http://www.yomiuri.co.jp/national/20150204-OYT1T50108.html?from=ytop_main3
2015年02月04日 22時31分
1審の裁判員裁判の死刑判決を破棄して無期懲役に改めた2審の量刑判断の是非が争われた二つの強盗殺人事件の上告審で、最高裁第2小法廷は3日付の決定で、2審の判断を支持し、被告、検察側の双方の上告を棄却した。
被告2人の無期懲役が確定する。千葉勝美裁判長は「究極の刑罰である死刑の適用には慎重さと公平性が求められる。裁判員裁判でも、過去の裁判例で示された量刑判断を出発点に評議を行うべきだ」との初判断を示した。
死刑の量刑判断を巡っては、最高裁が1983年に被害者数や殺害方法、前科などの9項目の基準(永山基準)を示しているが、裁判員裁判で死刑をどう判断すべきかの判例はなかった。2事件はいずれも殺害された被害者が1人で犯行の計画性もなく、決定は、前科や更生可能性の低さを過度に重視して死刑を選択することを戒めた。今後、裁判員らが死刑判決に慎重になる可能性がある。
裁判員も加わって慎重に検討された上で死刑が言い渡されたのに、検察の主張が認められないならば、裁判員裁判なんて必要ないですね。
元裁判員は、守秘義務もあり、時間を拘束されて、司法に詳しくなくても必至に仕事したのに無駄になった。
私は、裁判員に選ばれたら、裁判員を務めることが出来ない理由を述べて辞退しようと思います。
裁判員は納得いかないでしょう。
死刑が無期懲役です。
何の為の裁判員裁判ですか。
裁判員裁判の死刑判決 認めず
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150204/k10015214831000.html
2月4日 22時33分
東京と千葉で起きた強盗殺人事件を巡り、裁判員裁判の死刑判決が妥当かどうかが争われた2つの裁判で、最高裁判所は死刑を選択するには過去の裁判例を踏まえて判断しなければならないとする決定を出しました。
決定は裁判員裁判においても死刑の判断に慎重さと公平性を求めたもので、いずれも2審の無期懲役が確定することになりました。
最高裁判所で審理されていたのは6年前に東京・港区と千葉県松戸市で起きた2つの強盗殺人事件の裁判で、いずれも1審の裁判員裁判は死刑、2審は無期懲役と判断が分かれていました。
最高裁判所第2小法廷の千葉勝美裁判長は決定で、「死刑は被告の生命を永遠に奪い去る究極の刑罰で、慎重さと公平性を確保をしなければならない。そのためには、これまで積み重ねられてきた過去の裁判例で、犯行の性質や計画性などといった判断要素がどのように考慮されてきたのかを踏まえた議論が不可欠だ。これは裁判官のみの裁判でも裁判員裁判でも変わるものではない」と述べました。
そのうえで、1審の死刑判決は過去の裁判例と判断が異なるのに具体的で説得力のある根拠が示されていないと指摘しました。
この決定により、いずれも2審の無期懲役が確定することになりました。
過去の裁判例を踏まえるよう強く求めた今回の決定は、裁判員裁判であっても死刑の適用には慎重さと公平性を保つ必要があることを示したもので、今後の裁判に大きな影響を与えるとみられます。
最高検「主張認められず残念」
2つの裁判で死刑判決を求めていた最高検察庁の三浦守公判部長は「いずれの事件も1審で裁判員も加わって慎重に検討されたうえで死刑が言い渡された。その判断が適切なものだという検察の主張が認められず残念だが、最高裁判所の判断なので真摯(しんし)に受け止めたい。決定の指摘も踏まえ、今後とも裁判員裁判において適切な刑が実現されるよう努めてまいりたい」というコメントを出しました。
元裁判員「納得いかない」
東京・港区の強盗殺人事件で死刑を言い渡した1審の裁判員を務めた50代の女性は、最高裁の決定について、「自分たち裁判員は、100%の力で事件に向き合い、死刑という致し方ない結論に至ったのに、『被害者の数が1人だから』という先例によって被告の顔も見ずに裁判官が判断したのは納得がいきません。死刑判決が確定したらよかったかというと、それは逆にショックだったとも思いますが、自分たちの判断が説得力に欠けるからと変更されたこともふに落ちず、とても複雑な思いです」と話していました。
