水産副大臣)
 濱村進(農林水産大臣政務官)



衆議院インターネット審議中継
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=49020&media_type=

2019年5月14日 (火)
農林水産委員会 (3時間06分)

案件:
国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する法律案(198国会閣31)
発言者一覧
説明・質疑者等(発言順): 開始時刻 所要時間
 武藤容治(農林水産委員長)  9時 00分  02分
 立花敏(参考人 筑波大学生命環境系准教授)  9時 02分  15分
 日高勝三郎(参考人 全国素材生産業協同組合連合会会長)  9時 17分  10分
 土屋俊幸(参考人 東京農工大学大学院農学研究院教授)  9時 27分  17分
 野口俊邦(参考人 信州大学名誉教授)  9時 44分  17分
 宮路拓馬(自由民主党)  10時 01分  20分
 稲津久(公明党)  10時 21分  21分
 佐々木隆博(立憲民主党・無所属フォーラム)  10時 42分  19分
 近藤和也(国民民主党・無所属クラブ)  11時 01分  19分
 田村貴昭(日本共産党)  11時 20分  22分
 森夏枝(日本維新の会)  11時 42分  21分



衆議院インターネット審議中継
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=49031&media_type=

2019年5月16日 (木)
農林水産委員会 (25分)

案件:
国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する法律案(198国会閣31)
発言者一覧
説明・質疑者等(発言順): 開始時刻 所要時間
 武藤容治(農林水産委員長)  9時 00分  01分
 神谷裕(立憲民主党・無所属フォーラム)  9時 00分  04分
 小寺裕雄(自由民主党)  9時 04分  04分
 佐々木隆博(立憲民主党・無所属フォーラム)  9時 08分  03分
 田村貴昭(日本共産党)  9時 11分  05分
 近藤和也(国民民主党・無所属クラブ)  9時 16分  06分


佐々木隆博・国有林野.PNG
田村貴昭・国有林野.PNG



第198回国会5月8日農林水産委員会ニュース
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_rchome.nsf/html/rchome/News/Honbun/nousui19820190508009.pdf/$File/nousui19820190508009.pdf

5月8日、衆院農林水産委員会。
吉川農林水産大臣より、国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する法律案の趣旨説明が行われた。

第198回国会5月9日農林水産委員会ニュース
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_rchome.nsf/html/rchome/News/Honbun/nousui19820190509010.pdf/$File/nousui19820190509010.pdf

5月9日、衆院農林水産委員会。
国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する法律案。
参考人から意見を聴取することに協議決定した。
吉川農林水産大臣、小里農林水産副大臣、濱村農林水産大臣政務官及び政府参考人に対し質疑を行った。

共産党の田村貴昭氏より、50年の標準伐期での主伐を基本とすることの確認、2017年の国有林の再造林及び保育の1ヘクタール当たりの費用、再造林及び保育に係る費用を立木の販売額では賄えず赤字を繰り返すことへの懸念などの質疑があった。

第198回国会5月14日農林水産委員会ニュース
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_rchome.nsf/html/rchome/News/Honbun/nousui19820190514011.pdf/$File/nousui19820190514011.pdf

5月14日、衆院農林水産委員会。
国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する法律案。
参考人から意見を聴取し、質疑を行った。
筑波大学生命環境系准教 花敏君氏、素材生産業協同組合連合会会長 高勝三郎氏、農工大学大学院農学研究院教授 土屋俊幸氏、信州大学名誉教 野口俊邦氏の4名の参考人。

共産党の田村貴昭氏より、木を切り過ぎているという認識に対する各参考人の見解の質疑があった。

5月16日、衆院農林水産委員会。
国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する法律案。
質疑は終局したとして、立憲民主党より修正案が提出された。
神谷裕氏より趣旨説明が行われた。
自民党の小寺裕雄氏が原案に賛成、修正案に反対の討論、立憲民主党の佐々木隆博氏が原案に反対、修正案に賛成の討論、共産党の田村貴昭氏が原案に反対の討論を行った。
採決を行ったところ、立憲民主党の修正案は賛成少数で否決、原案は可決した。
国民民主党の近藤和也氏より附帯決議が提出され、採決を行ったところ、賛成多数で可決した。
法案には附帯決議が付いた。

国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する法律案(国有林改正法案)は、竹中平蔵が民間議員を務める未来投資会議から出た法案。
利益誘導するものと思われる。




追記

未来投資会議構造改革徹底推進会合 会議資料(平成31年4月25日(木))(PDF)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/suishinkaigo2018/ppp/dai7/siryou1-10.pdf




参考

[国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する法律案] 2月26日、国有林改正法案を閣議決定 民間林業を支援
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/465748337.html




関連

[農林水産省] 5月24日、参院農林水産委員会で森林経営管理法案を可決⇒5月25日、参院本会議で可決・成立⇒6月1日、森林経営管理法を公布⇒平成31年4月1日に施行(附則第六条の規定は公布の日から施行)
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/460197065.html
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posted by hazuki at 16:33| Comment(0) | 法律・法案 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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