“安全保障上重要な土地利用規制法案” 参院で審議入り
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210604/k10013067451000.html
2021年6月4日のNHKニュースより転載
自衛隊の基地や原発など安全保障上重要な施設周辺の土地利用を規制する法案は、参議院で審議に入り、小此木国家公安委員長は、安全保障の確保のため規制が必要だとしたうえで、土地の所有者や関係者への調査は最小限度とし、国民の権利や自由が不当に侵害されることはないと説明しました。
この法案は自衛隊の基地や原子力発電所といった重要施設の周辺などを「注視区域」や「特別注視区域」に指定して、利用を規制するもので「特別注視区域」では、土地や建物の売買の際に事前に氏名や国籍の届け出などを義務づけています。
法案は今月1日に衆議院を通過し、4日から参議院本会議で審議に入り、領土問題を担当する小此木国家公安委員長は「安全保障を確保するため、土地の管理を含め、万全の対策を講ずる必要がある」と述べました。
また、土地の所有者や関係者を政府が調査できる規定が、基地の監視など市民運動の萎縮につながりかねないと指摘されたのに対し、小此木国家公安委員長は「抗議活動への参加を理由に調査を行うことはない。法案に基づく措置は、必要最小限度となるよう明記している。国民の権利や自由が不当に侵害されることはない」と述べました。
そのうえで、政府による調査は内閣府に設けられる部局が行い、警察や公安調査庁に情報収集を依頼したり、保有している情報を活用したりすることは考えていないと説明しました。
参議院インターネット審議中継
https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php
2021年6月4日
本会議
約3時間17分
会議の経過
〇議事経過 今四日の本会議の議事経過は、次のとおりである。
開会 午前十時一分
日程第 一 重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況
の調査及び利用の規制等に関する法律案(趣旨説明)
右は、小此木国務大臣から趣旨説明があった後、和田政宗君、
木戸口英司君、三浦信祐君、柴田巧君、大塚耕平君、田村智子君が
それぞれ質疑をした。
日程第 二 原子力の平和的利用における協力のための日本国政府と
グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府
との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求
めるの件(衆議院送付)
日程第 三 大西洋のまぐろ類の保存のための国際条約を改正する議
定書の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)
日程第 四 国際航路標識機関条約の締結について承認を求めるの件
(衆議院送付)
右の三件は、外交防衛委員長から委員会審査の経過及び結果の報告
があった後、日程第二は承認することに決し、日程第三及び第四は
全会一致をもって承認することに決した。
日程第 五 自然災害義援金に係る差押禁止等に関する法律案(衆議
院提出)
右の議案は、災害対策特別委員長から委員会審査の経過及び結果の
報告があった後、全会一致をもって可決された。
日程第 六 国家公務員法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
議院送付)
右の議案は、内閣委員長から委員会審査の経過及び結果の報告が
あった後、可決された。
日程第 七 航空法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
付)
右の議案は、国土交通委員長から委員会審査の経過及び結果の報告
があった後、可決された。
日程第 八 プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
右の議案は、環境委員長から委員会審査の経過及び結果の報告が
あった後、全会一致をもって可決された。
日程第 九 地方公務員法の一部を改正する法律案(第二百一回国会
内閣提出、第二百四回国会衆議院送付)
右の議案は、総務委員長から委員会審査の経過及び結果の報告が
あった後、全会一致をもって可決された。
日程第一〇 全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険
法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
右の議案は、厚生労働委員長から委員会審査の経過及び結果の報告
があって、討論の後、可決された。
