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2015年6月1日
大メディアはてんで報じていないが、TPPの行方が一気に不透明になってきた。旗振り役だった米国で議会が猛反発しているのである。TPP断固阻止で闘ってきた山田正彦元農相(73)に見通しを聞いたら、「漂流する可能性が高くなってきました」とズバリ。だとすると、選挙公約を無視して、TPPに突き進んでいる自民党政権はアホみたいな話になる。米政府高官や関係団体の幹部など幅広い情報網を持つ元農相に、TPP最新情勢と今後を聞いた。
■大統領選突入で米国はTPPどころではなくなる
――TPP交渉を巡って米議会が紛糾し、オバマ大統領は必死の電話攻勢で説得を続けていると伝えられています。米国で何が起こっているのですか?
順を追って説明すると、オバマ大統領がTPPを成立させる大前提として、米議会でTPA(貿易促進権限)法案を通す必要があります。大統領に交渉を一任するもので、この委任がなければ各国と合意できない。貿易自由化を支持する共和党の理解はある程度得たものの、大統領の支持基盤である民主党には反対派が多いんです。低賃金の海外勢に雇用を奪われる懸念や、輸出促進のために自国通貨を割安に誘導する為替操作対策、多国籍企業が進出先の政府に損害を求めるISD条項などが背景にあります。
――それでTPA法案の審議入りが遅れたんですね。先週、上院はギリギリ通過しましたが、結局、今月末に開催予定だった公式閣僚会議は流れてしまった。それでもUSTR(米通商代表部)のフロマン代表は「6月半ばまでには下院で可決するだろう」との見通しを示しています。
下院はさらに反対派が多いですから、状況は予断を許しません。豪のロブ貿易・投資相は「TPP妥結は2017年までずれ込む恐れがある」と発言しています。というのも、今夏を過ぎれば来年の米大統領選が本格化し、米国はTPPどころじゃなくなる。それに、民主党の最有力候補とされるヒラリー前国務長官は反対派ですから、TPPはこのまま“漂流”する可能性が高くなってきました。参加国の足並みも乱れてきています。マレーシアは「7月末までに政府がメリットとデメリットを明らかにし、国会決議をしない限り、調印しない」と表明しているし、ベトナムは「TPPは必要条件だが、十分条件ではない」との立場。NAFTA(北米自由貿易協定)の流れで引き込まれた形のカナダは、もともと消極的なんですよ。
■「メディアはなぜ問題点を積極的に報道しないのか」
――参加国がどんどん距離を置き始めている一方で、日本政府は前のめりのまま。慎重だった与党議員もメディアも「TPP締結やむなし」のムードが広がっています。おかしな話ですね。
本当におかしな話ですよ。TPPは農業と経済の問題だけで議論されがちですが、その影響は医療、介護、教育、公共事業、知的財産権まで広範囲に及びます。関税撤廃で安い農畜産物がドッと入ってきて国内の農畜産業がダメになるとか、逆に製造業が輸出拡大で儲かるとかだけの話じゃない。国民生活を一変させる大問題で、論点は山のようにあるのに、メディアはなぜ問題点を積極的に報道しないのか。関心が低いのか、勉強が足りないのか、それとも官邸の顔色をうかがっているのか。
■秘密交渉のTPPは「国民の知る権利」を侵害している
――TPP交渉の中身がサッパリ伝わってこないのも、世論が盛り上がらない原因ではないでしょうか。米議会では守秘義務をかけた上で全議員が条文案全文を閲覧できるのに、日本では国会議員ですら目にすることができません。内閣府の西村康稔副大臣が一度は開示方針を示したものの、「日本には守秘義務違反に刑事罰がない」との理由で撤回しました。
TPPは、まさに秘密交渉で進められています。政府は国民に内容を知らせないまま、交渉をまとめようとしている。憲法が保障する「国民の知る権利」を侵害しているんです。そこで我々は今月15日に国を相手取って、TPP交渉の差し止め、交渉の違憲確認、損害賠償を求めて東京地裁に提訴しました。弁護団は157人を数え、原告総数は1063人に上ります。訴訟の会員は3800人ですが、さらに増え続けていて、今は4000人を超えました。原告団の中には国会議員8人が名を連ねています。現職議員が国に対して裁判を起こすのは初めての事例です。これほど賛同者が集まったのは、TPPが国民生活を大きく揺るがす脅威だからです。身近なところから挙げれば、食の安全が守られなくなる。米国は遺伝子組み換え食品の表示禁止、添加物や残留農薬の基準を米国レベルに合わせることを求めてきています。産地や成分表示も撤廃しろと迫っている。「(日本には)国産表示があるから外国産が売れない」というのが米国の言い分なのです。
――3・11以降、消費者は食品表示に敏感になっています。米国の言いなりになれば、消費者は国産か外国産かの見分けさえつかなくなってしまいます。
