【総選挙2014】最高裁国民審査は「わからなかったら×(バツ)」で
http://politas.jp/articles/231
2014年12月8日
14日に行われる総選挙の際、私たちは衆院議員を選ぶのとは別に、「もう1つの参政権」を行使することになる。最高裁判所裁判官の国民審査だ。
ただ、衆院議員候補者や政党に関する情報は、マスメディアにも街にも溢れているのに、この国民審査に関しては、国民に提供される情報が本当に少ない。投票所で、小選挙区と比例代表の2つの投票を済ませた後に、国民審査の投票用紙を渡されて、「どうしよう……」「よくわからない」と戸惑った人もいるのではないか。
そんな人に対して、投票所の職員が「わからなかったら、そのまま(投票箱に)入れておいて下さい」と促すケースが、今なおあるようだ。前回の総選挙でも、そういうトンデモ体験をツイッターで私に教えてくれた人が複数いた。
国民審査の投票用紙には、対象となる裁判官の名前が列挙してあり、その上に四角いブランクが並んでいる。やめてもらった方がいいと思う裁判官の上には×を記し、そうでない人は空欄のままにしておくのが決まり。何も書かずに「そのまま」投票すれば、全裁判官について「辞めずに続けてもらってよい」と判断したことになってしまう。公務員がそんな風に有権者の判断を誘導するなんて、あってはならないことだろう。
国民審査には制度的欠陥がある
よくわからないので、判断できない−−そういう有権者は、国民審査に関しては投票せずに棄権をすることもできる。その場合は、投票用紙を受け取らない、もしくはいったん受け取った投票用紙を返せばよい。
ただ、せっかく投票に行ったのに、国民審査だけ棄権してしまうというのは、いかにももったいない。
では、わかる裁判官についてだけ判断をしよう。そう思っても、それはできない。一枚の用紙に複数の裁判官が並んでいるため、「A裁判官は辞めさせたいが、他の裁判官についてはよくわからない」という場合、A裁判官についての判断だけして、後は棄権する、という個別的棄権ができない。これは、大きな制度的欠陥だ。
「B裁判官には続けて欲しいが、他の裁判官については判断できない」という場合にも、B裁判官以外の判断を棄権することはできない。現行制度では、「辞めさせたい」裁判官も「よくわからない」裁判官も、無印にするしかなく、同じ扱いになってしまう。これでは、有権者の考えが結果に反映されているとは言えない。
信任したい裁判官には○、やめてもらいたい裁判官には×、判断できない人については無印とする信任投票にすれば、有権者の考えがもっと結果に反映されるだろう。
欠陥と言えば、最高裁裁判官の国民審査は、衆議院選挙と違って期日前投票が投票日の7日前までできないとか、海外に住む人たちの在外投票ができない、という問題もある。白紙の投票用紙に有権者が選びたい人の氏名を書くのと違い、あらかじめ対象裁判官の名前を印刷した投票用紙を用意するのに時間がかかる、ということらしいが、現代の印刷技術や通信・輸送手段は、この制度ができた昭和22年とは違う。対象裁判官はあらかじめわかっているのだし、解散から公示まで10日以上あるわけで、その間に準備ができないわけがないだろう。仮に、どうしても無理だというなら、期日前投票と在外投票のみ、白紙に有権者がやめさせたい裁判官の名前を書く方式にすればよい。現に、目が不自由な人たちの点字投票では、記名式で行われている。
なにより、多くの有権者が「よくわからない」状態のまま、投票に臨まなければならないというのは、この審査のやり方に問題があると言わざるを得ない。
最高裁裁判官の国民審査は、日本で国民が司法に対して直接意見表明ができる、唯一の機会といってもいい。なのに、その重要な判断をする有権者の手元に事前に届くのは、『最高裁判所国民審査広報』と、それに基づいたわずかな報道のみだ。
前回は、朝日新聞が対象裁判官へのアンケートを実施したのが目を引いたが、1人ひとりにインタビューをして国民審査に臨む個々の考えをわかりやすく伝えるような記事は、私は見たことがない。総務省選挙課は「『わからない』という人が(投票所に)来ることは前提にしていない。審査公報をしっかり読んで来ていただくことになっている」と言うが、公報に書かれている「最高裁において関与した主要な裁判」を読んで、内容を理解し、評価できるのは、法律の専門家くらいだろう。
やめさせたい裁判官に×をつけるだけで、よいと思う裁判官に○をつけたりしてはいけない、という国民審査のルールすら、充分に浸透しているとは言い難いのが現状だ。
「国民の司法参加」が謳われ、国民が裁判員制度で裁判にも駆り出される時代だというのに、このままでいいのだろうか。
知らない人に白紙委任状は出せない
そういう今の国民審査のあり方に対して、「ノー」を言う意味でも、私は、「わからなかったら×をつける」ことを提案したい。