国会職員法及び国家公務員退職手当法の一部を改正する法律案(衆議
院提出)
右の議案は、日程に追加し、議院運営委員長から委員会審査の経過
及び結果の報告があった後、可決された。
国際経済・外交に関する調査の中間報告
右の件は、中間報告を聴取することに決し、国際経済・外交に関す
る調査会長から報告があった。
国民生活・経済に関する調査の中間報告
右の件は、中間報告を聴取することに決し、国民生活・経済に関す
る調査会長から報告があった。
原子力等エネルギー・資源に関する調査の中間報告
右の件は、中間報告を聴取することに決し、資源エネルギーに関す
る調査会長から報告があった。
散会 午後一時十一分
発言者一覧
山東昭子(参議院議長)
小此木八郎(国家公安委員会委員長、国土強靱化担当、領土問題担当、内閣府特命担当大臣(防災、海洋政策))
和田政宗(自由民主党・国民の声)
木戸口英司(立憲民主・社民)
三浦信祐(公明党)
柴田巧(日本維新の会)
大塚耕平(国民民主党・新緑風会)
田村智子(日本共産党)
長峯誠(外交防衛委員長)
新妻秀規(災害対策特別委員長)
森屋宏(内閣委員長)
江崎孝(国土交通委員長)
長浜博行(環境委員長)
浜田昌良(総務委員長)
小川克巳(厚生労働委員長)
打越さく良(立憲民主・社民)
倉林明子(日本共産党)
水落敏栄(議院運営委員長)
鶴保庸介(国際経済・外交に関する調査会長)
芝博一(国民生活・経済に関する調査会長)
宮沢洋一(資源エネルギーに関する調査会長)
【参院本会議】木戸口英司議員、私権制限等につき重要土地等調査法案の慎重審議を求める
https://cdp-japan.jp/news/20210604_1475
2021年6月4日の立憲民主党HPより転載
参院本会議で4日、「重要施設周辺等における土地等利用状況調査・利用規制等に関する法律案」(重要土地等調査法案)に関する趣旨説明と質疑が行なわれ、「立憲民主・社民」会派を代表して、木戸口英司議員が質問に立ちました。
冒頭、木戸口議員は新型コロナウイルスの感染拡大と緊急事態宣言の長期化に懸念を示した上で、「急速に置き換わる変異ウイルスの拡大を抑え込み、20日に緊急事態宣言を解除できるのか。菅総理の7月末までにワクチンの高齢者接種を終わらせるとの大号令は実効性があるのか。多くの国民の懸念や不安を置き去りに突き進む東京オリンピック・パラリンピックは本当に開催できるのか」と国民への配慮と情報発信が著しく欠如している政府の姿勢を強く批判しました。
また、「専門家や自治体との意思疎通と役割分担がいまだ不安定な政府に任せたまま国会を延長しないとすれば、国会の存在意義そのものが問われる」と危機感を示し、国会の会期延長を要請しました。
本法案の主な内容は、自衛隊の基地や原発など安全保障上重要な施設や国境離島等の機能を阻害する土地の利用を防止するため、注視区域及び特別注視区域の指定、注視区域内にある土地等の利用状況の調査、当該土地等の利用の規制、特別注視区域内にある土地等に係る契約の届出等の措置について定めるというもの。
重要土地等調査法案について、木戸口議員は「本法案は私権制限を伴い、懲役を含む刑罰が科せられる。このような重要な法案をなぜ、会期末に参院に送ってきたのか」と述べ、立憲民主党が衆院内閣委員会において、私権制限に歯止めをかけつつ、法の実効性を高めるよう慎重審議を求めたにもかかわらず、委員長職権で審議を打ち切った政府・与党の強硬な姿勢を「言語同断だ」と強く批判しました。
また、「参院での審議時間の確保を理由としたようだが、審議不十分の生煮え法案を安易に送ってこないでいただきたい。規制される行為も政府による調査の範囲もその詳細は明示されないまま、安全保障を盾に政府は説明責任を忌避していると言わざるを得ない」と断じました。そのうえで、「参院では政府が法案の不備を明らかにするまで、十分な審議時間、参考人質疑や連合審査が必要だ」と述べ、あらためて会期延長を求めました。
法案に関する具体的な質問は以下のとおりです。
(1)国境離島や防衛施設周辺等における土地の所有・利用をめぐって、安全保障上の懸念により、2010年、和歌山県議会から国に対し「外国資本等による土地の売買や適切な管理体制を構築するための法整備に取り組むこと」を求める意見書が出されて以来、複数の自治体議会から同様の意見書が提出されています。また、2013年の長崎県対馬市議会、2014年の北海道千歳市議会において、各市に所在する自衛隊基地等の周辺土地が外国資本に取得されていることが取り上げられ、問題提起がされてきました。政府は、2013年、「国家安全保障戦略」を閣議決定し、「国家安全保障の観点から国境離島、防衛施設周辺等における土地所有の状況把握に努め、土地利用等のあり方について検討する」との方針を示しています。法案提出まで時間を要した経緯について、また、外資による土地取得が問題視されてきた水源地周辺は調査・規制の対象外となりますが、地方の要請に応える法案となっているのか。
