http://logmi.jp/84659
7月24日、ハワイ・マウイ島で開かれたTPP閣僚会合。ジャーナリストの堤未果氏が、その閣僚会合でも焦点となった医薬品の取り扱いに関する議論の内容をまとめるとともに、TPPの危険性をわかりやすく解説します。また、TPP交渉で最大の問題点となっている国家と投資家の間の紛争解決のルールを定めた「ISD条項」についても紹介します。TPPの参加によって医薬品の自己負担率が上がる可能性や、高額の薬が保険適用外になるおそれなど、多くの人に身近な危険として受けとめて欲しいと説明しました。(TOKYO MXとの共同企画でニュース番組『モーニングCROSS』を書き起こしています)
ログ名
モーニングCROSS
2015年7月23日のログ
「TPP」について
堀潤氏(以下、堀):このコーナーは専門分野に長けた論客の皆様に独自の視点で今、知るべきニュースを角度持って思う存分お話いただきます。
脊山麻理子(以下、脊山):改めてゲストをご紹介します。ジャーナリストの堤未果さんです。お願いします。
堤未果氏(以下、堤):よろしくお願いします。
堀:堤さん。テーマの発表をお願いします。
堤:はい。
(テーマ「TPP」について)
脊山:TPP(環太平洋パートナーシップ協定)を巡って交渉に参加する12ヵ国は、ハワイで24日(7月24日)から主席交渉官会合を、28日からは官僚会合を開くことにしています。新薬の保護期間など衝突が続く分野もあり、交渉の行方が注目されています。
堀:前々から指摘されている知的財産分野ですよね。話し合いの中で最も行き詰まっている。やはり、新興国側と米国側では非常に対立もしていると言われていますが。
著作権や特許権を守るためのルールを定める「知的財産」。中でも新薬に含まれる成分データを特許として秘密にする期間をめぐる対立が激しいということです。
ジェネリック医薬品の話もはじめ、「製薬メーカーVS新興国」というような構造も見え隠れしますよね。
TPPで薬の値段は上がる
堤:この新薬データ保護の問題です。今、だいたいこんな感じで。
堀:「医療品データの保護期間をめぐる各国の主張」ということで。
堤:アメリカは、できるだけ長くしたいわけですね。世界のトップ10位、上位10位の製薬企業のうち、5社がアメリカにあるので、非常に製薬企業の力が強く、できるだけ特許を引き延ばして、ジェネリック薬が市場に出にくくしたい。
このデータ保護期間の問題は、TPPが出てくるずっと前からあったんですね。HIVの薬とか、感染症の薬など、生死に関わる薬については、各国で判断してジェネリック製造できるというWTO特別規定があるんですが、これに製薬企業側がずっと反発してきた。
そこでTPPで一気に知的財産権保護強化を製薬業界がおしてきた。そもそもTPPは、日本国内では「国 対 国」の枠として報道されていますけれど、その本質は「多国籍企業群 対 国家主権」ですね。
何となく「自由貿易条項」という名前から、どんどん関税をなくしたり規制緩和で貿易を自由化していくイメージを多くの人が持ってると思いますけど、メインターゲットは「非関税障壁」なんです。そして薬に関しては、自由化ではなく知的財産権の保護を強化していく。
ですからこれは自由化とは逆の方向ですね。保護が強化されるとどうなるかというと、独占市場になっていくわけです。
ですから、「TPPで、ものすごくグローバルで自由になって値段が下がる」っていうイメージを持ちがちなんですけれども、実は、薬に関しては、独占体制が強くなりますから、薬の値段全体は当然上がっていくわけです。
ISD条項で多国籍企業が有利に
堤:では、日本の立場はどうでしょう? 日本はこれに関しては完全にアメリカ側に立って、薬の特許保護期間は他国も8年にすべきだと提案して、参加国から反発と失望の声が上がっています。
ただし薬の価格に関しては、この特許保護期間も重要ですが、もう1つ最大に警戒されているのが、TPPの肝といわれる「ISD条項」なんです。
ISD条項(Investor State Dispute Settlement)って、言葉自体を、初めて聞く人がほとんどじゃないでしょうか?
