2018年05月19日

[米輸入制限] 政府 米輸入制限に対抗措置の用意 WTOに通知 対抗措置の規模は最大で約500億円

[米輸入制限] 政府 米輸入制限に対抗措置の用意 WTOに通知 対抗措置の規模は最大で約500億円

政府 米輸入制限に対抗措置の用意 WTOに通知
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180518/k10011444151000.html
5月18日 22時17分

アメリカのトランプ政権が日本の鉄鋼製品などを対象に発動した輸入制限措置に対して、政府は18日、WTO=世界貿易機関に対抗措置を取る用意があることを通知しました。

発表によりますと、政府は18日、スイスのジュネーブにあるWTO=世界貿易機関に、アメリカがことし3月に発動した日本の鉄鋼製品などに高い関税をかける輸入制限措置に対して、対抗措置の用意があることを通知しました。

対抗措置の規模は、アメリカの措置で引き上げられた関税分に相当する、最大でおよそ4億4000万ドル、日本円でおよそ500億円となっています。

一方で、対抗措置の対象とするアメリカからの輸入品の具体的な品目は示していません。今回のWTOへの通知は、アメリカの輸入制限措置に対して、将来対抗措置を取る場合に国際的な貿易ルールの上で必要になる手続きで、直ちに対抗措置を発動するものではありません。

アメリカの措置をめぐっては、中国が対抗措置を発動したほか、EU=ヨーロッパ連合も、対象となった場合にかける報復関税の品目リストを示しましたが、日本はこれまで対抗措置の応酬はどの国の利益にもならないとしているため、異なる対応になっています。

政府としては今回、対抗措置を取ることもあり得るという姿勢を示すことで、アメリから対象国からの除外を引き出したい狙いもあるものと見られます。

日本の狙いとは

WTOのルールでは、輸入が急増し自国の産業に被害があるとして、緊急輸入制限措置いわゆるセーフガードを発動した国に対して、影響受けた国に対抗措置を認めています。これに沿って、今回、日本政府は、アメリカが発動した日本の鉄鋼製品などを対象にした輸入制限措置をセーフガードと見なして、対抗措置の用意があることを通知しました。

日本がこうした対応に踏み切った背景には、トランプ政権が措置からの除外を、貿易赤字削減など別の問題の取り引き材料にする姿勢を鮮明にしていることがあります。日本としてはトランプ政権からの除外を条件にした別の問題での要求は受け入れられないとして、今回、対抗措置の可能性を示すことで、国際的なルールに沿って対応していくという明確なメッセージとしたい考えです。

一方で、中国などのように対抗措置の具体的な対象品目を示すことは見送り、重要な同盟国に一定の配慮をした形にもなっていて、政府としては当面はあくまでもアメリカとの話し合いの中で除外を求めていくことにしています。

トランプ政権 “除外”要求に応じず

アメリカのトランプ政権は、ことし3月、安全保障上の脅威を理由に、鉄鋼やアルミニウム製品に高い関税を課す輸入制限措置を発動しました。アメリカはその後、韓国やオーストラリアなど4か国を対象から除外し、カナダとメキシコ、EU=ヨーロッパ連合も一時的に除外していますが、日本の製品は対象から除外していません。

これに対して、日本は、世耕経済産業大臣や河野外務大臣がアメリカのライトハイザー通商代表に対し、「遺憾の意」を伝えるとともに日本を対象から除外するよう繰り返し求めています。

さらに、先月の日米首脳会談でも、安倍総理大臣がトランプ大統領に日本の製品はアメリカの安全保障を脅かすことはないとして、対象からの除外を重ねて求めました。

しかし、トランプ大統領は、日米の貿易や投資をめぐる今後の2国間協議でアメリカの貿易赤字の削減につながる合意ができれば検討する考えを示して、現時点では除外に応じていません。


米輸入制限の対抗措置・WTO.PNG



トランプが鉄鋼製品に25%、アルミニウム製品には10%の関税をそれぞれ課すと述べた問題。
3月23日、米輸入制限が発動して、日本は除外されず、適用となった。
ライトハイザーUSTR代表が、国別除外については4月末までに議論を収束させたいと発言していた。
しかし、日本は除外されず、世耕弘成経済産業相は5月1日、「日本を対象から除外しなかったことは極めて遺憾」とする談話を発表した。
政府は18日、スイスのジュネーブにあるWTO=世界貿易機関に、米国が今年3月に発動した日本の鉄鋼製品などに高い関税をかける輸入制限措置に対して、対抗措置の用意があることを通知した。
対抗措置の規模は、米国の措置で引き上げられた関税分に相当する、最大でおよそ4億4000万ドル、日本円でおよそ500億円となっている。
今回のWTOへの通知は、米国の輸入制限措置に対して、将来対抗措置を取る場合に国際的な貿易ルールの上で必要になる手続きで、直ちに対抗措置を発動するものではない。
政府としては今回、対抗措置を取ることもあり得るという姿勢を示すことで、米国から対象国からの除外を引き出したい狙いもあるものと見られる。
中国が対抗措置を発動したように、日本も対抗措置を発動しても構わないと思うのですが、何とか除外して欲しい日本です。
憶測ですが、日本が適用除外にならない理由に、神戸製鋼の製品データ改ざん問題があると思われます。

