見えない動機、募る怒り 香川県内でも文化財の油被害

見えない動機、募る怒り 香川県内でも文化財の油被害

文化財｢油｣被害県内でも／見えない動機募る怒り
http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/social/20150418000138
2015/04/18 10:01

全国の寺社や城で文化財に油のような液体がかけられる被害が相次いでいる。香川県内でも９日と１２日に香川県琴平町の金刀比羅宮で液体がまかれた跡が見つかった。「一体だれが、何のためにやっているのか」。悪質ないたずらの可能性があるとみて県警などが調べを進めているが、多数の観光客らが往来する場所だけに捜査は難航。見えない動機に香川県内の寺社は怒りを募らせる一方、「財政面などから十分な防犯対策を取るのは難しい」と悩みを漏らす。

参拝の儀礼？
　液体がかけられる被害は１６日までに１０府県３４カ所で発生。金刀比羅宮では９日に国の重要文化財「旭社（あさひのやしろ）」の拝殿の床に、１２日には本宮拝殿内の柵に液体の跡が見つかった。このうち、９日の現場では液体から食用油のにおいがしたという。

　いずれの現場にも近くに防犯カメラが設置されているが、県内有数の観光地だけに不審人物を洗い出すのにも「かなりの時間が必要」と県警。床に染みこんだ液体の成分検出も、量が少ない上、文化財の床を削ることもできず、通常より鑑定に時間がかかっている。

　似たような被害が短期間に広い範囲で発生しているため、悪質ないたずらが模倣犯によって広がっているとの見方の一方、アジア諸国では参拝の儀礼として、石仏などに香油をかけるとの情報もあり、悪意のある行為かどうかも不明。県警は「いたずらとすれば悪質」と捜査を進めるが、被害が多い京都や奈良でも摘発には至っていない。

　まかれた液体の影響について、文化財の保存に詳しい奈良大学文化財学科の魚島純一教授（保存科学）は「油なら表面の染みを薄くすることはできても、完全に取り除くことは不可能」とし、染みこんだ部分から木の劣化が始まる可能性もあると指摘する。

重い自己負担
　県内の文化財施設の防犯対策はどうなっているのか。夜中でも参拝できる金刀比羅宮は、２０年以上前から境内の重要施設周辺に防犯カメラを配備しているが、今回の事件を受け、境内の見回りを朝夕必ず行うよう体制を強化した。善通寺市の総本山善通寺は、境内に設ける防犯カメラの画質をより高精細にすることを検討するという。

　だが、県内では国宝や国の重要文化財を抱える施設でも対策は十分でない。

　本殿が国指定文化財となっている坂出市内の神社は「建物を傷つけられたことはほとんどなく、防犯といえばさい銭泥棒対策ぐらい」と説明。防犯カメラの設置など体制強化を求める文化庁の通知に関しては「国の補助はあっても自己負担が必要。建物の老朽化も進んでおり、財政的に厳しい」とする。建物に直接カメラなどを設置するには煩雑な手続きが必要になるなど、文化財特有の「壁」もあるという。

　全国で唯一、文化財保安官を配置する奈良県警は、文化財の防犯対策として「まずは異常にすぐに気付ける体制作りが必要」とし、定期的な巡回を勧める。県教委は「地域住民が文化財に目を向け、地域の歴史を守ろうという思いを高めることも大切だ」としている。





全国の寺社や城で文化財に油のような液体がかけられる被害が相次いでいる。
香川県内でも9日と12日に香川県琴平町の金刀比羅宮で液体がまかれた跡が見付かった。
液体がかけられる被害は16日までに10府県34カ所で発生。
警察庁が全国の警察にパトロールの強化や発生した場合の初動捜査の徹底を指示しても続いています。


寺社被害は９府県３３カ所　続発防止にパトロール強化
http://www.47news.jp/CN/201504/CN2015041601001896.html

京都や奈良など各地の寺や神社で油のような液体がまかれているのが見つかった事件で、被害は長谷寺（奈良県桜井市）と岡寺（同県明日香村）で４日に確認されたのを皮切りに９府県３３カ所に及んでいることが１６日、警察庁のまとめで分かった。金高雅仁長官が記者会見で明らかにした。集計は１５日現在。

　最も多いのは奈良県で、世界遺産の東大寺など１９カ所。京都府が二条城など４カ所、千葉県が成田山新勝寺など３カ所と続く。京都市の東寺など、複数箇所の被害が確認されたケースもあった。

　同庁は１０日付で全国の警察にパトロールの強化や発生した場合の初動捜査の徹底を指示した。
2015/04/16 21:56 【共同通信】