最も影響を受けるのが、アレルギーやアトピーに悩む子どもたちです。お母さん方は「食品表示がなくなれば、子どもに何を食べさせていいのか分からなくなる」と悲鳴を上げています。文科省の全国実態調査(13年)によると、公立小中高に通う全児童・生徒の4・5%が食物アレルギーを抱えているといいます。日本では禁止されている成長ホルモンを投与された畜産物や、腐食防止などを目的に放射線照射された野菜がどんどん入ってきたら、子どもたちの健康を守っていけるのか。
■日本は米韓FTAで主権を失った韓国の二の舞になる
――医療や雇用の面での懸念はどうですか。
医療でいえば、最初は僕も自由診療が広がって、最先端医療を求める人に機会が増えるのはいいことだと思っていた。ところが、実態はそう甘いもんじゃない。医療法人が株式会社化され、利益を生む自由診療が幅を利かせるようになり、医療の差別化が始まる。公的保険でカバーされる医療行為がどんどん狭まり、お金がない人は病院に通えず、薬も買えなくなる。国民皆保険制度をとらない米国と同じ状況に追い込まれるのです。医薬品価格は厚労省が開発費などを考慮して決めているのですが、米国と同じように製薬会社が決定権を持つようになる。すると、タミフル1錠が7万円という世界が現実になるんです。生存権も幸福追求権も侵害されてしまう。
――雇用についてはどうですか。
僕は日本がTPP交渉の参加条件にされた日米並行協議も注視しています。これまでも「対日年次要望書」を突きつけられてきましたが、この並行協議で2国間の“懸案”を解消することになっていて、俎上に載せられた派遣法改悪や金銭賠償による解雇が着々と進められている。憲法で守られた労働3法が形骸化されようとしているのです。農水大臣を辞めた後、12年1月に訪米してUSTRのカトラー代表補(当時)と面会したのですが「米韓FTA(の内容)を見てほしい。(日本には)それ以上のものを求める」と明言されました。まさに日本も韓国のようになっていくと考えなければなりません。
――12年に米韓FTAが発効された韓国では、その後1年で畜産業の7割が廃業し、農業は壊滅的な打撃を受けていると伝えられていますが……。
衝撃はそれだけではありません。政府発表で63本、弁護士会による調査では187本の国内法が改正を強いられた。国内法より投資家の言い分が優先されるISD条項があるため、「規制のせいで損害を被った」と主張する多国籍企業による賠償請求を恐れたためです。これは国の主権を失ったも同然です。韓国の法曹界も動き、11年12月に167人の裁判官が「ISD条項によって国の司法主権が損なわれる」として大法院(日本の最高裁に相当)に不服申し立てをしています。TPPに反対する「パブリック・シチズン」(米NGO)のローリー・ワラック氏が講演で話していたのですが、米国民の間でも「TPPは死んだ魚のようだ。太陽に長くさらされればさらされるほど、臭いがひどくなる」という声が高まっているそうです。つまり、TPPを阻止するのは時間との闘い。時間がかかればかかるほど、メチャクチャな実態が明るみになる。そうすれば頓挫に追い込むことができるのです。
▽やまだ・まさひこ 1942年、長崎県五島市生まれ。早大第一法学部卒。弁護士。93年、新生党公認で衆院初当選。12年まで5期15年務める。民主党の菅内閣で農相。著書に「TPP秘密交渉の正体」など。
TPPの行方が一気に不透明になって来た。
TPP断固阻止で闘って来た山田正彦元農相(73)に見通しを聞いたら、「漂流する可能性が高くなってきました」とズバリ。
オバマ大統領がTPPを成立させる大前提として、米議会でTPA(貿易促進権限)法案を通す必要があります。
大統領に交渉を一任するもので、この委任がなければ各国と合意出来ない。
貿易自由化を支持する共和党の理解はある程度得たものの、大統領の支持基盤である民主党には反対派が多いんです。
それでもUSTR(米通商代表部)のフロマン代表は「6月半ばまでには下院で可決するだろう」との見通しを示しています。
下院はさらに反対派が多いですから、状況は予断を許しません。
豪のロブ貿易・投資相は「TPP妥結は2017年までずれ込む恐れがある」と発言しています。
というのも、今夏を過ぎれば来年の米大統領選が本格化し、米国はTPPどころじゃなくなる。
TPPは、まさに秘密交渉で進められています。
政府は国民に内容を知らせないまま、交渉をまとめようとしている。
憲法が保障する「国民の知る権利」を侵害しているんです。
TPP締結を阻止すべく、意見を送りましょう。
TPPに関する自民党へのご意見はこちら。
自民党HP
https://www.jimin.jp/
自民党へのご意見
https://ssl.jimin.jp/m/contact
TPP交渉 著作権侵害は「非親告罪」で調整
【孫崎享】TPP、アメリカの本当の狙いは農産品の関税ではない!
