http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20120906_557783.html
衆議院本会議が6日午後に開かれ、「偽造品の取引の防止に関する協定(ACTA)」の締結を賛成多数で承認した。すでに参議院で先に可決していたもので、日本がACTAを批准することが決まった。
ACTAは、海賊版や模倣品などの拡散を防止するための、知的財産権に関する効果的な執行の枠組みを定めた国際協定。批准国は、ACTAの枠組みに沿った国内法令整備などの取り組みが求められる。日本、韓国、米国、カナダ、メキシコ、オーストラリア、ニュージーランド、モロッコ、シンガポールの9カ国と、EUおよびEU加盟22カ国が署名しており、6カ国が批准した段階で発効することになっている。批准を決めた国は日本が初めて。
ACTAをめぐっては、参加国間での交渉が秘密裏に行われ、内容が正確に伝わってこなかったこともあり、インターネット規制の強化につながる懸念も指摘されていた。交渉段階で流出したとされる協定内容には、税関における個人のPCやiPodなどの中身チェックや、著作権侵害の申し立てを3回受けたユーザーがインターネット接続を遮断される“3ストライク法”などが含まれていたと言われており、ACTAの強い反対運動につながったようだ。
正式な条文ではこうした内容は含まれていないため、最終的にACTAは“骨抜き”され、これを批准にしても日本ではそれほど大きな影響はないとみる向きもある(条文は、仮日本語訳も含めて外務省のサイトで閲覧可能)。玄葉光一郎外務大臣ら外務省側も、外務委員会の答弁の中で「ACTAを締結するために必要な日本の国内法の変更は、技術的保護手段の範囲の拡大のみで、これはもう手当でされている。したがって、ACTA締結のために国内法令を変更する必要はない」と説明している。
「技術的保護手段の範囲の拡大」とは、今国会で可決・成立した改正著作権法において、映画などのDVDなどに施されている暗号化技術を「技術的保護手段」に含めたことで、これを回避して行う複製が、たとえ個人利用目的だとしても私的複製として認められなくなったことを指す(“DVDリッピング違法化”)。
さらに改正著作権法では、ACTAでも規定されていない“違法ダウンロード刑事罰化”も衆議院の修正決議で急きょ盛り込まれたため、裏返せば、すでに日本の著作権法はACTAの規定を満たしているどころか、ACTA以上の強い規制が課されているとの指摘もあるほどだ。
一方で、ACTAで「職権による刑事上の執行」を規定した第26条に関しては、これを根拠に著作権侵害の非親告罪化の導入につながるのではないかとの指摘もあり、その結果、動画投稿サイトなどの二次創作作品が取り締まられてしまうとの不安にもつながっている。外務省では、「ACTAは、著作権の非親告罪化を義務付けるものではない」と否定している。
このほか、「デジタル環境における執行」を定めた第27条などをめぐっては、著作権保護を名目にインターネット上の表現・言論の自由を脅かす運用を招きかねないのではないかとの懸念もあるようだ。これについても外務省では、「正当なインターネット利用を制限したり、インターネットアクセスを遮断したり、インターネットサービスプロバイダーによる監視を義務付けるような規定は含まれていない」とコメントしている。
また、そもそもACTAの実効性について疑問視する声もある。模倣品・海賊版の対策が最も強く求められる国として中国が挙げられるが、中国がこれまでの交渉には参加しておらず、今後の見込みも示されていないためだ。玄葉大臣は8月29日の外務委員会の答弁で、「中国をはじめ、アジアにおける偽造品の防止は日本にとって非常に重要。実は中国には今、丁寧に説明しており、共同で研究の場を設けている」と説明。「ACTAは日本がリーダーシップをとってまとめたもの。まずはこれを発効させて働きかけていく。中国とも今、よい話し合いが始まっている。アジア太平洋地域を中心に普及させていくことが、日本にとって国益にもかなうと考えている」と訴えていた。
衆議院におけるACTAの審議は、国会運営が混乱する中で野党欠席のままで進められ、そのまま承認されたかたちだ。国際協定の締結としては異例とも言えそうな展開になった。また、これまでも政府からの情報提供や説明が十分に行われているとは言いにくく、条文の拡大解釈による規制強化への懸念も根強いようだ。実際のところ、ACTAに署名していたEUだが、欧州議会で7月、圧倒的多数で批准が否決されている。条文が漠然としており、誤った解釈によって市民の自由が脅かされる運用につながる恐れがあるとして、欧州で大きな反対運動が起こったためだ。EUが承認した国際協定を欧州議会が否決するのは異例のことで、これが初めてだったという。
関連情報
■URL
偽造品の取引の防止に関する協定(外務省)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/ipr/acta.html
