2016年11月11日

外国人介護士は介護現場の「救世主」にはならない

外国人介護士は介護現場の「救世主」にはならない
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ダイヤモンド・オンライン 11/11(金) 6:00配信

10月下旬、衆院本会議で可決された「出入国管理・難民認定法改正案」は、日本の介護福祉士の国家資格を持つ外国人を対象に、「介護」職としての在留資格を新設した。それに加え、働きながら技術を学ぶ「外国人技能実習制度」の対象職種に「介護」を新たに加えることとした。参院での審議を経て今国会で成立する見通しである。世間には「これで深刻な介護現場の人材不足が解消される」との楽観論もある。しかし、介護現場の実態は厳しく、今回のケースで外国人介護士に門戸が開放されても、そう簡単には事態は改善しない。(ティー・オー・エス株式会社代表取締役、福祉・介護コンサルタント 高山善文)

● 日本の介護現場に 外国人が就労

 「ニッポンに行きたい人、手を挙げて! 」――。

 先生が日本語でそう質問すると、「ハイ! 」教室にいるほとんどの生徒が勢いよく手を挙げた。EPA(経済連携協定)が署名される前年、フィリピンにある看護学校で見た光景である。

 あれから8年――。

 今度は、「技能実習」という制度を使い、外国人が海を渡って日本の介護現場に来ることになる。

 言うまでもなく日本は国内の労働人口が減少する中、空前の人手不足である。とりわけ介護現場の人手不足は待ったなしの状況だ。

 これまで外国人は、日本に留学・滞在して「介護福祉士」の国家資格を取得しても、在留資格に「介護」に該当する在留資格が存在しなかったため、介護職として就労できなかった。

 今回、10月25日の衆院本会議にて賛成多数で可決された「出入国管理・難民認定法改正案」は、日本の介護福祉士の国家資格を持つ外国人を対象に、「介護」職としての在留資格を新設するものだ。また、働きながら技術を学ぶ「外国人技能実習制度」の対象職種に「介護」を新たに加えることとした。参院での審議を経て今国会で成立する見通しである。

 日本で外国人が滞在し、働くためには、「在留資格」という日本に滞在するための資格を取得することが必要だ。入管法という法律で27種類の資格が定められており、入国管理局において厳しく管理されている。

● すでに日本の介護現場で 働いている外国人とは

 在留資格には「就労を目的として滞在」、「就労以外の目的で滞在」、「身分又は地位に基づく者」と類型化されており、資格によって日本に滞在できる期間が定められている。

 現在、日本において働いている外国人は約90万人おり、そのうち介護現場で働ける外国人は、EPA(経済連携協定)でインドネシア、フィリピン、ベトナムから来日した外国人看護・介護士となっている。

 それ以外で私たちが介護現場で目にする外国人は、日本の永住者、日系人等の定住者、日本人の配偶者を持つ者、留学生である。ただ、利用者にとって本人がなんの在留資格を持ちながら働いているかはわからない。

● 介護職員で多いのは 在日外国人や日系人

 日本において在留資格で働いている外国人のうち、数が多いのは、定住者(主に日系人)、永住者、日本人の配偶者等である。その中でも特にフィリピン人は、大家族の中で育ち小さいころからみんなの面倒をみて働き者であり、介護との親和性が高いというイメージがある。

 ある通信会社はフィリピンと日本の国際通信事業で培った在日フィリピン人ネットワークを活用し、在日フィリピン人に対してホームヘルパー(初任者研修)の研修を行い、介護施設に人材紹介や派遣を行っている。彼女らの多くは「日本人の配偶者等」という在留資格を持っているため就労制限はなく、日本人とほぼ同じように働ける。そして読み書きは苦手な人が多いものの、日常会話は問題ない人が多い。

ある人材会社は、日系人であるフィリピン人を現地でリクルーティングし、フィリピンの医科大学と提携し、日本語教育、介護実技の教育を現地で行い、日系フィリピン人専門の人材派遣・紹介を行っている。派遣先は主に病院であり、看護助手の業務が多いという。日系人も、1990年の入管法の改正によって就労活動にも制限のない在留資格が与えられており、合法的に外国人労働者として働ける。

 フィリピン以外の国でも全国の介護施設の中では外国人を介護職員として受け入れているところも多く、その大半は日本に永住・定住する在日外国人、日系人である。

● 日本語学校の 留学生が介護現場に

 さらに、介護現場で働く外国人で最近増加しているのは、「留学生」だ。独立行政法人 日本学生支援機構(JASSO)が公表した「外国人留学生在籍状況調査結果」によると、2015年に日本で学ぶ留学生は初めて20万人を突破した。国別では中国、ベトナム、ネパール、韓国だ。顕著なのは、中国人留学生が、韓国人留学生が年々減少する中、ベトナム人留学生、ネパール人留学生が増加している。

 留学生は学業が本業なので本来は働くことができないが、入国管理局から「資格外活動許可」を受ければ原則として週28時間以内で働くことが可能である。人手不足を商機と見た日本語学校では、特に人手不足が顕著な介護業界をターゲットとして、この28時間を利用して、介護施設を「働く場所」として紹介している(ただ、基本的に留学生の場合、アルバイト先は選ぶことができるので介護職以外の給料が高いほうに行くことも多い)。

 ある日本語学校では、「日本語学校」〜「介護福祉士養成校」〜「介護施設」といった一連の流れを作り、留学希望者と介護施設等に提案を始めた。学生の費用を介護施設等が奨学金のような形で負担し、将来の人材不足を担うといったスキームだ。「介護」の在留資格創設を見越しての動きである。

