2018年05月25日

[働き方改革関連法案] 5月25日、衆院厚生労働委員会で可決

[働き方改革関連法案] 5月25日、衆院厚生労働委員会で可決

働き方改革法案 委員会で可決
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180525/k10011452811000.html?utm_int=news-politics_contents_list-items_004
5月25日 18時03分

政府・与党が最重要法案と位置づける働き方改革関連法案は、衆議院厚生労働委員会で、野党側が抗議する中、採決が行われ、一部修正のうえ、自民・公明両党や日本維新の会の賛成多数で可決されました。

働き方改革関連法案を審議している衆議院厚生労働委員会は、午前9時すぎに開会されました。

与党側が法案の採決を行う構えを見せる中、立憲民主党などが加藤厚生労働大臣に対する不信任決議案を衆議院に提出したため、午前10時前に休憩となりました。

その後、衆議院本会議で、加藤大臣に対する不信任決議案の採決が行われ、自民・公明両党に加え、日本維新の会などの反対多数で否決されたのを受け、厚生労働委員会では、午後5時前から質疑が再開されました。

そして、野党側に割り当てられた質問時間が経過したことから質疑が打ち切られ、野党側の議員が高鳥委員長に詰め寄って抗議する中、法案の採決が行われました。

その結果、法案は一部修正のうえ、自民・公明両党や日本維新の会の賛成多数で可決されました。

与党側は国会の会期末まで1か月を切る中、法案を今の国会で成立させるため、来週29日に衆議院を通過させる方針です。

厚労相「1日も早い成立を」

加藤厚生労働大臣は記者団に対し、「厚生労働省が行った労働時間の調査結果の不備などで、国会や国民に迷惑をかけたことは、しっかり反省しなければならない。今後、衆議院本会議や参議院でも、真摯(しんし)に質問に答えて理解を得られるよう努力し、1日も早い法案の成立を図りたい」と述べました。

自民 田村氏「今国会で成立を」

衆議院厚生労働委員会の与党側の筆頭理事を務める自民党の田村元厚生労働大臣は記者団に対し、「長時間労働をどう是正するかが大きな課題となる中で、働く人の健康を守るための法案が可決されたことは、非常に大きい。データに不備があったのは問題だが、『是正をするな』というのは論点が違う。絶対に今の国会で成立させなければならず、参議院でもしっかり議論してほしい」と述べました。

自民 小泉氏「こんな国会終わりに」

衆議院厚生労働委員会の委員を務める自民党の小泉進次郎筆頭副幹事長は、記者団に対し、「野党側は18日間、国会を休みながら、『質問時間が足りない』と言うのは、どういうことなのか。国会に出てきたあとも、安倍総理大臣が出席した審議で、働き方改革のことは質問しなかった」と批判しました。
そのうえで「こんな国会は先進国ではほかになく、もう終わりにしないといけない。平成のうちに、与野党が協力して、国会改革をやるきっかけにしないといけない」と述べました。

立民 西村氏「採決は認められず」

衆議院厚生労働委員会の野党側の筆頭理事を務める立憲民主党の西村智奈美氏は記者団に対し、「『高度プロフェッショナル制度』の削除を求め、労働時間調査のデータに新たなミスが見つかった中での採決はとても認められないし、議会制民主主義が崩れるのではないかと憤りを覚える。『残業代ゼロで働かせ放題にしよう』というのが、安倍政権のもくろみで、強行的な採決は本当におかしい」と述べました。

立民 辻元氏「お粗末な強行採決」

立憲民主党の辻元国会対策委員長は記者団に対し、「採決の当日にデータの誤りが出てきて、大臣や政務官がおろおろと答えられないのに採決を強行するとは、別世界の映像を見ているようでこんなにお粗末なことはない。まだ、衆議院本会議での採決もあるので、来週も頑張りたい」と述べました。

国民 山井氏「必ず過労死は起こる」

国民民主党の山井和則氏は、記者団に対し、「過労死遺族が大反対している法案の強行採決などありえない。『高度プロフェッショナル制度』は、『残業代ゼロ制度』で必ず過労死は起こる。人の命を奪う法案を強行採決するとは、どういうことか。『残業代ゼロ制度』を阻止するために、諦めずに全力で闘う」と述べました。

共産 笠井氏「法案撤回し 労政審に戻せ」

共産党の笠井政策委員長は記者会見で、「審議の前提となっている労働時間のデータの問題は解決しておらず、『底なし沼』の状況になってきており、前提は崩れている。『聞く耳なし』で法案を通すのは、絶対に国民が許さない。さらに徹底審議し、『きっぱりと法案を撤回して、労働政策審議会に戻せ』と強く言いたい」と述べました。

最大の焦点は「高度プロフェッショナル制度」

働き方改革関連法案をめぐる議論で最大の焦点となっているのが「高度プロフェッショナル制度」です。「高度プロフェッショナル制度」は高収入の一部専門職を対象に、働いた時間ではなく成果で評価するとして労働時間の規制から外す新たな仕組みです。

