https://mainichi.jp/articles/20190418/k00/00m/010/264000c
毎日新聞2019年4月19日 03時00分(最終更新 4月19日 08時03分)
政府・与党は、一定以上の収入のある高齢者の厚生年金支給額を減らす「在職老齢年金制度」廃止の検討に入った。政府は、意欲のある高齢者が働き続けられるよう制度改正する方針を打ち出しているが、在職老齢年金には支給されるはずの厚生年金が減額され、高齢者の就労意欲をそいでいるとの指摘がある。高齢者の就労を後押しするには制度廃止が必要と判断した。来年の通常国会に厚生年金保険法などの改正案の提出を目指す。
在職老齢年金制度の対象は、60歳以上で就労し一定以上の賃金を得ている厚生年金受給者。60〜64歳は賃金(ボーナス含む)と年金の合計額が月28万円、65歳以上は月47万円を超えると年金支給額が減らされる。賃金が増えるほど減額幅は大きくなる。
厚生労働省によると、在職老齢年金の対象者は2016年度末時点で60〜64歳が約88万人、65歳以上が約36万人。これにより年約1兆1000億円の年金支出が抑制されている。
厚生年金の支給開始年齢は65歳へと段階的に引き上げられている。男性が25年度、女性は30年度に65歳に完全移行し、約7000億円の年金支出が抑制されている60代前半の在職老齢年金制度は失効する。
一方、65歳以上については、廃止すると約4000億円の財源が必要になる。年金財政への影響が大きいことから、政府・与党は、受け取れる年金額を段階的に増やしたうえで全額受け取れるようにすることも含め検討している。
65歳以上の在職老齢年金制度は、現役世代の負担を軽減する意味合いもある。制度廃止による満額支給には「高所得者優遇」との批判も出かねない。自民党内からは所得税負担を増やすなど税制も併せて見直すべきだとの意見も出ている。
内閣府は昨年8月、在職老齢年金制度がなかった場合、フルタイムで働く60代の男性が約14万人増えるとの分析結果を公表した。ただ、就労促進の効果が高いのは60代前半との指摘もある。65歳以上は、減額される基準が高く、減額による生活への影響が小さいからだ。検討過程では、こうした政策効果も論点になる見通しだ。【横田愛】
在職老齢年金
厚生年金ではもともと、在職中の年金支給は原則、なかった。しかし、60歳を超えると働いても賃金が減るなどするため、年金の一部を支給して生活を下支えする目的で導入された。65歳以上は年金生活が原則なので減額の基準が高い。
政府・与党は、一定以上の収入のある高齢者の厚生年金支給額を減らす「在職老齢年金制度」廃止の検討に入った。
高齢者の就労を後押しするには制度廃止が必要と判断した。
来年の通常国会に厚生年金保険法などの改正案の提出を目指す。
死ぬまで働けと言われているような気がする。
【関連する記事】
- [参院憲法審査会] 4月12日、参議院の緊急集会について自由討議
- ファイザー オミクロン株対応ワクチン 初回接種で使用を申請(NHKニュース202..
- [参院憲法審査会] 4月5日、“緊急事態時の国会機能 維持は” 議論
- アメリカのEV優遇策 日本メーカーも対象に 重要鉱物サプライチェーン強化の日米協..
- ワクチン接種後死亡の11人に一時金支給 因果関係否定できず(NHKニュース202..
- 4月から「マイナ保険証」を使わないと医療費アップに!対策を知って備えよう(ダイヤ..
- 政府が学校通じマイナ普及要請 昨夏、都道府県教委に(共同通信2023年3月19日..
- 日本政府 韓国向け輸出管理解除へ 韓国もWTO提訴取り下げへ(NHKニュース20..
- [衆院憲法審査会] 3月9日、緊急事態の認定の在り方などについて各党主張
- コロナワクチン接種後の死亡で初の認定「因果関係否定できず」(NHKニュース202..
- [衆院憲法審査会] 3月2日、緊急事態での対応などで議論
- [厚生労働省分科会] 2月22日、ワクチン無料接種継続 高齢者ら年2回の方針了承..
- 須藤元気氏 コロナワクチンに警鐘「接種戦略は既に破綻」「打てば打つほど感染する」..
- [消費者庁] 命に関わる危険性が 1歳未満の乳児には蜂蜜を絶対に与えないようにし..
- [昆虫食] [内閣府食品安全委員会] 2018年9月21日、新食品としてのヨーロ..
- 東電子会社の社員 再生可能エネルギー事業者情報を不正閲覧か(NHKニュース202..
- 新型コロナワクチン 秋から冬に次の接種 基本方針まとまる(NHKニュース2023..
- 乳幼児の副反応「成人より低い」コロナワクチン 岡山県など中間報告(山陽新聞202..
- 服役中のロック歌手死亡で 国側 ほぼ満額の賠償金支払いで和解(NHKニュース20..
- [旧優生保護法] 2月3日、旧優生保護法で不妊手術強制 熊本訴訟 国が控訴