2016年10月31日

TPPで問題となるのは農業だけじゃない。著作権「死後70年」を受け入れて本当に良いのか?

TPPで問題となるのは農業だけじゃない。著作権「死後70年」を受け入れて本当に良いのか?
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2016.10.31

がしがしと、11月公演の新作『サバイバーズ・ギルト&シェイム』の練習を続けております。「抱腹絶倒の悲劇」ですので、興味のある方はぜひ、ネットでググっていただいてチケットを。と、いうわけで、話は変わってTPPですわ。

11月にはTPP関連法案は一括成立の見通しだそうで、「日本の農業はどうなる?」なんてのが議論の中心ですが、じつは、「著作権」も大問題なのだと、どれぐらいの人が知っているでしょうか。

 今、日本では作家が死んで50年たつと、著作権が切れます。パブリック・ドメインと呼ばれるフリーになるのですね。2016年の今年は、江戸川乱歩さんと谷崎潤一郎さんの著作権が切れます。ネットの「青空文庫」には、著作権が切れた作品がリストアップされ、みんな、無料で自由に読めるようになっています。

 でね、アメリカは作者の死後70年なのです。

 TPPを批准・参加するということは、無条件で「死後70年」を受け入れるということになるのです。

 でね、僕も作家なので、どっちがいいんだろうと考えるのですよ。

 そもそも、死後50年たって、商売になっている作家(例えば本を出版されている人)は、統計的に全体の1〜2%だそうです。それ以外、ほぼすべての作家は、死後50年もたつと、ビジネスベースでは成立してないのです。

 もともと、著作権が生まれた時、イギリスでは「著者の死後14年まで」でした。それが、ヨーロッパでは、クラシックの作曲家の遺族達の運動によって、どんどんと伸びるようになりました。

 そして、アメリカでは、ぶっちゃけて「ミッキーマウスの著作権を守るため」と言われていますが、死後70年に現在、なっています。

 これから先、じつは、もっと伸びるのではないかとも言われています。つまりは、ミッキーマウス関連の著作権を守るために、延々と伸ばし続けるんじゃないかという読みです。

 それは、アメリカは「著作権・特許」に関する収入が、年間12兆円ほどあるからです。アメリカは著作権で莫大な利益を得ているのです。

著作権が切れてこその新しい出会いもある

 日本は、アニメなどのソフトが頑張っていますが、残念ながら年間6000億円ほどの赤字です。まだまだ、日本は著作権で利益を出せる状態ではないのです。「死後50年派」は、カナダ、ニュージーランド、中国、ASEANの国々です。

 「死後70年派」は、アメリカやヨーロッパです。

 例えば、作家が80歳で死んだとして、その時、子供が50歳、孫が20歳だとすると、計算上は子供が100歳、孫が70歳まで著作権が続きます。子供は間違いなく死んでいるでしょうが、孫が生き残っている可能性は高いです。

 これが、死後70年になると、子供が120歳、孫が90歳となり、ほぼ、死んでいると考えられます。そうすると、曽孫が60歳、玄孫30歳が著作権継承者になります。

 ところが、実際にビジネスになるのはアメリカでも1%ぐらいですから(ミッキーマウスは例外中の例外なのです)、自分の曽祖父さんや曽曽祖父さんが作家だということを気に留めている人はかなり少なくなるのです。

 これは、逆に言うと、「昭和初期の作品のアンソロジーを作りたいんだけど、曽孫も玄孫もどこにいるのかまったく分からない。でも、著作権が切れてないから、勝手に載せられない。結果、掲載を諦めるしかない」という「孤児作品」と呼ばれるものが大量に生まれることになるのです。死後50年でも「孤児作品」は膨大にあります。死後70年になると、さらに増えるだろうと簡単に予想できます。

 シェイクスピアもシャーロック・ホームズも、著作権が切れたからこそ、大胆に改変されながら、新しい作品になっています。有名な作家はもちろんですが、著作権が切れることは、じつは、多くの作品にとって、もう一度、読者や観客と出会うことになる可能性が高いのです。

 アメリカがそうだからと、自動的に死後70年にしていいんだろうか。もっと話しあうべきなんじゃないのか、と僕は思っているのです。そもそも、ヒラリーさんもトランプさんも、TPPに反対してるんですよね。

 あらら、ですわ。




TPPを批准・参加するということは、無条件で「死後70年」を受け入れるということになるのです。
米国は「著作権・特許」に関する収入が、年間12兆円ほどある。
米国は著作権で莫大な利益を得ている。
著作権が切れてこその新しい出会いもある。
TPPは農業だけの問題ではない。
#TPP強行採決反対






内田聖子/Shoko Uchida @uchidashoko
【日刊SPA!】TPPで問題となるのは農業だけじゃない。著作権「死後70年」を受け入れて本当に良いのか? http://nikkan-spa.jp/1226329 @weekly_SPA から 鴻上尚史さんによるTPPの著作権保護期間延長についてのわかりやすく、的確な疑問。必読です。



国会中継 山田太郎 コミケ論議 TPP参加で著作権問題はどうなる?日本文化に影響が出るのではないか?
ラベル:TPP
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posted by hazuki at 23:13| Comment(0) | TrackBack(0) | TPP | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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