堀:最初ね、ISD条項の話が出た時に、時の首脳も「えっ」って言葉に詰まって、「よく知らない」なんて、国会で問題になりましたね。
堤:はい、佐藤ゆかり議員が国会で質問した時に、当時の民主党の野田首相が知らなかったとして問題になりましたど。ISD条項とは、参加国の国内法が投資している側の企業にとってフェアな競争を阻む、つまり商売の邪魔になると判断された場合、企業側がその国の政府を第三者機関に訴えることができるというものなんです。
ISD条項裁判は投資家側に有利になっていることから批判の声が大きいんです。これまでNAFTAでアメリカ側が起こした訴訟は46件で、カナダやメキシコ政府から多額の賠償金を受け取っていますが、アメリカ企業が負けた事例はゼロ、多国籍企業の一人勝ちなんです。
堀:NAFTAっていうのは、カナダ・アメリカ・メキシコの北米自由貿易協定と言われるものですけど。
堤:そうです。TPPはそれよりさらに企業側に有利なものとして、「NAFTAのステロイド版」、と言われています。
高額の薬が保険適用外になるおそれも
堤:ではこれを、薬でやられた場合どうなるか。『沈みゆく大国アメリカ 第2弾』という本にも詳しく書いたんですけど、例えば、日本は薬の値段を国が設定できますね。中医協(中央社会保険医療協議会)というところが決めている。私たちは、皆保険制度のおかげで安く薬が手に入る。
でも、このルールがあると、「皆保険制度や中医協のせいで薬の値段が安く下げられてしまう、フェアな競争の妨害だ!」と企業側、投資家側が判断した場合、ISDを使って裁判に訴えることができる。
これ、もし裁判に負けたらですね、日本は巨額の賠償金を税金で払わされることに加えて、国が薬の価格を設定するというルールを変えなきゃいけなくなるわけです。そうなると私たちが病院で薬をもらう時に、自己負担率があがったり、高い薬は国民保険制度を維持するために、保険から外される可能性が出てきます。こうやって影響が出てくるわけです。
結局、このISDがあれば、国家が国民を守っていたルールが、どんどん崩されていってしまう。米だろうが薬だろうが製造業だろうが司法だろうが、関係なく適用されますから。ここが危ないところなんですね。
堀:実を言うと、国連はすでに声明を発表していて、「人権侵害にあたる可能性があるから、TPPに関しては、公開の場で議論をするべし」と。「でないと、特定の企業や特定の強い勢力に利益が偏る可能性がある」ということを国連側も指摘してるんですよね。
堤:国連のそれは、TPP交渉を秘密裏に進めていることへの批判ですね。ISDに話を戻しますと、例えばオーストラリアはこのISD自体を最初からものすごく批判して、条約から削除するように要求していました。
他国でもTPP反対派はこのISD条項を非常に警戒しています。日本ではあまり知られてなく、報道にも全くでないんですけど、これいま、TPP交渉大詰めですから、後で「えっ知らなかった!」とならないように、是非「ISD条項」とういうのをできるだけ多くの人に知ってもらいたいですね。
堀:結構、外務省のHPだったかな。過去のISDで訴えられたケースが、どっちが勝ったのかとかも資料が一部公開されていたりもするので、是非皆さん、見てみてください。
ありがとうございました。
コミック貧困大国アメリカの著者でジャーナリストの堤未果さんがTOKYO MXとの共同企画でニュース番組「モーニングCROSS」に出演時の「TPP=ISD」解説の文字起こしです。
TPPで薬の値段は上がる。
薬に関しては、独占体制が強くなるので、薬の値段全体は当然上がって行く。
ISD条項で多国籍企業が有利に。
ISD条項とは、参加国の国内法が投資している側の企業にとってフェアな競争を阻む、つまり商売の邪魔になると判断された場合、企業側がその国の政府を第三者機関に訴えることができるというもの。
高額の薬が保険適用外になる恐れも。
「皆保険制度や中医協のせいで薬の値段が安く下げられてしまう、フェアな競争の妨害だ!」と企業側、投資家側が判断した場合、ISDを使って裁判に訴えることが出来る。
国内法で裁けない治外法権のISD条項を薬でやられたら、投資家側がISDを使って裁判に訴え、負けた場合、日本は巨額の賠償金を税金で払わされることに加えて、国が薬の価格を設定するというルールを変えなければいけなくなる。
やはり、TPPには断固反対しましょう。
著作権法第140条について(うぐいすリボン)
うぐいすリボン: 韓国弁護士連合会の声明 http://t.co/cNJlOBgYAf 「著作権法第140条の早急な改定を求める」 1957年に制定された著作権法は権利侵害の救済方法に関して民事的な方法を優先しながら被害者の告訴がなければ処罰することができない親告罪とした。
— hazukinotaboo (@hazukinotaboo2) 2015, 8月 20
hazukinotaboo @hazukinotaboo2
うぐいすリボン: 韓国弁護士連合会の声明 http://www.jfsribbon.org/2015/08/blog-post.html?spref=tw … 「著作権法第140条の早急な改定を求める」 1957年に制定された著作権法は権利侵害の救済方法に関して民事的な方法を優先しながら被害者の告訴がなければ処罰することができない親告罪とした。
TPPに関する自民党へのご意見はこちら。
自民党HP
https://www.jimin.jp/
自民党へのご意見
https://ssl.jimin.jp/m/contact
TPPに反対していた町村信孝大臣は、なぜ急死したのか?
