2016年12月22日

[北方領土] 安倍首相「日本の領土だから返せでは実現しない。日露が共有できる4島の未来像を描くことからスタートすべき」

[北方領土] 安倍首相「日本の領土だから返せでは実現しない。日露が共有できる4島の未来像を描くことからスタートすべき」

安倍首相講演(3)「『日本の領土だから返せ』では実現しない」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161220-00000543-san-pol
産経新聞 12/20(火) 17:17配信

「生きているうちに故郷に戻りたい」「島で朝を迎えたい」「いつでも墓参をしたい」「自由に島に行きたい」−。こうした元島民の皆さんの切実な思いをかなえなければならない。その皆さんが相当高齢になる中で、これは特に急がなければなりません。

 今回の首脳会談では人道上の理由に立脚して元島民の皆さんが自由に墓参りをし、かつての故郷を訪れることができるよう、ありうべき案を迅速に検討することで合意しました。

 領土問題について当然ながら私はこれまでの日本の立場の正しさを確信しています。他方、ロシアにもロシアの立場があり、プーチン大統領はそれが正しいと確信している。しかし、互いにそれぞれの正義をただ主張し続けても、この問題を解決することはできません。

 これまで70年以上にわたって歴史的な経緯や国際法の解釈などの応酬を続けてきた結果が現在であります。もちろん過去こうした主張をぶつけたことは決してむだではなかった。しかし過去にとらわれるのではなく日本とロシアが共有できる4島の未来像を描くことからスタートしなければならない。

 日本人とロシア人がともに暮らし、ともに発展するウィンウィンの未来像をともに描いていく中で、領土問題を解決へと導いていくしか、70年たった現在道はない、私はそう確信をしています。それが平和条約に向けた新たなアプローチであります。

 そして今回、私とプーチン大統領は北方4島において、日本とロシアの特別な制度のもとでの共同経済活動について交渉を開始することで合意しました。当然今後の領土問題の解決に予断を与えるものであってはなりません。

 今回の共同経済活動は平和条約問題に関する日本およびロシアの立場を害するものではないという共通認識のもとに進めていくものであり、この点において私とプーチン大統領は完全に一致をしております。

 日本とロシアで特別の制度を作り上げ、この特別のルールのもとで北方4島すべてにおいて経済活動を行う。これは国際的にはほとんど前例のない取り組みであり、今後専門家による法的な詰めを行う必要がありますが、これが実現すれば経済活動に携わる日本人は島を何度も訪問することになります。

 日本人とロシア人が島々でともに暮らし、ともに働く。その中で相互の理解と信頼が深まっていけば、北方4島を対立の島ではなく共存の島とすることができます。私のこの提案に対しプーチン大統領も強い賛意を示してくれた結果、今回の合意になりました。

 現在4島であわせて1万7千人のロシア人が生活しています。もしその人たちが日本への領土返還に絶対反対だと声を上げたらプーチン大統領は果たして平和条約を締結できるでしょうか。

 政治も外交もリアリズムが最も大切です。ただ、「4島は日本の領土なんだから返せ」と言っているだけで実現するのならそんな簡単なことはありません。70年以上のときが流れたにもかかわらず現状は何も変わっていない。1ミリたりとも変わってはいないんです。

 現実を直視したアプローチをとらなければ平和条約締結というゴールにたどり着くことは決してできないと思います。

 そうした意味で北方4島を共存の島にしようという今回の共同経済活動に向けた協議の開始は平和条約の締結に向けた重要な一歩を踏み出すものであります。

 この認識にプーチン大統領も合意し、そのことを声明に盛り込むことができました。これまでさまざまな文書が日露間で作られてきましたが、平和条約というゴールに向かって大きな一歩を踏み出した。具体的に動き出したとロシアも認めたのは今回が初めてではないかと思います。

 今回の会談では8項目の経済協力プランについてもどんどん実行に移していくことで合意しました。あえて名前は言いませんが、ある野党の代表がロシアに対して、経済援助を行った。全く間違った認識であります。この間違った認識を発信されていましたが、ロシアは途上国ではありません。ODA(政府開発援助)を供与できる国ではないということは皆さんご承知の通りであります。

 ロシアは何と言ってもG8(主要8カ国)のメンバーであります。8項目の経済協力を具体的に進めていくのは基本的に民間企業であります。当然ながらウィンウィンでなければ、民間企業は進出をしない。これ当たり前のことです。