そもそも、私たちは日頃、「よくわからない」人に白紙委任状を出したりはしないではないか。知らない人に、お金を預けたりもしない。なのに、最高裁裁判官という私たちの人権や国の法制度に大きな権限を持つ人たちについての大事な判断をする時に、「わからなかったら、お上にお任せしておく(=何もつけずに投票)」というのは、いかがなものだろうか。人権や法制度についての最終判断を、「よくわからない」人に託してしまって大丈夫か? この裁判官については「よくわからない」と思ったら、私は×をつける。
もちろん、「この人は信任したい」「この裁判官を辞めさせる必要はない」と思える人がいれば、その人については空欄のままにしておけばよい(くれぐれも、○をつけたりしないように。×以外の印をつけると無効になってしまう)。
私自身も、前回の国民投票では対象裁判官全員に×をつけたが、今回は、5裁判官のうち2人は信任の気持ちを込めて無印にしようと思っている。その2人については、先日の「一票の格差」訴訟判決での意見を読み、審査広報の「裁判官としての心構え」に、憲法の尊重や人権擁護の決意がしっかり明記してあるのを知って、ぜひ、今後とも裁判官を続けて欲しい、と思った。
量は少ないとはいえ、まったく情報がない、というわけではない。過去のインタビュー記事を掘り起こして紹介しているポリタスの記事など、優れた情報源もある。他の裁判官についても、投票日までの間に、もう一度、それぞれの判決や公報の記載など、できる限りの資料を読み直してみようと思う。
それでもわからなければ×。よいと思う裁判官のみ無印−−最高裁の国民審査は、これでいくことにしたい。
池上政幸以外に×を付ければ良いと判断しましたが、ジャーナリストの江川紹子さんの提案は納得出来ます。
最高裁裁判官の国民審査は、日本で国民が司法に対して直接意見表明が出来る唯一の機会です。
そもそも、私たちは日頃、「よくわからない」人に白紙委任状を出したりはしない。
知らない人に、お金を預けたりもしない。
また、12月9日には、痴漢容疑否認の男性について、最高裁第1小法廷(桜井龍子裁判長)が勾留を取り消す決定をしたことが分かっています。
桜井龍子は、国民審査の対象ではありませんが、痴漢が冤罪で否認しているなら兎に角、痴漢の犯人が否認しているとしたら、勾留の取り消しはおかしいということになります。
池上政幸の名前は出て来ていませんが、「よくわからない」というなら、×を付けても良いという結論です。
ネットをしない知り合いの知恵と一緒です。
全員に×を付けると罷免が機能する。
迷ったら、全員に×を付ける。
鬼丸かおる
木内道祥
池上政幸
山本庸幸
山崎敏充
痴漢容疑否認の男性、最高裁が勾留取り消し
http://www.sankei.com/west/news/141209/wst1412090042-n1.html
2014.12.9 13:32
京都市営地下鉄の電車内で女子中学生の体を触ったとして京都府迷惑行為防止条例違反の疑いで現行犯逮捕され、容疑を否認していた大阪府内の40代の男性会社員について、最高裁第1小法廷(桜井龍子裁判長)が勾留を取り消す決定をしたことが9日、分かった。決定は11月17日付。
決定は、勾留の必要性は、証拠隠滅の現実的な可能性で判断すべきと指摘。「男性が中学生に接触する可能性が高いことを示す具体的な事情はない」と判断した。
男性の弁護人の池田良太弁護士は「起訴前の勾留について最高裁が判断を示す例は少ない。安易に勾留が認められる現状に警鐘を鳴らした」と評価している。
池田弁護士によると、京都地裁の裁判官が11月7日、勾留請求を却下したため、検察側が準抗告。地裁の別の裁判長が「中学生に働き掛けて証拠を隠滅する疑いがある」として勾留を一転して認めたため、男性側が最高裁に特別抗告していた。
最高裁決定を受け、京都区検は17日、男性を釈放し、19日付で不起訴処分とした。
参考
[国民審査] 最高裁裁判官で×を付ける裁判官は?ネットをしない人の知恵「罷免を機能させたいなら全員×にする」
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/410471322.html
ヘイトスピーチ:在特会に賠償命じた判決が確定
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/410416118.html
最高裁5裁判官の国民審査も告示
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/409953702.html
ラベル:解散・総選挙
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