2022年03月04日

[医薬品医療機器等法改正案] 3月1日、ワクチンや治療薬の「緊急承認」制度を閣議決定 新たに設定へ

[医薬品医療機器等法改正案] 3月1日、ワクチンや治療薬の「緊急承認」制度を閣議決定 新たに設定へ

ワクチンや治療薬の「緊急承認」制度 新たに設定へ 政府
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220301/k10013506511000.html?utm_int=news-politics_contents_list-items_018


2022年3月1日のNHKニュースより転載

新型コロナワクチンの承認などが海外に比べて遅れたと指摘されたことを受け、政府は3月1日の閣議で、ワクチンや治療薬を「緊急承認」できる制度を新たに設けるとした法律の改正案を決定しました。

新型コロナワクチンをめぐり、厚生労働省は審査の手続きを簡略化した「特例承認」を適用していますが、日本で承認されたのはアメリカやEUが使用を認めた時期より2か月から5か月程度あとで、政府内からも、治験や承認の遅れを指摘する声が上がっていました。

これを踏まえ、政府が3月1日に閣議決定した医薬品医療機器法などの改正案では、感染症の流行といった緊急時に、代替手段がないことを条件に、ワクチンや治療薬などを、迅速に薬事承認できる「緊急承認」の制度を新たに設けるとしています。

具体的には、安全性が確認され、海外の治験や途中段階の国内の治験により有効性が推定されれば、薬事承認できるとしています。

また薬事承認には、2年以内で期限を設けてさらに有効なデータを収集するなどの条件を付けることになっていて、期限内に有効性が確認できなければ、承認が取り消されます。

このほか改正案には、現在、紙で行われている処方箋のやり取りを、データで行うことができるようにする「電子処方箋」の導入も盛り込まれています。

政府は今国会で、改正案の成立を目指す方針です。

後藤厚労相「速やかに審議を」

後藤厚生労働大臣は記者会見で「感染症に対する危機管理強化の観点から、緊急時に新たな医薬品などを速やかに薬事承認する仕組みの整備や、処方情報および調剤情報の一元管理を可能とする『電子処方箋』の仕組みの整備について措置するものだ。今国会において、速やかに審議してほしい」と述べました。



令和4年3月1日(火)定例閣議案件
https://www.kantei.go.jp/jp/kakugi/2022/kakugi-2022030101.html

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案(決定)

(厚生労働・財務・農林水産省)



第208回国会(令和4年常会)提出法律案
https://www.mhlw.go.jp/stf/topics/bukyoku/soumu/houritu/208.html

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案(令和4年3月1日提出)

概要[PDF形式:413KB]
file:///C:/Users/press/AppData/Local/Temp/000904828.pdf

法律案要綱[PDF形式:106KB]
file:///C:/Users/press/AppData/Local/Temp/000904830.pdf

法律案案文・理由[PDF形式:200KB]
file:///C:/Users/press/AppData/Local/Temp/000904832.pdf

法律案新旧対照条文[PDF形式:429KB]
file:///C:/Users/press/AppData/Local/Temp/000904833.pdf

参照条文[PDF形式:325KB]
file:///C:/Users/press/AppData/Local/Temp/000904835.pdf


医薬品、医療機器等の品質法律案・概要.PNG
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案の概要



新型コロナワクチンの承認などが海外に比べて遅れたと指摘されたことを受け、政府は3月1日の閣議で、ワクチンや治療薬を「緊急承認」できる制度を新たに設けるとした法律の改正案を決定した。
正式名称「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案」。
医薬品医療機器等法改正案。
薬機法改正案。
具体的には、安全性が確認され、海外の治験や途中段階の国内の治験により有効性が推定されれば、薬事承認できるとしている。

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案の概要

改正の趣旨

緊急時において、安全性の確認を前提に、医薬品等の有効性が推定されたときに、条件や期限付の承認を与える迅速な薬事承認の仕組みを整備するとともに、オンライン資格確認を基盤とした電子処方箋の仕組みを創設し、その利活用を促すため、所要の措置を講ずる。