 今回、60本を超える民間ベースでの協力、覚書などが締結されましたが、これらはロシア側にもメリットがあり、同時に日本企業にもメリットがあるからこそ、合意に至ったものであります。それでもなお、経済協力や共同経済活動については常に平和条約は置き去りにされ、経済だけ食い逃げされるのではないか、といった懸念が国内から出ています。

 ロシアの側も平和条約交渉を前進させても経済は前に進まないのではないかと、疑心暗鬼になっています。日本とロシアがともに「猜疑心(さいぎしん)の砦(とりで)」に閉じこもっている。これがこの70年間の姿ではなかったでしょうか。

 しかしそれでも最終的な平和条約締結まで、たどり着くことはできません。ともに猜疑心の砦を打ち捨てなければなりません。日露両国民の相互の信頼を醸成していくことが必要です。

 もとより、平和条約は首脳同士で、国境線を引けば終わりということにはなりません。お互いに民主国家でありますから、批准するためにはそれぞれの国に持ち帰り、国民の理解を得なければならない。双方が受け入れ可能な解決策とはすなわち、双方の国民が納得できる結論ということであります。

 特に、領土交渉はナショナリズムに直結しかねます。センシティブな問題です。ですから平和条約を締結するためには、私とプーチン大統領の間に信頼関係があることはもちろんですが、同時に、両国の国民同士に信頼が醸成されていなければ解決などできるはずがないと思っています。

 日本は資源に乏しい国ですが、ロシアには豊富な天然資源があります。日本には高度な技術と資本があり、それを活用することで、ロシア極東の地には大きな発展の可能性が生まれます。

 日露の協力には無限の可能性があり、それを開花させることができれば、末永く、双方の国民に大きな利益をもたらすはず。日露の経済的な結びつきを深めていくことは双方にウィンウィンの関係をもたらし、日露両国民の信頼醸成に寄与するものと確信しております。

 だからこそ、8項目の経済協力プランを進めていくことが、時間のかかる道のりのように見えて実は、平和条約締結への近道である。互いに協力し、互いの利益を得る中から相互の信頼を醸成していくことによって両国民が受け入れ可能な平和条約が締結できるようになると考えています。

=詳報(4)に続く


安倍首相・講演・北方領土.PNG



「共有する意味が分からない」「ルーピー鳩山みたいなこと言ってんじゃないよ」「自分の時代で終わらせるとか言ってなかったかw」「1島すら絶対に返還されないのだから無駄な労力と税金を使うなよ」など、ネットの声。



参考

北方四島に日本人居住も 安倍首相、共同経済活動巡り 「信頼が深まれば、対立でなく共存の島にすることができる」
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/445088558.html

安倍首相、日ロによる特区をイメージ 北方四島の共同経済活動
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/445050487.html

プーチン大統領「1945年、ソ連はサハリン(樺太)だけでなく、南クリール諸島(北方領土)を取り戻した」と日本をけん制
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/445030341.html

「平和条約締結後の歯舞、色丹の引き渡しを明記した日ソ共同宣言には主権を返すとは書いてない」とプーチン氏は理解…安倍首相が明かす
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/445029498.html

[日ロ首脳会談]「シンゾウ・アベの計画は上手くいかなかった、国民に示せた成果は共同経済活動だけ」ロシア紙が首脳会談を皮肉る
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/444983863.html

[日露首脳会談] 大遅刻のプーチン大統領、今度は国歌演奏の取りやめを要求。演奏中止に
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/444980308.html

[プーチン大統領来日] 「引き分け」より後退したのか プーチン大統領はなぜかニコッと笑い、質問に熱弁を振るった
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/444972979.html

[プーチン大統領来日] 共同会見 安倍首相、領土問題解決へ「私たちの手で終止符を打たなければならない」
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/444952316.html

[プーチン大統領来日] 北方領土の共同経済活動開始で合意 元島民の自由訪問も迅速に検討
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/444942750.html

日ロ、北方四島に「特別な制度」 山口で会談、帰属問題に隔たり
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/444938759.html

[プーチン大統領来日] 日露首脳会談始まる 安倍晋三首相「夜は温泉にゆっくりつかって」
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/444920952.html




関連

「ロシアに進出する日本企業はロシアに納税を」 共同経済活動 ロシア高官インタビュー
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/444978526.html

[外務省] ロシア人向けビザ要件緩和を発表
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/444953969.html
ラベル:安倍晋三
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