これに対し小此木八郎担当大臣は、有識者会議で慎重に検討に進めていく考えを示しました。
(2)衆院内閣委員会の質疑において、本法案の立法事実について小此木大臣から「わが国の安全保障をめぐる内外情勢が近年厳しさを増している」との答弁がありました。この認識はわれわれも共有するところですが、「国家安全保障戦略」による方針が打ち出されて8年が経過し、この間、同様の認識が政府から繰り返される一方で、骨太の方針2020から昨年末のたった3回の有識者会議、窮屈な日程の中での国会提出に鑑みれば、審議が不十分であり、拙速感が否めません。現在のわが国を取り巻く安全保障環境に対し、本法律案の果たす意義と実効性について。(岸信夫防衛大臣)
(3)防衛省は、「国家安全保障戦略」の方針を受け、2013年から4年間、約650の防衛施設の隣接地について不動産登記簿等の一般に入手可能な資料により調査を実施しております。登記簿上の名義人が外国籍の者である土地が認められたとしながら、実態上の所有者と登記記録上の所有者の不一致や、不動産登記簿の地目以上の利用実態までは把握できないなど、調査に限界があるとの指摘がされてきました。当時の調査の総括について。(岸防衛大臣)
(4)本法律案による調査には、第6条の現地・現況調査、第7条の公簿収集、第8条の報告徴収と、第13条の特別注視区域における事前届出制度があり、重要施設を所管又は運営する関係省庁、事業者や地域住民の方々から機能阻害行為に関する情報を提供いただく仕組みも今後検討すると答弁されています。第22条では、「内閣総理大臣は、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長及び関係地方公共団体の長その他の執行機関に対し、資料の提供、意見の開陳その他の協力を求めることができる」とあります。内閣官房から示された防衛関係施設における注視・特別注視区域の候補は、注視区域で約4百数十カ所、特別注視区域で約百数十カ所にのぼっています。これら区域の調査にあたり、関係行政機関は防衛省・自衛隊であり、自衛隊による住民に対する直接的調査への協力要請が行われる懸念があります。このような現地・現況調査がおこなわれるとすれば、自衛隊法においてどの規定によることになるのでしょうか。本法律案の目的達成のための自衛隊による住民への直接の調査がどの範囲まで許されると考えるのか。(岸防衛大臣)
(5)本法律案は、法案中の概念や定義が一義的ではなく曖昧であり、政府の裁量の幅が大きくなっている点が問題です。法案では、重要施設や国境離島等への「機能阻害行為」に対して、行為の中止を勧告し、正当な理由がなく勧告に従わない場合には命令をすることができ、命令に従わない場合の罰則も規定されています。しかし、どういった行為が機能阻害行為に当たるのかは、法律には明記されていません。政府は、閣議決定をする基本方針に機能阻害行為を例示する考えを示してはいますが、本法律案が国民の権利を制約する内容を含んでいることからすれば、少なくとも政府が答弁している機能阻害行為については例示として法律に盛り込むべきではないかと考えます。重要施設等の機能の阻害に使用されている物件に対し撤去など実効性ある措置を取ることはあり得るか、また、どのような規定によるか。(小此木担当大臣)
(6)本法律案で定義する「重要施設」の3類型の一つに、「生活関連施設」があります。この生活関連施設は、「国民生活に関連を有する施設であって、その機能を阻害する行為が行われた場合に国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生ずるおそれがあると認められるもので政令で定めるもの」とされており、具体的な施設の指定は政令に委任されています。政府は、「原子力関係施設」と「自衛隊が共用する空港」を生活関連施設として政令で定めることを検討しているとしています。本法律案が国民の権利を制約する内容を含んでいることからすれば、機能阻害行為の例示の必要性と同様に、指定の基準を明確にするため、少なくとも政府が答弁している施設については例示として法律に盛り込むべきではないかと考えますが大臣の見解は。(小此木担当大臣)
(7)本法律案では、国民の権利と自由に及ぼす影響が懸念されています。例えば、沖縄県は、県土そのものが有人国境離島である上に、多くの在日米軍基地を抱えています。大多数の沖縄県民が本法律案に基づく調査や規制の対象となり、本法律案の曖昧な定義や基準のために県民が知らぬ間に監視下に置かれてしまうこともあり得ます。本法律案には、土地等の所有者や利用者の利用状況を調査するため、「利用者その他の関係者」に情報提供を求める規定があり、従わなければ処罰されます。基地等の監視活動や抗議活動をする知人や協力者の個人情報の提供を迫られることで、地域や市民が分断されることとなり、市民運動や住民運動の自己抑制、萎縮につながりかねません。本法律案の規定による措置の実施に当たっては、憲法が保障する思想や表現の自由、団結権・団体行動権といった国民の権利と自由が不当に制限されるようなことがあってはならないと考えますが大臣の見解は。(小此木担当大臣)