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律、医師法、歯科医師法、地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律等の束ね法案。

理由

国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病のまん延等の事態における健康被害の拡大を防止するため、緊急時に新たな医薬品等を速やかに薬事承認する仕組みを整備するとともに、処方情報及び調剤情報の即時的な一元管理を可能とする電子処方箋の仕組みを整備する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

政府が医薬品の緊急承認制度を閣議決定、国産薬は安定供給面の要素も盛り込む
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/22/03/01/09215/

2022年3月2日の日経バイオテクより。

「政府は2022年3月1日、緊急時における迅速な薬事承認を可能とするため、医薬品医療機器等法(医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)の改正案を閣議決定した。今国会で成立すれば、医薬品の安全性が確認され有効性が推定されている場合において、緊急時に第3相臨床試験を経ずに薬事承認することが可能になる。特例承認では外国で流通している医薬品などが対象だったが、緊急承認ではそれ以外も対象になる。」

[医薬品の緊急承認制度]
ワクチンや治療薬の安全・有効性を「推測」だけで承認出来るトンデモ制度

[電子処方箋の仕組みの創設]
医師が処方箋をオンラインで発行、オンライン診療と併せて個人医療情報のデジタル一括管理

碌に治験もせずにワクチンや新薬を承認、使用可能にするものであり、薬害が起きるのを前提とした恐ろしい制度です。
絶対にこの法案を成立させてはならない。
海外から圧力が掛かったか。
恐ろしい法案を進めている日本政府である。

医薬品緊急承認制度とは

医薬品の緊急承認制度導入へ 有効性「推定」で使用許可―手続き、欧米並みに・厚労省
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021120301187&g=soc

2021年12月3日の時事通信の報道です。

「厚生労働省は3日の専門部会で、感染症など緊急時を想定した医薬品の新たな承認制度の骨子を示した。治療薬やワクチンなどの承認要件を緩和し、有効性を「推定」できると判断した段階で条件付きで使用を認める。欧米並みのスピードでの承認を目指すが、制度の詳しい中身は年末までに取りまとめ、早ければ来年の通常国会に関連法案を提出する。」

有効性が「推定」できると判断されれば治験前でも使用許可。
つまり憶測だけで安全性や有効性を判断、しかも治験なしでワクチン接種や治療薬投与を行えるってことです。
国民を馬鹿にするのもいい加減にしろ。




参考ツイート



野田CEO
@nodaworld
薬機法改正法案を閣議決定

【医薬品の緊急承認制度】
ワクチンや治療薬の安全・有効性を「推測」だけで承認出来るトンデモ制度

【電子処方箋の仕組みの創設】
医師が処方箋をオンラインで発行、オンライン診療と併せて個人医療情報のデジタル一括管理

両建抗争の裏で恐ろしい法案を進めてる日本政府


https://twitter.com/nodaworld/status/1500032785905754115
ラベル:薬機法改正案
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[経済財政諮問会議] 3月3日、30代半ば〜50代半ばの世帯所得 20年余前と比べ100万円超減少

[経済財政諮問会議] 3月3日、30代半ば〜50代半ばの世帯所得 20年余前と比べ100万円超減少

30代半ば〜50代半ばの世帯所得 20年余前と比べ100万円超減少
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220303/k10013512681000.html?utm_int=news-politics_contents_list-items_023


2022年3月3日のNHKニュースより転載

政府の経済財政諮問会議で、30代半ばから50代半ばの世帯の所得が20年余り前の同世代と比べて100万円以上減少していたとする調査結果が報告され、岸田総理大臣は、所得の向上に向けて、きめ細かく人への投資に取り組む考えを強調しました。

総理大臣官邸で開かれた経済財政諮問会議には、岸田総理大臣のほか、鈴木財務大臣や山際経済再生担当大臣らが出席し、所得の向上と人的資本の強化などについて、意見が交わされました。