山田正彦元農林水産大臣「TPP差し止め訴訟」について
TPP戦略の本当の狙いは世界統治だった。アメリカの市民団体のリーク情報
【三橋貴明】TPPで自動車の安全基準譲歩を要求!アメリカの日本侵略を可能にするTPPの本質
【金融ユダヤ】 TPPは植民地支配の罠 【NWO阻止】
【適菜収】 TPP知的分野合意へ! 12ヵ国著作権保護70年
ツイッターからの情報です。
TPPだけではなく、TiSA(ティサ)も危険らしいです。
TiSA(ティサ)に関しては、私は詳しくないので、調べてみます。
TiSA(ティサ)?こちらも危険です→http://t.co/8j28dFjhdr @hazukinotaboo 北京でのTPP閣僚会合、早期妥結に向けて重要=安倍首相 http://t.co/5Z5PCdOcxF …
— はぎの (@hagino22) 2014, 11月 7
はぎの @hagino22
TiSA(ティサ)?こちらも危険です→http://ameblo.jp/ponkiti-2013/entry-11949052310.html … @hazukinotaboo 北京でのTPP閣僚会合、早期妥結に向けて重要=安倍首相 http://hazukinoblog.seesaa.net/article/408457235.html … …
参考
TPPがはらむ問題点を専門家が指摘 「国民主権」が一部脅かされる懸念も
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/418975416.html
「誤解与えた」と甘利担当相 TPP協定の閲覧容認撤回で
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/418635075.html
TPP極秘案閲覧を撤回 内閣副大臣「真意伝わらず」
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/418613430.html
TPP説明会、一般向けを初開催へ 15日、都内で
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/418518308.html
国会議員もTPP極秘案閲覧へ 政府が容認、守秘義務徹底
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/418438032.html
TPP交渉、21分野の29章の条文のうち3分の1に当たる10章が決着 知的財産なお難航 15日から首席会合
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/418296122.html
TPP反対派の山田元農相が暴露した「TPPは日米合意済み」の“中身”
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/417963147.html
TPPに関する情報公開法案を民主、維新が共同提出
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/417876165.html
TPP 日米協議再開 農産品関税や自動車貿易で詰め
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/415111016.html
TPP加盟で健康保険制度が崩壊する危険性を孫崎亨氏が指摘
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/413949773.html
コミックマーケットは大丈夫か? TPP交渉 著作権侵害は「非親告罪」で調整
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/413900470.html
「食糧はミサイル」TPP締結を阻止しよう〜札幌で山田正彦さん報告会
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/413739608.html
著作権の保護期間、70年に延長へ TPP交渉でアメリカ基準に 早ければ3月にも全体での合意
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/413479328.html
政府、豚肉関税50円に下げ提案 TPP日米協議
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/413352800.html
米国産コメ輸入5万トン増検討 TPP交渉、備蓄米で 当初、20万トン規模の拡大を主張の米国
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/413236885.html
TPP日米協議、14日再開 甘利氏「今春合意目指す」
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/412085033.html
TPP国有企業改革、年内決着も 難航分野に交渉期限
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/409021534.html
TPP、来年2月の合意目指す 日米方針、交渉加速で一致
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/408588378.html
TPP交渉、年内合意を断念 10日首脳会合で、来年の早期妥結目指す
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/408570145.html
北京でのTPP閣僚会合、早期妥結に向けて重要=安倍首相
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/408457235.html
TPP 閣僚会合開幕 知財分野溝深く 日米、乳製品が新たな“火種”
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/407748414.html
「ふざけるな」甘利大臣はフロマンに怒鳴り、机を叩いた…難航TPPは米中間選挙後に動くか、それとも「狼少年」か
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首相、TPP「交渉脱退への言及は不適切」
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知的財産、見えぬ妥結への道=大筋合意の障害に−TPP
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西川農相、TPP交渉の決着「早い方がいい」
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TPP非関税の効果試算へ 15年度予算1億円要求
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