(8)第8条では、内閣総理大臣は、注視区域内にある土地等の利用者その他の関係者に対し、当該土地の利用に関し報告又は資料の提出を求めることができることとし、報告若しくは資料の提出をしなかった場合の罰則規定が設けられています。罰則が規定されている以上、関係者としてどのような者がその対象となりうるのか、法律上明確でなければ、国民に対する罰則の告知として不明確であり、また、行政による恣意的な処罰のおそれが排除できない点で、罪刑法定主義に反するのではないでしょうか。どのような者が該当しうるのか、法律に例示列挙を規定する考えはあるか。また、報告徴収についての罰則規定は削除すべきと考えますが大臣の見解は。(小此木担当大臣)
(9)注視区域及び特別注視区域は、内閣総理大臣が指定し、官報で公示することとされています。具体的にはどこが該当するのでしょうか。衆院において、防衛省からは、該当する自衛隊施設のリストは作成したとしつつ、内閣委員会理事会には、全体像の分かる資料は提出されませんでした。防衛省の答弁によれば、「このリストを公表した場合、わが国の防衛戦略構想の一端を示すことにもなりかねない」とし安全保障上の懸念が理由とされています。本法成立後、官報で公示される区域リストについて、安全保障上の懸念から法案審査の段階で公表できないとすることに合理的理由は見出せません。充実した審議のためにも施設リストを示すべきと考えますが、提示しない理由と合わせ大臣の見解は。(小此木担当大臣)
(10)本法律案では、注視区域及び特別注視区域の指定について、経済的社会的観点から留意すべき事項を基本方針に定めることとしています。この「経済的社会的観点から留意すべき事項」とは、具体的に、どのようなことを想定しているのでしょうか。市ヶ谷の防衛省を特別注視区域の対象から除外するとの報道について、答弁では「決定した事実はない」としています。法定された指定の要件、すなわち重要施設機能の阻害の容易性や代替困難性などが認められるにもかかわらず、基本方針に定められた留意事項によって結局指定されないことがあり得るのであれば、法律も国会での議論も骨抜きにできてしまいます。恣意的な運用のおそれのある「経済的社会的観点から留意すべき事項」の文言は削除すべきと考えますが大臣の見解は。(小此木担当大臣)
(11)第13条は、特別注視区域内にある土地の売買契約などにより所有権等が移転する場合に、契約に先立ち内閣総理大臣に届け出ることを義務付けています。この義務に違反し、事前届出をしないで売買契約を締結した場合について、罰則規定が設けられています。このような事前届出制度は、所有権の自由な移転を妨げるものであり、私権に対する重大な制約となります。私権制限を正当化する理由として、国家の安全保障という漠然とした保護法益を挙げることで説明ができているのでしょうか。事前届出制による制限を正当化する十分な根拠が示されないとすれば、届出義務に違反した場合の罰則規定は削除すべきではないでしょうか。小此木大臣の見解を伺います。また、国家の安全保障という抽象的な法益を保護するためであれば、事後の届出を要求することで、その目的は達成できるのではないでしょうか。事後届出制に改める考えはないか。(小此木担当大臣)
(12)有識者会議の提言では、「土地の所有・利用に関する情報を一元的に把握・管理する組織・体制を整備する」ことを求めていますが、同時に、「全国各地の土地等の所有・利用に係る情報を収集するに当たっては、公簿等の収集を始め、膨大な業務量が想定される」とし、「必要な人員・体制や予算を確保し、万全の備えを」行うことを要請しています。既に限られた人員で既存の業務に忙殺されている行政官庁において、この法律により新たに生じる膨大な業務の実施体制をどのように確保するのでしょうか。わが国の安全保障に関わる本法律案の性質上、調査の民間委託などは慎重にすべきと考えますが大臣の見解は。(小此木担当大臣)
■最後に
木戸口議員は、「法案の根幹の詳細は成立後の基本方針で示すとするのでは、議論の前提が成り立たず、立法府としての責任を果たせません」と延べ、政府には誠意ある答弁を求め、委員会での十分な審議時間確保を要求し質問を終えました。
【参本会議】大塚耕平代表代行が「重要土地等調査法案」について質疑
https://new-kokumin.jp/news/diet/2021_0604_2
2021年6月4日の国民民主党HPより転載