制度のメリットについて厚生労働省は高度な知識を持ち自分で働く時間を調整できる人は労働時間に縛られず柔軟に働くことができると説明しています。

一方で野党側はさまざまな点で懸念があると主張しています。その1つが長時間労働が助長され、健康確保が十分できないのではないかという点です。制度が適用されると、深夜や休日労働の際、労働基準法で企業に義務づけられている割増賃金の支払い義務がなくなることから、野党側は長時間労働に歯止めがかからなくなるのではないかと主張しています。

また、法案では労働者の健康を確保する措置として年間104日以上の休日確保などを義務づけていますが、休日が確保できていればどれだけ働いても直ちに違法にはなりません。

これについて厚生労働省は「制度は企業側と労働条件を交渉できる専門的な知識や能力の高い人に対象を限定している。過重な業務命令がされた場合には労働基準監督署が判断し通常の労働時間管理に戻される可能性もある」としています。

また、野党側は対象となる職種が今後、拡大されるのではないかという点も懸念が残っていると主張しています。

法案では制度の対象となる労働者について「平均給与額の3倍の額を相当程度上回る水準」で、「高度の専門的知識を必要とし働いた時間と成果の関連性が通常高くないと認められるもの」とされています。

厚生労働省は年収が1075万円以上の証券アナリストや医薬品開発の研究者、経営コンサルタントなどが想定されるとする一方、最終的には法案成立後、省令で定めるとしています。

野党側が対象業務が広がりかねないと批判しているのに対し、厚生労働省は「対象業務を決める際には労使双方が参加する労働政策審議会で議論されるのでむやみに対象が広げられることはない」としています。

専門家「議論の流れが少し拙速すぎた」

「高度プロフェッショナル制度」をはじめとする労働基準法の改正について議論を進めてきた厚生労働省の「労働政策審議会」の委員で、学習院大学経済学部の守島基博教授は「『高度プロフェッショナル制度』は労働時間を管理しない労働者を一部に作るという日本の労働政策史上、革命的な制度のため、現在、企業で働いている人も労働組合も実際にどのように制度が運用されるのか知見がない状況だ。このため、もっと丁寧に議論を進めていかなければいけないのに個人的には議論の流れが少し拙速すぎた感じがする」と話していました。

そのうえで野党側が主張する、長時間労働の助長と対象となる職種の拡大といった懸念について、「どのような職種への適用が適当なのか、議論をさらに深めることが今後の課題だ。日本では働く人が労働時間や仕事量などをコントロールする状況に必ずしもなっておらず、こうした労働者に制度が導入された場合、長時間労働や健康被害を受ける可能性がある。対象となる職種として挙げられている職業も制度の適用により本当に自由な働き方ができるのか、年収などの要件も合理的な基準なのか、といった点がまだまだ詰められていない。こうした議論をより丁寧に行っていくべきだ」と話していました。


働き方改革・衆院厚労委採決.PNG



働き方改革関連法案は、衆議院厚生労働委員会で、野党側が抗議する中、採決が行われ、一部修正の上、自民・公明両党や日本維新の会の賛成多数で可決された。
国民民主党の岡本充功氏の質疑の最中、時間が過ぎていると、強行採決をした。
立憲民主党の西村智奈美氏が加藤勝信厚労相を不信と言い、不信任案が提出された為、一旦、委員会は中断した。
衆院本会議で加藤勝信厚労相の不信任案が否決された為、午後の委員会が再開。
立憲民主党の西村智奈美氏の質疑と国民民主党の岡本充功氏の質疑で採決をした。
酷い委員会でした。



働き方改革法案・概要.PNG

働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案の概要

労働者がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する働き方改革を総合的に推進するため、長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保等のための措置を講ずる。

I 働き方改革の総合的かつ継続的な推進
働き方改革に係る基本的考え方を明らかにするとともに、国は、改革を総合的かつ継続的に推進するための「基本方針」(閣議決定)を定めることとする。(雇用対策法)

II 長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等
1労働時間に関する制度の見直し(労働基準法、労働安全衛生法)
・時間外労働の上限について、月45時間、年360時間を原則とし、臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間(休日労働含む)を限度に設定。
(※)自動車運転業務、建設事業、医師等について、猶予期間を設けた上で規制を適用等の例外あり。研究開発業務について、医師の面接指導を設けた上で、適用除外。
・月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率(50%以上)について、中小企業への猶予措置を廃止する。また、使用者は、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、5日について、毎年、時季を指定して与えなければならないこととする。
・高度プロフェッショナル制度の創設等を行う。(高度プロフェッショナル制度における健康確保措置を強化)
・労働者の健康確保措置の実効性を確保する観点から、労働時間の状況を省令で定める方法により把握しなければならないこととする。(労働安全衛生法の改正)
2 勤務間インターバル制度の普及促進等(労働時間等設定改善法)
・事業主は、前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定時間の休息の確保に努めなければならないこととする。
3 産業医・産業保健機能の強化(労働安全衛生法等)
・事業者から、産業医に対しその業務を適切に行うために必要な情報を提供することとするなど、産業医・産業保健機能の強化を図る。