 実際、日本介護福祉士養成施設協会がまとめた、今年4月1日現在の介護福祉士養成校の報告書によると、今春から外国人留学生が増加している。例年留学生は、全国で20人程度だったが、今年4月1日の調査では257人に増え、全入学者の3.5%を占めるまでになった(外国人留学生の内訳はベトナム人114人、中国人53人、ネパール人35人、フィリピン人28人、ほか27人)。

● そもそも技能実習制度に 介護職は適切なのか

 技能実習生制度は、国際貢献のため開発途上国等の外国人を日本で一定期間受け入れ、職場での実習を通じて技能、技術、知識を移転する制度のことである。技能実習の在留資格を取得している外国人は16万人を超えている。繊維・衣服関係、機械、食品関係等の業務についている。従来は、人に対して行ってきていないものに対して今回、対人サービスである介護を追加職種にする。

 技能実習制度については、多くの意見がある。中でも反対意見の多くは、技能実習制度自体の仕組みの欠陥についてである。アメリカ国務省の年次報告書においても、技能実習生制度は研修という名のもとに単純労働を行わせ、奴隷的に労働者を使っていると指摘されている。

 そもそも技能実習制度は、技能移転を目的としたものであり、従来対人サービスは行っておらず、今回、介護は対人サービスとして初めて門戸が開かれることになる。介護は単純労働でなく、コミュニケーションを含めた高度な専門職である。このことを技能実習生に任せても良いのであろうか、といった議論も根強い。

● 外国人技能実習生の 行方不明者数は年間3000人超

 EPA(経済連携協定)に加えて技能実習生、介護福祉士の在留資格創設と介護職種に外国人人材が多数流入してくることが予想される(送り出し機関、国内の人材紹介会社等がかなり活発に営業を推進して)が、当然リスクも考えられる。

 なかでも、一番大きな課題は「失踪」と「帰国」であろう。失踪については、公益財団法人国際研修協力機構(JITCO)が公表している資料によると、外国人技能実習生の失踪者は、2013年度から2015年度の累積で9000人を超えている。

 本国への帰国については、雇用側としてはある程度の期間は就業してもらえると期待していたが、家族、結婚等の理由で帰国してしまうものだ。せっかく手塩にかけて育て、資格取得をしても帰国してしまうケースが実際にEPA(経済連携協定)においても出ている。

● 将来的に介護は ベトナム人が担うか

 ベトナムからは既にEPA(経済連携協定)によって看護師・介護士の受け入れが始まっている。平成28年度時点で、看護師候補者53名、介護福祉士候補者417名が入国している。さらに、留学生では3万8882人(平成27年)、技能実習生においては毎月1000人以上の実習生が入国している。

 今年3月、在ベトナム日本国大使館と在ホーチミン日本国総領事館、国際交流基金ベトナム日本文化センターは、教育訓練省との間で、ベトナムの初等・中等教育に日本語を「第1外国語」として導入することに合意した。ベトナムでは民間の日本語学校も増加しており、今後日本語ができるベトナム人が増加していくと考えられる。

 こうした動きをみていると、日本の介護現場ではベトナム人が介護を担っている日が来る日は近いと思うのだ。

● 外国人介護士は 「救世主」にはなりえない

 現場の管理者は介護の仕事を行いたくて入職してくる職員が少なくなっていることに危機感を募らせている。しかも、人材不足のため、日本人でも指示通りにできない職員が増えているのが実情だ。

 ある特別養護老人ホームでは、正職員が採用できず、日勤を非常勤職員、人材派遣職員で回し、正職員は夜勤専門となっている。この施設では新人の教育を非常勤職員や人材派遣職員が行っている。このような人手不足の介護施設に、外国人労働者が入職してきても、OJTができるのだろうか。とてもではないが、そんな余裕がないのが現状だ。確かに一部の法人では、EPAでも行っているように外国人専門部署を創設し、トップ自ら陣頭指揮をとり、外国人の教育を行っている施設もある。しかしながら、大多数の中小事業者は自分たちのことで精いっぱいなのだ。

 ましてや、相手は異国に来ている外国人である。「暗黙知」が異なる分、日本人以上に丁寧な業務フォローと精神的ケアが必要で、私たちが常識だと思っていることも、彼ら彼女らには通用しないこともある。再度、繰り返すが、今の介護現場では、日本人の雇用管理で手一杯だ。介護職員を人員数だけの配置と考えているなら外国人介護士は救世主とはなりえないと思うのだ。

 アジア諸国は今後、急速な高齢化が進む。外国人人材の争奪戦は必ず近い将来起こりうる。外国人介護士が日本に定着してもらうためには、短期間の労働力を当てにするのではなく、移民政策も含め外国人が働きやすい仕組みと環境を整える必要と、私たちが現実を直視する勇気が必要だ。

 そうしなければ他国に人材が流れてしまうことは明白だ。




介護は単純労働でなく、コミュニケーションを含めた高度な専門職である。
このことを技能実習生に任せても良いのであろうか、といった議論も根強い。
外国人技能実習生の 行方不明者数は年間3000人超。
手塩にかけて育て、資格取得をしても帰国してしまうケースが出ている。
今の介護現場では、日本人の雇用管理で手一杯。
介護職員を人員数だけの配置と考えているなら外国人介護士は救世主とはなりえない。
参議院での審議を経て今国会で成立する見通しですが、成立を見送って欲しいものです。
これは移民を受け入れることと同じですからね。
#移民反対



参考

[介護福祉士] 留学生が急増、10倍に 日本で「手に技術」
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/443227520.html

介護職に外国人材拡大 関連2法案が衆議院通過
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/443121151.html

在留資格に「介護」追加の出入国管理法の改正案 衆議院法務委員会で可決
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/443001194.html

介護現場の外国人大幅増へ 「技能実習」職種に追加
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/442997585.html
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posted by hazuki at 11:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 法律・法案 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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