木谷元裁判官「妥当な判断」
最高裁の決定について元裁判官の木谷明弁護士は「死刑は究極の刑罰なので、慎重さと公平性の確保が求められるとした決定は妥当だといえる。ヨーロッパを中心に死刑制度を廃止する国が多数に上るなかで、過去の裁判例よりも死刑の範囲を拡大する方向で出された1審判決を確定させるのを避けようとしたのではないか」と指摘しました。
そのうえで、裁判員制度との関係性については、「一般論としては上級審でも裁判員の意見を尊重するべきだが、死刑に当たるかどうかの判断はより慎重さが求められるため、専門的な知識が必要だ。より根本的には、裁判員が刑の重さの判断に関与するのが妥当かどうかについて再検討する必要があるのではないか」と述べました。
原田元裁判官「今後に影響」
最高裁判所の決定について元裁判官で担当した事件で死刑を言い渡した経験がある原田國男弁護士は「死刑についてはほかの事件に比べてより慎重に判断することの必要性を強調した決定だ。これから裁判員を務める人たちに死刑判断の厳格さを求めるメッセージともいえる」と指摘しました。
そのうえで「最高裁が2つの事件とも1審の死刑を取り消した判決を妥当だと判断したことは大きく、今後の裁判員裁判の評議などに影響を与えると考えられる」と話しています。
門野元裁判官「本質的議論促す」
元裁判官で法政大学法科大学院の門野博教授は今回の決定について、「死刑の判断にあたっては慎重さと公平さを根幹に置いて検討すべきだと示した。先例重視の姿勢にも見えるが、過去の判例を機械的に当てはめることは求めていない。これまでの裁判がどのような点について、どのように慎重に判断を重ねてきたのかを見ることで、より本質的な議論を促すものだ。裁判官や裁判員は、決定の趣旨を十分にくみ取ってこれからの判断に生かしていくべきだ」と述べています。
東京・港区の強盗殺人事件
平成21年に東京・港区のマンションで当時74歳の男性が包丁で刺されて殺害された事件では無職の伊能和夫被告(64)が強盗殺人などの罪に問われました。
被告にはかつて妻と娘の2人を殺害した前科があり、1審と2審はこの前科をどう考慮するかで判断が分かれました。
1審の裁判員裁判は、「強盗の目的を遂げるため、抵抗できない被害者を一撃で殺害するなど冷酷非情な犯行だ。妻と娘の2人を殺害し20年間服役した前科がありながら、出所後わずか半年で強盗殺人事件を起こしたことを刑を決めるうえで特に重視すべきだ」と指摘して死刑を言い渡しました。
これに対して2審は、「過去に前科を重視して死刑が選択された事件は、無期懲役の仮釈放中に同じような犯行を起こしたケースなどだ。今回の強盗殺人と口論から妻を殺害した末、娘と無理心中しようとした被告の前科は関連性が薄い」と指摘して、1審の死刑を取り消し、無期懲役を言い渡しました。
千葉県松戸市の女子大生殺害事件
平成21年に千葉県松戸市のマンションで、大学4年生の女性(当時21)が殺害され、部屋が放火された事件で無職の竪山辰美被告(53)が強盗殺人などの罪に問われました。
1審と2審は殺害の計画性が認められない一方で、この事件の前後に別の強盗傷害事件などを繰り返していたことをどう考慮するかで判断が分かれました。
1審の裁判員裁判は「殺害された被害者は1人で計画性は認められないが、被告は短期間のうちに悪質な強盗傷害事件を立て続けに起こしている。どの事件も被害者の生命に危害が及ぶおそれがあったことを考慮すると死刑を回避する決定的な事情にはならない」と判断し死刑を言い渡しました。
これに対して2審は、「過去の裁判例では被害者が1人の強盗殺人事件で計画性がない場合は死刑が選択されない傾向がある。女子大学生の事件以外は人の生命を奪おうという事件ではなく死刑を選択することが本当にやむを得ないとまでは言えない」と指摘して1審の死刑を取り消し、無期懲役を言い渡していました。
ラベル:最高裁
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