神戸製鋼 現場で何が起きているのですか?
https://www3.nhk.or.jp/news/business_tokushu/2017_1016_2.html

神戸製鋼所が製品の強度などの検査データの改ざんを繰り返していた問題。
自動車に鉄道、飛行機、ロケット。
ありとあらゆる製品に神戸製鋼所の製品が使われていた。
出荷された先はおよそ500社。
神戸製鋼は、約束どおりの強度を満たしていない製品を、基準を満たしているように出荷前の検査のデータを改ざんしていた。
少なくとも10年ほど前から不正が続いていたことが確認された製品すらある。
さらに問題なのは、不正が、あらゆる現場で当たり前のように行われていたことです。
2017年10月8日に神戸製鋼は不正を初めて公表。

神戸製鋼所、データ偽装による米司法省の調査「どうなるか予断を許さない」
http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20180307_02.html

東京商工リサーチによると、データ偽装製品の納入先数は、延べ525社から605社へ大幅に増加した。
2019年3月期以降の業績への影響について、門脇部長はアメリカ司法省から受けている調査を念頭に「調査には全面的に協力し、リスクはミニマムにしたい」と述べた上で、「まだ、どうなるか予断を許さない状況」と語った。

鉄鋼・アルミの関税賦課、日本は除外せず−ライトハイザーUSTR代表公聴会(1)−
https://www.jetro.go.jp/biznews/2018/03/0727a0fa766e60d9.html

3月23日のジェトロの発表によると、ライトハイザーUSTR代表は、日本については、クレア・マカースギル上院議員(民主党、ミズーリ州)の質問に答え、適用対象外のリストに入っていないと述べている。
神戸製鋼の製品データ改ざん問題は米国も把握している。
米国から対象国からの除外を引き出したい狙いは難しいと思います。



政府、米輸入制限に対抗措置検討 鉄鋼・アルミへの追加関税と同程度、WTO通知で調整
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/180518/mca1805180500005-n1.htm
2018.5.18 06:03




参考資料

鉄鋼・アルミの関税賦課、日本は除外せず−ライトハイザーUSTR代表公聴会(1)−
https://www.jetro.go.jp/biznews/2018/03/0727a0fa766e60d9.html

神戸製鋼所、データ偽装による米司法省の調査「どうなるか予断を許さない」
http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20180307_02.html

神戸製鋼 現場で何が起きているのですか?
https://www3.nhk.or.jp/news/business_tokushu/2017_1016_2.html

米鉄鋼輸入制限、23日に発動=通商代表が議会説明
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018032100492&g=int

世耕経済産業大臣がベルギー王国へ出張しました
http://www.meti.go.jp/press/2017/03/20180311001/20180311001.html

経産相、日米欧貿易相会合へ 米輸入制限はWTOの枠組で対応
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/business/2018/03/209434.php?t=0

米通商拡大法232条
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018030200278&g=tha

鉄鋼過剰生産問題を協議するグローバル・フォーラムがスタート(USTR、EU)
http://www.kanzei.or.jp/topic/international/2017/for20170105_2.htm<




参考

[米輸入制限] 世耕弘成経産相「極めて遺憾」“日本は除外なし”
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/459124659.html

[3月23日、米輸入制限発動] ライトハイザーUSTR代表、日本には適用 除外は7カ国・地域⇒世耕弘成経産相、輸入制限からの除外を働きかけ続ける
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/458264527.html

[米輸入制限] 3月23日発動 政府、除外要請を強化「粘り強く協議」
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/457956324.html

[米輸入制限] 世耕弘成経済産業相がライトハイザーUSTR代表に除外要請も「回答なし」
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/457905873.html

[米輸入制限] ウィルバー・ロス商務長官、全ての国に適用見通し⇒トランプ大統領、カナダ、メキシコ、オーストラリアを適用除外にする意向を表明 3月23日、輸入制限発動
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/457888596.html

[トランプ政権の輸入制限発動表明] 世耕弘成経産相と河野太郎外相が反論⇒ホワイトハウス高官、関税対象国に「例外なし」
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/457383942.html

世耕弘成経産相「米安全保障に影響ない」、トランプ政権の輸入制限発動表明で
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/457365043.html

トランプ政権、鉄鋼とアルミニウムに追加関税へ
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/457359506.html




関連

[米輸入制限前] 日本、対米投資2位に浮上 トランプ政権が刺激か
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/458284209.html
ラベル:経済産業省
【関連する記事】
posted by hazuki at 21:06| Comment(0) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。