大塚耕平代表代行(参議院議員/愛知県)は4日、参議院本会議において、「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案」(重要土地等調査法案)について質問を行った。質問内容は以下の通り。
重要土地等調査法案に対する質問
令和3年6月4日
国民民主党・新緑風会 大塚耕平
国民民主党・新緑風会の大塚耕平です。会派を代表してただ今議題となりました重要土地等調査法案について小此木担当大臣に質問します。
この法案を政府が提出しなければならないのは、日本の土地売買規制が甘く、土地の所有や利用に関する情報が適切に収集管理されていないからと言えます。そこでまず、日本の国土のうち、地籍調査未了地、所有者不明土地、外国人所有地の面積及び全体に占める割合を伺います。
日本はWTOに加盟しており、不動産取引は内外無差別が原則です。しかし、諸外国には土地私有を認めない国もあります。当該国で日本の国民や企業が土地私有を認められない一方、日本では当該国の国民や企業による土地私有が可能であるという非対称性、非相互主義を前提としています。政府は、この点についてどのような認識に基づいて今回の法案を提出しているのか、担当大臣に伺います。
なお、非対称性、非相互主義について、WTOは何も規定しておらず、しかも非対称性、非相互主義を前提とする国がWTO内の影響力を増していることは大きな問題であることを指摘しておきます。
外国資本、外国人が日本の土地を取得する動機として、営利、投機のほか、資産隠し等の目的も増えています。日本は不動産取得情報の秘匿が相対的に容易で、保有コストが低く、海外ペーパーカンパニーや日本のダミー法人を介することで、本国税務当局に捕捉されずに保有することが可能だからです。こうした状況は看過できません。
さらに、日本の防衛・海保施設、米軍基地、原発等の周辺土地を、実質的に外国資本、外国人が保有する場合には、別の意図があることは想像に難くありません。それらの点について、どのような基本認識で法案を提出したのか、担当大臣に伺います。
法案は国境離島等と重要施設周辺の土地を扱っています。法案要件に該当する国境離島等は約570と推定しますが、うち第2条3項第1号に定める基線を有する離島数、及びそのうち土地取引が行われる可能性がある離島数をお答えください。
自衛隊施設、海保施設、米軍基地以外の重要施設については同条2項3号に規定されています。条文上の「国民生活に関連を有する施設」「その機能を阻害する行為」及び「国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生ずるおそれがあると認められるもの」の定義を伺います。政府は既に一定の調査結果を蓄積していると聞きます。法案要件に該当する土地所有及び所有予定事例が全国で何件ぐらいあるのか、伺います。
日銀に勤務していた経験上、中央銀行や民間金融機関のシステムセンターも重要施設に該当すると考えますが、担当大臣の認識を伺います。
法案に定める特別注視区域における事前届出等の国による対応が遅きに失したため、既に多くの道府県で事前届出を課す独自の条例が制定されています。水源地である森林、ソーラー用地、産廃用地等の外国人による買収がとくに問題となっています。これらは法案第1条の法目的に掲げる「国民生活の基盤」に該当する土地と考えるか否か、担当大臣の認識を伺います。
また、条例制定済の道府県数と具体名、及び条例の内容と今回の法案の内容のどこが同じで、どこが異なるのか、お答えください。
これらの道府県条例制定の背景は、国土利用計画法第23条第1項の事後届出制では、水源地を含む森林等の外国資本による所有対策として十分な効果がないためです。今回の法案で条例をカバーし切れない、すなわち引続き条例に頼らざるを得ない部分が残ることは、今回の法案は内容的に不十分ということではないでしょうか。所見を伺います。
また、対象土地の利用規制に留め、取得規制に踏み込まなかった理由についても伺います。
第4条に定める基本方針について伺います。2項2号から5号では、注視区域及び特別注視区域指定や調査、勧告及び命令等に関する「基本的な事項」を定めるとしていますが、1号だけは重要施設の施設機能及び国境離島等の離島機能を阻害する土地利用防止の「基本的な方向」を定めるとしています。「基本的な事項」と「基本的な方向」を使い分けている理由、及びその定義を伺います。
2号では「経済的社会的観点から留意すべき事項を含む」との括弧書きが付されています。その趣旨とともに、法目的と経済的社会的観点の調整をどのように行うのか、伺います。
第10条では、勧告等に従うことで損失を被る土地所有者への補償を規定していますが、同条第1項但し書きでは「この限りではない」すなわち「補償しない」と定めています。どのような場合には「補償しない」のか、国民の皆さんに分かりやすく、事例を示して説明してください。