この中で内閣府の担当者は、年代別の世帯の所得の変化について、バブル崩壊後の1994年と2019年を比べた調査結果を報告しました。

それによりますと世帯の所得の中央値は、いわゆる「就職氷河期」世代を含む35歳から44歳の世代では104万円減少していたほか、45歳から54歳の世代では184万円減少していたとしています。

また、25歳から34歳の若い世代の単身世帯では、所得が比較的低い200万円台の割合が増えているとしたうえで、非正規雇用の世帯の割合が大きく上昇していることが主な要因だと分析しています。

こうした結果を受けて岸田総理大臣は「所得向上と人的資本の強化に向けて、それぞれのライフステージに応じたきめ細かな『人への投資』に取り組む」と強調するとともに、女性活躍や子育て支援などの分野で包括的な施策を取りまとめるよう野田担当大臣に指示しました。


岸田文雄・経済財政諮問会議3月3日.PNG
岸田文雄首相



経済財政諮問会議で、30代半ばから50代半ばの世帯の所得が20年余り前の同世代と比べて100万円以上減少していたとする調査結果が報告され、岸田総理大臣は、所得の向上に向けて、きめ細かく人への投資に取り組む考えを強調した。

令和4年3月3日 経済財政諮問会議
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202203/03keizaishimon.html

「 令和4年3月3日、岸田総理は、総理大臣官邸で令和4年第2回経済財政諮問会議を開催しました。

 会議では、マクロ経済運営(金融政策、物価等に関する集中審議)及び所得向上と人的資本の強化について議論が行われました。

 総理は、本日の議論を踏まえ、次のように述べました。

 「本日は、当面のマクロ経済運営と、所得向上・人的資本の強化に向けての議論を行いました。
 ウクライナ情勢については、G7を始めとする国際社会と緊密に連携して対応しているところですが、穀物・エネルギー等の国際商品市況を含め、足元の経済動向を引き続き注視し、国民生活や日本経済への悪影響を最小限に抑えていく必要があります。
(省略)」

令和4年第2回経済財政諮問会議
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2022/0303/agenda.html

説明資料

資料1 黒田議員提出資料(PDF形式:144KB)
資料2−1 経済対策のフォローアップについて〜金融・物価等集中審議資料〜(内閣府)(PDF形式:1047KB)
資料2−2 経済対策のフォローアップについて〜金融・物価等集中審議資料〜(参考資料)(内閣府)(PDF形式:695KB)
資料3−1 当面のマクロ経済運営について(有識者議員提出資料)(PDF形式:404KB)
資料3−2 当面のマクロ経済運営について(参考資料)(有識者議員提出資料)(PDF形式:1331KB)

資料4−1 我が国の所得・就業構造について(内閣府)(PDF形式:412KB)
file:///C:/Users/press/AppData/Local/Temp/shiryo_04-1-1.pdf

資料4−2 我が国の所得・就業構造について(参考資料)(内閣府)(PDF形式:794KB)
file:///C:/Users/press/AppData/Local/Temp/shiryo_04-2.pdf

資料5 所得・人的資本の強化に向けて(有識者議員提出資料)(PDF形式:480KB)

資料6 こどもまんなか社会の実現に向けて(野田臨時議員提出資料)(PDF形式:2938KB)
【分割版】 1(PDF形式1696KB) 2(PDF形式1829KB) 3(PDF形式1859KB) 4(PDF形式1931KB) 5(PDF形式1571KB


資料4-1 我が国の所得・就業構造について(内閣府)と資料4-2 我が国の所得・就業構造について(参考資料)(内閣府)に掲載されています。
1994年と2019年を比較しています。
本当に100万円以上減少しています。




参考リンク

経済財政諮問会議
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/index.html




参考

[経済財政諮問会議] 12月23日、岸田首相 通常に近い経済社会活動を取り戻す
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/484950630.html