III 雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保
1 不合理な待遇差を解消するための規定の整備(パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法)
短時間・有期雇用労働者に関する正規雇用労働者との不合理な待遇の禁止に関し、個々の待遇ごとに、当該待遇の性質・目的に照らして適切と認められる事情を考慮して判断されるべき旨を明確化。併せて有期雇用労働者の均等待遇規定を整備。派遣労働者について、@派遣先の労働者との均等・均衡待遇、A一定の要件※を満たす労使協定による待遇のいずれかを確保することを義務化。また、これらの事項に関するガイドラインの根拠規定を整備。(※)同種業務の一般の労働者の平均的な賃金と同等以上の賃金であること等
2 労働者に対する待遇に関する説明義務の強化(パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法)
短時間労働者・有期雇用労働者・派遣労働者について、正規雇用労働者との待遇差の内容・理由等に関する説明を義務化。
3 行政による履行確保措置及び裁判外紛争解決手続(行政ADR)の整備
1の義務や2の説明義務について、行政による履行確保措置及び行政ADRを整備。

施行期日 I:公布日
II:平成31年4月1日(中小企業における時間外労働の上限規制に係る改正規定の適用は平成32年4月1日、1の中小企業における割増賃金率の見直しは平成35年4月1日)
III:平成32年4月1日(中小企業におけるパートタイム労働法・労働契約法の改正規定の適用は平成33年4月1日)




参考資料

勤務間インターバル
https://bizhint.jp/keyword/62097?trcd=brw_tw_keyword_62097




参考

[働き方改革関連法案] 修正協議、維新などと大筋合意 5月23日採決へ
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/459512536.html

[働き方改革関連法案] 裁量労働制適用の28歳社員が過労死 最長月184時間残業、IT企業
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/459419469.html

[働き方改革関連法案] 維新、高度プロフェッショナル制度の修正要求へ 適用撤回制度、自民に
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/459394651.html

[働き方改革関連法案] 5月8日、野党、対案の4法案を提出⇒5月9日、衆院厚生労働委員会で野党が対案の趣旨説明 高度プロフェッショナル制度を削除、勤務間インターバルの確保
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/459358732.html

[働き方改革関連法案] 5月2日、衆院厚生労働委員会で実質審議入り 野党は欠席
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/459199515.html

[働き方改革関連法案] 4月27日、衆院本会議で加藤勝信厚労省が趣旨説明後、審議入り⇒同日、衆院厚生労働委員会で加藤勝信厚労省が趣旨説明 野党は欠席
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/459147450.html

[働き方改革関連法案] 4月27日、衆院本会議で審議入り 野党、欠席の方針
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/459030735.html

[働き方改革関連法案] 希望 民進「高度プロフェッショナル制度」削除の対案提出へ 勤務間インターバルの確保も盛り込む
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/458859707.html

[働き方改革関連法案] 立憲民主党「働き方改革」で対案 高度プロフェッショナル制度を削除 11時間のインターバルを保障
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/458671789.html

[働き方改革関連法案] 4月6日、閣議決定 残業を規制 高度プロフェッショナル制度を創設
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/458639975.html

[働き方改革関連法案] 自民・公明両党が了承、4月6日閣議決定へ 
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/458613702.html

[働き方改革関連法案] 自民、働き方法案、了承見送り 残業上限「中小企業除外を」
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/458575405.html

[働き方改革関連法案] 4月6日にも国会提出 野党は対案、対立激化
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/458512498.html

[共同通信世論調査] 働き方改革関連法案、「今国会で成立させる必要はない」69.1% 「成立させるべきだ」17.1%
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/457579878.html

[働き方改革関連法案] 野村不動産の社員が過労自殺、裁量労働制の50代男性
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/457526017.html

[働き方改革関連法案] 裁量労働制の拡大削除「まだ安心できる状況ではない」 法政大・上西教授「高プロについても追及を」と警鐘
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/457456301.html

[働き方改革関連法案] 裁量労働制を分離 安倍首相、データ不備で方針転換 政権に打撃
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/457245702.html

[毎日新聞世論調査] 裁量労働制の対象拡大「反対」57% 「賛成」18%
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/457178528.html

[働き方改革関連法案] 裁量制データ「ずさんな調査」 担当した労働基準監督官が証言
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/457176974.html

[働き方改革関連法案] 厚生労働省の調査誤り受け与野党議論
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/457160818.html

[働き方改革関連法案]「なくなった」資料…実はあった! 厚生労働省で野党確認
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/457140163.html




関連

[産経新聞] 裁量労働制の拡大と民主党政権は関係ないのに「不備の厚労省調査 旧民主党政権が計画」と報道
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/457187275.html
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posted by hazuki at 22:58| Comment(0) | 法律・法案 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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