第21条では、内閣総理大臣が施設機能、離島機能の阻害行為防止のために、他の法律に基づく措置が必要と認める場合、所掌大臣に当該措置の速やかな実施を求め、実施状況の報告を求めることができる、と定められています。なぜ「命令することができる」ではないのでしょうか。そもそも、こういう規定がないと、所掌大臣が措置を講じない場合があるということでしょうか。条文の意味および背景について伺います。
第23条では、施設機能、離島機能の阻害行為防止のために国が適切な管理を行う必要がある場合に、国は土地の買取り等の「必要な措置を講ずるように努めるものとする」と努力規定になっています。なぜ「措置を講じなければならない」との義務規定にしていないのか、その理由を伺います。
次に、参議院情報監視審査会との関係を伺います。審査会規定第1条において、情報監視審査会は行政における特定秘密の運用を常時監視するための組織と定められています。
同審査会が取り扱う特定秘密とは、特定秘密保護法第3条第1項に規定するものであり、その内容は同法別表に明示されています。
別表には、防衛、外交、特定有害活動防止、及びテロリズム防止に関する事項の4つが掲げられ、23項目に細分化されています。
今回の法案が想定する情報は、参議院情報監視審査会の対象、すなわち特定秘密保護法の対象である特定秘密に該当すると考えてよいか、担当大臣に伺います。合わせて、特定秘密保護法別表のどの項目に該当するのか、お答えください。
以上の質問に対する答弁を踏まえたうえで、法施行後は、情報監視審査会に対して、どのような情報を、どのようなタイミングで、どのように報告するのか、伺います。法案では、内閣法、内閣府設置法も所要の改正を行い、内閣府内に担当部署を置くこととしています。具体的な規模と、人材拠出の省庁、国家安全保障局との関係等、現時点で想定していることをお答えください。
アジアには、日本の競争相手、安全保障上緊張関係にある相手がいなかった高度成長期、バブル時代の幻想から目覚め、国民に対する説明責任を果たしつつ、現実を直視した有効な経済安全保障体制を構築することを求め、質問とします。
以 上
居住の自由、財産権侵す違憲立法は廃案を 土地利用規制法案審議入り 参院本会議 田村政策委員長が代表質問
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik21/2021-06-05/2021060501_01_1.html
2021年6月5日の赤旗より転載
米軍・自衛隊基地や原発などの周囲約1キロ、また国境離島などの住民を監視する土地利用規制法案が4日、参院本会議で審議入りしました。日本共産党から田村智子政策委員長が代表質問に立ち、「日本国憲法は自由に居住地を選択し、土地や建物を所有する権利を保障している。この基本的な権利を、国が『安全保障』の名の下に制限する違憲立法だ」と主張。拙速な議論は許されないと訴えました。(田村氏の質問要旨)
監視が強まる危険 担当相、罰則正当化
田村氏は、政府が「外国資本による土地購入に対する地方自治体からの不安」を法案の根拠にあげている点について、衆院の審議で示された16件の意見書は森林や水源地などの買収・乱開発への危惧だと指摘。これらは海外投資呼び込みの「観光立国・インバウンド(対内投資)政策の結果だ」と述べました。
小此木八郎領土問題担当相は、基地周辺や国境離島の住民を対象にした監視を求める要望について、「ありません」と答弁。「安全保障」を理由とした立法事実がないことがあらためて浮き彫りになりました。
法案では、基地などの周囲約1キロを「特別注視区域」に指定した場合、土地の売買契約で国への事前届け出を義務付けています。田村氏は、事前届け出を怠っただけで、なぜ懲役刑まで科されるのか質問。小此木氏は、事前届け出は「(基地等への)機能阻害行為の兆候を事前に把握するため」のものであり、懲役刑を含む罰則について「実効性を担保するために必要不可欠」だとして正当化しました。
田村氏は、「機能阻害行為」につながる土地利用をやめさせるために、日常的な行動監視が必須になると指摘。監視カメラでの顔認証による行動監視の危険も指摘しました。
田村氏は、要塞地帯法や軍機保護法で国民がスパイ扱いされた戦前の歴史をあげ、「国民の不安をあおり利用することで民主主義が壊される歴史が繰り返されてきた。この法案はまさに不安に乗じた国民弾圧法だ」と述べ、廃案を強く訴えました。
6月4日、参院本会議。
重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案(重要土地等調査法案)を議題とした。
小此木八郎国務大臣より趣旨説明を聴取した。
自民党の和田政宗氏、立憲民主党の木戸口英司氏、公明党の三浦信祐氏、日本維新の会の柴田巧氏、国民民主党の大塚耕平氏、共産党の田村智子氏が、小此木八郎国務大臣、岸信夫防衛大臣に対して、それぞれ質疑を行った。