[経済財政諮問会議] 11月19日、経済対策について議論
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/484522488.html

[経済財政諮問会議] 11月9日、菅首相 “手段総動員 早期に成長軌道へ”
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/478416365.html

[経済財政諮問会議] 10月23日、菅首相 デジタル庁に十分な権限を
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/478087774.html

[経済財政諮問会議] 10月6日、「民需喚起に重点」 首相、新政権初の諮問会議
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/477799312.html

[経済財政諮問会議] 7月31日、安倍首相「経済・財政一体改革の推進を」
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/476622599.html

[経済財政諮問会議] [未来投資会議] 7月17日、経済財政諮問会議・未来投資会議合同会議
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/476502468.html

[経済財政諮問会議] 6月22日、デジタル化へ規制見直し コロナ後にらむ骨太方針骨子
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/475878637.html

[経済財政諮問会議] 4月27日、省庁のはんこの手続き見直しへ コロナ拡大防止で首相指示
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/474820324.html

[経済財政諮問会議] 3月10日、新型コロナで「景気腰折れ」懸念 政府諮問会議で民間議員
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/474065826.html

[経済財政諮問会議] 10月28日、安倍首相 病院再編と過剰なベッド数の削減など指示
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/471219067.html

[経済財政諮問会議] 6月11日、骨太の方針原案  職氷河期世代30万人の正式雇用増目指す
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/467078031.html

[経済財政諮問会議] 5月31日、「骨太の方針」骨子案 最低賃金引き上げや就職氷河期世代支援
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/466178258.html

[経済財政諮問会議] 5月14日、内需下支えへ 最低賃金の引き上げを
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/465714709.html

[経済財政諮問会議] 2月26日、「デジタル・ガバメント」実現へ 安倍首相
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/464359597.html
ラベル:岸田文雄
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[雇用保険法等の一部を改正する法律案] 3月3日、雇用保険法改正案が衆院本会議で審議入り 保険料率の引き上げなど

[雇用保険法等の一部を改正する法律案] 3月3日、雇用保険法改正案が衆院本会議で審議入り 保険料率の引き上げなど

雇用保険法改正案 衆院で審議入り 保険料率の引き上げなど
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220303/k10013512111000.html?utm_int=news-politics_contents_list-items_016


2022年3月3日のNHKニュースより転載

雇用保険の財源不足が課題となる中、現在、労使折半で賃金の0.2%を負担している失業給付などを支払う事業の保険料率を、ことし10月から0.6%に引き上げるなどとした雇用保険法などの改正案が衆議院で審議入りしました。

雇用保険法などの改正案では現在、労使折半で賃金の0.2%を負担している失業給付などを支払う事業の保険料率を、ことし10月から来年3月まで0.6%に引き上げるとしています。

また、失業給付などの事業の国庫負担率を、雇用情勢や保険の財政状況が悪化した場合には、現在の2.5%から25%に引き上げたうえで、積立金が枯渇するなどした場合は、一般会計から資金を繰り入れられる制度を導入するとしています。

3日開かれた衆議院本会議では、改正案の趣旨説明と質疑が行われ、この中で公明党の角田秀穂氏は「新たな国庫繰り入れ制度により感染症の急拡大などに対して、制度の趣旨に沿った安定的な運営が担保されるのか」と質問しました。

これに対し後藤厚生労働大臣は「失業者の増大などによる財政リスクの発生などの際に、より機動的に国庫を投入できる仕組みとなる。こうした仕組みを設けることで雇用保険財政の安定的な運営を図っていく」と述べました。

一方、立憲民主党の井坂信彦氏は「コロナで著しく悪化した雇用保険財政に対し、保険料率は引き上げるのに国庫負担率は据え置くというのは、すんなり受け入れられない」とただしました。

これに対し後藤大臣は「国庫負担率は現行の割合をもとにしており、雇用情勢などにかかわらず、政府の経済政策や雇用政策の結果としての失業の発生に対する国の責任を、継続的に果たすために設定した」と説明しました。