TPPは既に国家戦略特区として始まっている
TPP交渉 著作権侵害は「非親告罪」で調整
【孫崎享】TPP、アメリカの本当の狙いは農産品の関税ではない!
山田正彦元農林水産大臣「TPP差し止め訴訟」について
TPP戦略の本当の狙いは世界統治だった。アメリカの市民団体のリーク情報
【三橋貴明】TPPで自動車の安全基準譲歩を要求!アメリカの日本侵略を可能にするTPPの本質
【金融ユダヤ】 TPPは植民地支配の罠 【NWO阻止】
【適菜収】 TPP知的分野合意へ! 12ヵ国著作権保護70年
ツイッターからの情報です。
TPPだけではなく、TiSA(ティサ)も危険らしいです。
TiSA(ティサ)に関しては、私は詳しくないので、調べてみます。
TiSA(ティサ)?こちらも危険です→http://t.co/8j28dFjhdr @hazukinotaboo 北京でのTPP閣僚会合、早期妥結に向けて重要=安倍首相 http://t.co/5Z5PCdOcxF …
— はぎの (@hagino22) 2014, 11月 7
はぎの @hagino22
TiSA(ティサ)?こちらも危険です→http://ameblo.jp/ponkiti-2013/entry-11949052310.html … @hazukinotaboo 北京でのTPP閣僚会合、早期妥結に向けて重要=安倍首相 http://hazukinoblog.seesaa.net/article/408457235.html … …
参考
TPP 米の強引裏目 準備不足露呈…合意見送り ISD条項導入で一致
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/423446845.html
TPP閣僚会合 大筋合意に至らず閉幕
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/423381094.html
TPPで牛肉輸入の外食などメリットを強調するマスコミ ISD条項の恐ろしさを報道すべき
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/423355925.html
TPP 日米 豚肉の関税などで最終調整 関税を10年かけて撤廃 31章のうち17の章の条文で交渉が収束またはほぼ収束
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/423167817.html
TPP「著作権」決着へ 「死後70年」と「非親告罪」
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/423155825.html
著作権侵害の賠償に最低額 TPPで規定へ
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/423055414.html
TPP、知財やコメの交渉正念場 首席会合が開幕 投資分野はISDS条項が焦点
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/423002463.html
アニメや漫画のパロディーは大丈夫か? 著作権者の告訴なくても起訴可能に TPP交渉で調整
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/423001379.html
TPP 酒・塩の関税10年で撤廃へ最終調整 ボトルワインは7年間で段階的に撤廃する方向
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/423000786.html
TPP著作権条項への反対署名、コミケや二次創作への萎縮効果を懸念 thinkTPPIPが緊急声明と110団体・3637人の署名を政府に提出
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/423000174.html
コミックマーケットは大丈夫か? 著作権侵害、非親告罪を導入へ=適用制限めぐり最終調整−TPP
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/422327708.html
TPP日米協議なぜ長期化? 交渉担当の通商代表部 大統領と議会で板挟み
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/422144788.html
「TPPはネットの自由阻害」 米団体、企業寄りのルール批判
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/421914780.html
山田元農相が語るTPP“漂流”の可能性 「阻止は時間との闘い」
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/420014797.html
TPPがはらむ問題点を専門家が指摘 「国民主権」が一部脅かされる懸念も
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/418975416.html
国会議員もTPP極秘案閲覧へ 政府が容認、守秘義務徹底
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/418438032.html
TPP交渉、21分野の29章の条文のうち3分の1に当たる10章が決着 知的財産なお難航 15日から首席会合
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/418296122.html
TPP反対派の山田元農相が暴露した「TPPは日米合意済み」の“中身”
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/417963147.html
TPPに関する情報公開法案を民主、維新が共同提出
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/417876165.html
TPP加盟で健康保険制度が崩壊する危険性を孫崎亨氏が指摘
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/413949773.html
コミックマーケットは大丈夫か? TPP交渉 著作権侵害は「非親告罪」で調整
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/413900470.html
「食糧はミサイル」TPP締結を阻止しよう〜札幌で山田正彦さん報告会
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/413739608.html
関連
国家破壊の協定「TiSA」を報じないマスコミ (アジア太平洋資料センター事務局長 内田聖子氏)
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/424508334.html
WikiLeaks: 新サービス貿易協定(TiSA)関連17件の極秘資料を暴露
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/424280371.html
[Sputnik] TPP合意は国営企業に民間企業と同様に行動する義務を負わせる– Wikileaks
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/423350961.html
[TPP交渉] オバマ大統領が署名しTPA法成立 「貿易のルール書き直す」とTPP合意に意欲 失業者対策(TAA)にも署名し成立
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/421558571.html
TPPと同時進行で秘密裏に進められている新サービス貿易協定(TiSA)交渉
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/408634718.html
ラベル:TPP
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