日本維新の会の柴田巧氏の質問に対する小此木大臣の答弁。
WTOの前身のGATS(GATT)の整合性について、内国民待遇の問題があり外国人と日本人を区別出来ないとのこと。
衆議院でも質問があったが、歯がゆい問題です。
土地利用規制法案に対する 田村議員の質問 参院本会議
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik21/2021-06-05/2021060505_03_0.html
2021年6月5日の赤旗の報道です。
共産党の田村智子氏の質問の要旨です。
衆議院の審議を振り返る。
重要土地等調査法案(重要土地法案)は重要法案なのに、僅か12時間で質疑を打ち切った。
法案に私権制限がある為、立憲民主党と共産党は賛成することが出来なかった。
立法事実があるかどうか明確ではなかった。
何故、森林や水源を法案に明記しなかったのか。
水源地や森林の外資買収を規制するものではない。
小此木大臣は「森林法がある」と答弁している。
WTOの前身、GATS(GATT)との整合性が取り上げられ、内国民待遇の問題がある。
これがある為に法案は外国人と日本人を区別してない。
外資から国土を守ろうとする点では、法案を評価しますが、私権制限など問題点が多い。
参考
[重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案] 6月1日、土地規制法案が衆院通過 立憲民主党と共産党は反対
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/481788375.html
[重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案] 5月28日、衆院内閣委員会で土地規制法案を強行採決し可決 立憲民主党と共産党は反対
http://hazukinoblog.seesaa.net/article/481724948.html
[重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案] 5月28日9時〜衆院内閣委員会で土地規制法案の質疑⇒同日、採決の恐れ
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[重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案] 5月26日、衆院内閣委員会で土地規制法案の質疑
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[重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案] 5月21日、衆院内閣委員会で土地規制法案が実質審議入り
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[重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案] 5月19日、土地規制法案が衆院内閣委員会で審議入り
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[重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案] 5月11日、土地規制法案が衆院本会議で審議入り
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[重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案] 3月26日、土地規制法案を閣議決定 安保関連施設の周辺対象
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自衛隊基地など周辺土地売買規制法案 自公で調整後 国会提出へ
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外資の土地買収 情報の一元管理を提言 政府の有識者会議
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外資土地買収 法整備含め年内提言へ 政府有識者会議
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外国資本などの土地買収 新制度含め検討 小此木国家公安委員長
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ラベル:土地規制法案