衆議院インターネット審議中継
https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=53741&media_type=

2022年3月3日 (木)
本会議 (1時間32分)

案件:
警察法の一部を改正する法律案(208国会閣2)
雇用保険法等の一部を改正する法律案(208国会閣14)

発言者一覧
説明・質疑者等(発言順): 開始時刻 所要時間
 細田博之(衆議院議長)  13時 02分  01分
 上野賢一郎(内閣委員長)  13時 02分  04分
 後藤茂之(厚生労働大臣)  13時 06分  04分
 井坂信彦(立憲民主党・無所属)  13時 10分  33分
 池下卓(日本維新の会)  13時 43分  21分
 角田秀穂(公明党)  14時 04分  16分
 田中健(国民民主党・無所属クラブ)  14時 20分  12分

答弁者等
大臣等(建制順):
 古川禎久(法務大臣)
 林芳正(外務大臣)


後藤茂之・雇用保険法改正案・趣旨説明・衆院本会議.PNG
雇用保険法等の一部を改正する法律案の趣旨説明を行う後藤茂之厚生労働大臣


【衆本会議】田中国会対策副委員長が「雇用保険法等の一部を改正する法律案」について質疑
https://new-kokumin.jp/news/diet/2022_0303_3


2022年3月3日の国民民主党HPより転載

田中健国会対策副委員長(衆議院議員/静岡4区)は3日、国民民主党を代表し、衆議院本会議で議題となった「雇用保険法等の一部を改正する法律案」への質疑を行った。全文は以下のとおり。

2022年3月3日
「雇用保険法等の一部を改正する法律案」に対する趣旨説明質疑

国民民主党・無所属クラブ
田中 健

 国民民主党の田中健です。私は会派を代表して、雇用保険法の一部を改正する法律案について質問します。

 雇用保険制度は労使と国の共同事業であり、雇用保険は、失業者の急増などに対応するため一定の失業給付の積立金を維持しつつ運営されてきました。積立額は2015年には約6.4兆円にまで達していましたが、2017年国庫負担割合を大幅に下げたことで減少し続けました。さらにコロナの感染拡大により、雇用調整助成金支給増に伴い枯渇した雇用安定資金へ貸出を行ったことで、2022年度末の積立金推定額は、500億円とほぼゼロに近い状態です。そのような中で失業等給付の国庫負担割合についての改正案が示されました。時限的に減らされていた国庫負担率を本則の25%に戻すのではなく、基本2.5%にするという政府法案では、2.5%が事実上の本則となり、適用され続けることが懸念されます。これは従来の「政府による雇用政策に対する責務」の性格を変えているのではないかとの疑問が生じます。失業等給付が支払われないという実態の対策のみをもって「雇用政策の責務」と考えているのでしょうか。「雇用情勢及び雇用保険法の財政状況が悪化している場合は本則と同じ25%とする」と機動的な対応が可能だと言っていますが、その判断基準は基本手当の受給者が70万人以上というものであり、近年では2009年度のリーマンショック時のみです。この間2007年の雇用保険部会報告書において「失業は、政府の経済政策、雇用政策と無縁ではなく、政府もその責任の一端を担うべきである」さらに2017年・2020年衆参厚労委員会の付帯決議でも、「雇用保険の国庫負担については、早期に安定財源を確保し、本則に戻すこと」とされています。当然のことながら、付帯決議は与党も賛成されたものです。失業等給付に係る国庫負担割合を現時点の25%のまま維持することで基盤整備を整えるべきであると考えます。積立金が一定額積み上がっているなど、雇用保険制度の運営に財源的な問題がない時は、国庫負担率を2.5%にしても運営上の問題はありませんが、少なくとも財政が危機的な現状で、国庫負担割合の原則を事実上の2.5%と大幅に引き下げることについて、今回の決定に至った合理的かつ十分な説明とともに見解を求めます。