条文の日本語仮訳(PDF)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/ipr/pdfs/acta1105_jp.pdf
衆議院
http://www.shugiin.go.jp/
■関連記事
・衆議院外務委員会で「ACTA」審議、野党欠席で空転 (2012/8/29)
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20120829_556177.html
・衆議院外務委員会が「ACTA」承認、ネット規制強化は「誤解」と繰り返し否定 (2012/8/31)
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20120831_556512.html
(永沢 茂)
2012/9/6 14:30
ACTAを発効するには、6ヶ国の批准が必要なのに、日本だけ批准して、どうするんだよ。
民主党による言論弾圧もいいところ。
>「技術的保護手段の範囲の拡大」とは、今国会で可決・成立した改正著作権法において、映画などのDVDなどに施されている暗号化技術を「技術的保護手段」に含めたことで、これを回避して行う複製が、たとえ個人利用目的だとしても私的複製として認められなくなったことを指す(“DVDリッピング違法化”)。
> さらに改正著作権法では、ACTAでも規定されていない“違法ダウンロード刑事罰化”も衆議院の修正決議で急きょ盛り込まれたため、裏返せば、すでに日本の著作権法はACTAの規定を満たしているどころか、ACTA以上の強い規制が課されているとの指摘もあるほどだ。
これだよ、「違法ダウンロード刑事罰化」が10月1日から施行となっている。
ACTA以上の強い規制が課せられるんだよ。
> 衆議院におけるACTAの審議は、国会運営が混乱する中で野党欠席のままで進められ、そのまま承認されたかたちだ。
> 国際協定の締結としては異例とも言えそうな展開になった。
> また、これまでも政府からの情報提供や説明が十分に行われているとは言いにくく、条文の拡大解釈による規制強化への懸念も根強いようだ。
> 実際のところ、ACTAに署名していたEUだが、欧州議会で7月、圧倒的多数で批准が否決されている。
> 条文が漠然としており、誤った解釈によって市民の自由が脅かされる運用につながる恐れがあるとして、欧州で大きな反対運動が起こったためだ。
> EUが承認した国際協定を欧州議会が否決するのは異例のことで、これが初めてだったという。
野党欠席のままで進められ、承認されたって何なんだよ。
国会議員は、ACTAを舐めているだろう。
ACTAの条約も読めないんじゃないのか?
本当に、欧州で批准が否決されているというのに、日本だけが監視社会かよ。
何でも、田中真紀子が強行採決したとツイッターで噂になっていますよ。
ここから、新党きづなの斎藤やすのり議員の情報です。
#ACTA 衆院で批准。私は議場に戻り、反対しました。民主党からも数人の造反が出ましたが通りました。
— 衆議院議員 斎藤 やすのりさん (@saitoyasunori) 9月 6, 2012
#ACTA採決を反対したのは私が知る限り、生活が京野、三宅、大谷、中野渡、相原 民主は石山、橘(あと数人いる模様)、減税日本の4人、きづなの渡辺義彦、中後、石田、斎藤やすのり。他にいるかもしれませんが、私の知る限りです。
— 衆議院議員 斎藤 やすのりさん (@saitoyasunori) 9月 6, 2012
#ACTA 生活・きづなの会派としては問責が可決されたので、野田内閣が提出してきた法案、条約については欠席しなければいけませんが、反対の意思を示さなければという思いで、一度議場を出てからACTA協定採決時に戻る。会派の国対の皆さんには申し訳ない気持ちでしたが、譲れなかった。
— 衆議院議員 斎藤 やすのりさん (@saitoyasunori) 9月 6, 2012
まだ否決してない7カ国の内3カ国以上が否決してくれることを祈るしかないようです。
他の国の良識に任せるのみとなりました。
ラベル:Acta
【関連する記事】
- ACTA、そしてこれから
- 【動画付き】#ACTA 衆議院で可決 世界で初めて批准へ きちんと理解して賛成し..
- ACTA批准の採決について
- 監視社会招く“危険”な協定「ACTA」
- ACTAが国会衆議院外務委員会 強行採決で可決
- 【緊急】ACTAがヤバイ 批准明日8月31日に迫る!!
- 衆議院外務委員会が「ACTA」承認、ネット規制強化は「誤解」と繰り返し否定
- ACTAの危険性に気づいて下さい。
- ACTAのツイッターデモ
- 第180回国会 議案の一覧
- ACTAのリスク
- 突然にACTA批准が委員会全会一致で可決。残すは衆院のみ
- 五輪のどさくさに紛れて参議院でACTAが可決
- 【拡散希望】 突然にACTA批准が委員会全会一致で可決。
- ACTA反対ご意見・抗議先及び抗議文
- ACTA反対オンライン署名にご協力下さい!
- ACTAは危険な法案!