【メガプレミアム】
「50%超値下げ強要」「リベート1億6000万円要求」巨人アップルが日本の部品メーカーに“驚愕圧力”…日本側提訴「日本のモノづくりの意地」
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2015.1.9 17:00
日本経済の“縁の下の力持ち”である中小の製造業。最終製品を手に取る消費者には知られなくても、世界中で使われている製品の内部や周辺機器には、その技術が確かに息づいている。その日本の中小企業が、時価総額で世界最大の企業である米アップルを、独占禁止法違反と特許権侵害で訴えた。提訴したのは部品を供給してきた島野製作所(東京都荒川区)。異例の提訴の背景には、島野の主張によると「日本のものづくりの意地」があったようだ。
ピン製造で高い技術
島野はポゴピンと呼ばれるピンなどを製造・販売する精密部品メーカーで、売上高は数十億円。米インテルや韓国サムスン電子などと取引があり、電気信号を伝えるスムーズさや耐久性に優れたピンを製造する高い技術を誇る。
9年前にアップルの担当者から打診があり、島野は「1次サプライヤー」として、同社との取引を始めた。アップルのノートパソコンに接続する電源アダプタ側の端子を製造。世界中で使われるパソコンの販売に支障が起きないように、中国、タイ、日本(北海道)の3工場で万全の供給体制を敷いてきた。双方が利益を得る取引で、アップルとの信頼関係は強固だった。
変化が起きたのは2012年のことだ。訴状や証拠資料、島野側の主張によると、アップルがピンの増産を求めてきたため、要求に応じて、製造設備の拡充や2次サプライヤーとの増産体制の調整を急いで進めた。しかし、増産体制を整えてすぐに、アップルはピンの発注量を急に減らしてきたという。
島野はアップルと、(1)他のサプライヤーからもピンの供給を受ける(2)島野と取引している2次サプライヤーと取引する−場合にはそれを島野に知らせるという約束を交わしていた。島野にとって、アップルとの取引は極めて重要で、発注量の減少は死活問題。また、ピンをつくるためにノウハウを伝えることになる2次サプライヤーに、間接的に自社の技術を使われては、「オンリーワン」の技術を維持できない。この約束は、巨大企業と取引する島野が、自社や取引先を守るための知恵だった。
「超えてはならない一線」
しかし、アップルはこのとき、島野の2次サプライヤーである海外企業にピンそのものをつくらせており、両方の約束を同時に破っていた。そのうえ、その会社は島野の特許権を侵害していたとされる。
取引再開を求めると、アップルはこれまでの半額以下に値下げを要求。やむなくこれに応じた島野に対し、アップルは、さらに信じられない要求をしてきたという。
「約159万ドル(当時の1ドル=102円程度で計算すると、約1億6000万円)のリベートを振り込んでほしい」。資料によると、それは13年5月のメールだった。値下げ前に島野から買い、アップルの在庫になっていたピンの数に、値下げ分の金額をかけた額だといわれたが、島野は支払わざるを得なかった。島野側は、すでに販売したピンの値下げを不当に要求してきたもので、下請けに対する「優越的地位の乱用」に当たり、独禁法違反だと主張している。
島野は昨年8月、提訴に踏み切った。特許権侵害やリベートなどによる損害賠償と、対象となるアダプタや、それを同梱するパソコンの日本での販売差し止めを求めた。同社幹部は、「物事には超えてはならない一線がある。約束を破ったことや不当なリベートといったアンフェアには、どうしてもノーと言わなければならない」と話す。和解はせず、あくまで自社の主張を伝えていく考え。欧米での提訴も検討している。
アップル側はこの訴訟について、コメントしていない。
背景にiPhoneの大ヒット?
両社の取引が始まった後の07年、アップルは初代iPhone(アイフォーン)を発売し、スマートフォンで世界を大きく変え、業容も急拡大した。島野は「アップルは取引を始めた当時とは変わってしまった。企業は大きくなったが、人や内部管理体制、コンプライアンス(法令順守)がそれに追いついていないのではないか」(幹部)と指摘する。
アップルは自社工場を持たず、世界中の取引先と関係を深めてサプライチェーンを構築する手法を取るだけに、裁判の動向次第で、波紋が広がる可能性もある。
島野側の溝田宗司弁護士は、「取引にはルールがある。そのルールが破られたときどう対処すべきか。これは、“技術立国”である日本を支えるデバイス(電子部品)メーカーに共通する問題だ」と話す。(昨年12月3日掲載、一部修正)
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島野製作所(東京都荒川区)が、米Appleを、独占禁止法違反と特許権侵害で訴えた。
Appleのノートパソコンに接続する電源アダプタ側の端子を製造。
世界中で使われるパソコンの販売に支障が起きないように、中国、タイ、日本(北海道)の3工場で万全の供給体制を敷いて来た。
変化が起きたのは2012年のこと。
訴状や証拠資料、島野側の主張によると、Appleがピンの増産を求めて来た為、要求に応じて、製造設備の拡充や2次サプライヤーとの増産体制の調整を急いで進めた。
しかし、増産体制を整えてすぐに、Appleはピンの発注量を急に減らして来たという。
(省略)
島野は昨年8月、提訴に踏み切った。
特許権侵害やリベートなどによる損害賠償と、対象となるアダプタや、それを同梱するパソコンの日本での販売差し止めを求めた。
同社幹部は、「物事には超えてはならない一線がある。約束を破ったことや不当なリベートといったアンフェアには、どうしてもノーと言わなければならない」と話す。
Appleのやり方は汚い。
島野製作所はAppleと和解せずに戦って欲しい。
頑張れ、島野。
ラベル:島野製作所
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