 国庫負担が減る一方で労使の負担が増えるのでは、共同事業というには程遠いと言わざるを得ません。コロナ禍で厳しい経済状況にある中、雇用保険料の負担増による影響に配慮し、保険料率の抑制を図るべきと考えます。今回の労使保険料率の引き上げについての考えを伺います。

 また改正案の国庫負担では、枯渇した積立金が十分な額に達することは難しく、雇用保険の給付縮小も懸念されています。2000年・2003年の法改正では、基本手当の日額・給付日数の水準が引き下げられ、現在も回復に至っていません。基本手当の支給水準はどのようにして決められているのか、また現在の水準が適当と考える説明を求めます。

 政府案では、失業等給付の国庫負担割合の見直しと併せて、新たな国庫繰り入れ制度を導入することとしています。しかし、国庫繰り入れをするための一定の要件しか政府法案には規定されておらず、機動的・実効性が担保されず、雇用保険制度に支障をきたす恐れがあります。雇用保険部会で提言されたように「失業等給付や、雇用調整助成金の支払いに支障が生ずる恐れがある場合」など、決算確定後の時点を問わず、労働政策審議会の意見を聴き、必要な対応を可能とする運営体制を規定すべきと考えますが、見解を伺います。

 他方で育児休業給付金の給付額も増加傾向にあり、2020年度は受給者40万人、支給金額6400億円以上に達しています。政府は育児・介護休業法を改正するなどして男女とも育休をとりやすくする取り組みを進めている中、健全な保険財政の維持確保のためには、国庫負担割合の見直しが必要と考えます。現在の1.25%をまず本則の12.5%に戻したうえで、これまで被保険者でないために給付の対象でなかったフリーランスなどの個人事業主等も給付が受けられるよう、雇用保険によらない方式の育児休業給付制度を検討することで、フリーランスなどで働く者の子ども・子育てを広く支援し、我が国の喫緊の課題である少子化対策をさらに強力に進めるべきであると考えます。政府としてフリーランスの法的保護も重要な政策として掲げられておられますが、見解を伺います。

 財政を含めた雇用保険制度全体の在り方は、雇用保険制度の当事者たる公労使が一致して納得のいく結論が出せるよう、引き続き、制度・運用両面において継続的に検証・検討し、必要な対応を求めていくことを要望して質問を終わります。


田中健・雇用保険法改正案・衆院本会議.PNG
雇用保険法等の一部を改正する法律案の質疑を行う国民民主党の田中健氏



3月3日、衆院本会議。
雇用保険法等の一部を改正する法律案を議題とした。
後藤茂之厚生労働大臣より趣旨説明を聴取した。
代表質問を行った。
立憲民主党の井坂信彦氏、日本維新の会の池下卓氏、公明党の角田秀穂氏、国民民主党の田中健氏が、後藤茂之厚生労働大臣、古川禎久法務大臣、林芳正外務大臣に対し、それぞれ質疑を行った。

立憲民主党の井坂信彦氏は「コロナで著しく悪化した雇用保険財政に対し、保険料率は引き上げるのに国庫負担率は据え置くというのは、すんなり受け入れられない」と質した。
後藤大臣は「国庫負担率は現行の割合をもとにしており、雇用情勢などにかかわらず、政府の経済政策や雇用政策の結果としての失業の発生に対する国の責任を、継続的に果たすために設定した」と説明した。

国民民主党の田中健氏は「国庫負担が減る一方で労使の負担が増えるのでは、共同事業というには程遠いと言わざるを得ません。コロナ禍で厳しい経済状況にある中、雇用保険料の負担増による影響に配慮し、保険料率の抑制を図るべきと考えます。今回の労使保険料率の引き上げについての考えを伺います。」と質した。




参考

[雇用保険法等の一部を改正する法律案] 2月1日、雇用保険法改正案を閣議決定
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/485468350.html
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